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わたしは此処にいる

此処までを読む事の出来たあなたは<特別>です。

いくら<自分は凡人だ>と思い込もうが――特別です。

 雨は止んだ。




 しかし

 ――暫く

 二人は動き出そうとはしなかった。




 "蜘蛛宇宙人" の手から

 プロジェクトされる光は

 空間全体を照らしていた。




 (から)であるスペース――


 ※<骸骨>を除く。




 ――――――――――――――――――――――――


 そして――


 光の届かない場所こそ、

 地点(B)と<その他>を分ける

 ボーダーである。


 そして――


 その領域が規定されるのは、

 地点(B)が客体となった時だけである。


 地点(B)に在る<骸骨>は常に客体である。


 しかし――


 地点(B)は必ずしもそうなるとは限らない。


 ――――――――――――――――――――――――




 最初に動き出したのは、"蜘蛛宇宙人" であった。




 地点(B)を踏みしめた。




 "運転手" が続いた。




 "蜘蛛宇宙人" は、すぐに道を右に折れようとした。




 「ちょっと待った!」




 "運転手" が地点(B)に留まった。




 驚いていた――




 <骸骨>




 ――があったから。




 しかし、その<驚き>のセット全体量は少なかった――


 予め、<骸骨>の存在を伝えられていたから。




 さらに――

 予め、告げられていた事によって――

 短期間に

 ――急激に

 増加した<驚き>が減るのも

 ――グライヒ。




 <骸骨>。




 それまで、雨によって遮られていた物。


 雨が止んでも――


 "蜘蛛宇宙人" の背中で見えなくなっていた者。




 "運転手" が右を向き――

 <骸骨>に人差し指を向ける。




 「これが…」




 右にいた "蜘蛛宇宙人" は頷いた。




 "運転手" は伸ばしていた人差し指を<骸骨>に近づけた。




 そっと。




 <骸骨>と "運転手" の先端の間の距離が狭まっていく……。




 そして――




 頭蓋に触れた。




 頭蓋が動き――




 転がり落ちた。




 そっと。




 その動きに、過激はなかった。




 それでも "運転手" は驚いた――


 その全体量は、予想によって減らされていない。


 だから驚きは――満ちていた。


 暫く、引かなかった。




 "運転手" は声こそ上げなかったが――竦んでいた。




 "蜘蛛宇宙人" がそれを見ていた。




 頭蓋は地点(B)の床を

 ――独楽の様に

 転げ………――




 止まった




 ――壊れる事はない。




 崩れる事はない。




 ただ……――




 天を仰いでいた。




 それを "運転手" が見ていた。




 一定の領域に留まっていた光が動いた。




 壁の上を平行に移動していく――光の点。




 それは――楕円。




 "運転手" は光を目で追った。




 そして縮小し始めた "蜘蛛宇宙人" の背中を追おうとした。




 注意深く――頭蓋を踏まない様に。




 右の道を

 ――まっすぐ。




 "蜘蛛宇宙人" はトンネルを歩きながら、距離を数えていた。




 ずっと同じ状態が続いている。




 泥濘――




 白。




 白。




 白。




 白。




 そして――




 黒。




 白の上

 ――黒の中

 足跡は見えなかった。




 そしてコンクリートが見え――




 壁が見え――




 「じゅうはち…」




 「じゅうく……」




 そして――




 "蜘蛛宇宙人" は

 ――二十を数えてから

 二十一歩目を踏んだ。




 その数字が地点(B)から次の地点までの間を示す距離である事を確認した "蜘蛛宇宙人" は、ダンジョンの変化を

 ――より具体的に

 知った

 ――その変化が

 ――どこで

 ――どの様に働いているか………

 ――それをまだ……

 ――正確には…

 ――知らなかったが。




 そこは地点(A)によく似たその場所


 ――実際、「地点(A)である」と表現する事の出来る場所。




 壁にはフックがある。




 そして……――




 <タブレット>が俯せになって、在った。




 地点(A)にて "蜘蛛宇宙人" が二十二歩目を踏むと、背後で響いていた粘着質な足音の終了が聞こえた。




 ――――――――――――――――――――――――


 数学が出来ると思い込んでいる者は、この表現が


 「矛盾している!」


 とでも言うのだろう。


 ――――――――――――――――――――――――




 代わりに――




 「此処は………?」




 と背後から

 ――数学に疎い

 "運転手" が訊ねたのを、"蜘蛛宇宙人" は無視した。




 "運転手" は、相手には聞こえなかったのだ、と思った。




 だから――




 「此処が "ルィェ" さんが最初にいた場所ですか?

  ――コンクリートで出来た場所と

  ――さっき

  ――言っていましたよね?」




 "蜘蛛宇宙人" は言葉を返してやった。




 地点(A)にて、道は右に続いていた。




 "蜘蛛宇宙人" はすぐに道を右に折れて、その先を確認しようとした。




 そしてライトの矛先

 ――その向き

 を変えた。




 その時。




 微かに光を見た。




 そんな気がした。




 ライトとは違う光。




 暗闇の中に浮かんだ光。




 それも――コンクリートの上。




 ライトの先を、それが在ったと思われる方角に向けた。




 しかし――わからなくなった。




 "蜘蛛宇宙人" は

 ――身体の前面を別の方角に向けず

 ライトの矛先だけを別の方角に向けてみた。




 光の

 ――ランダムに見える

 動きを感じ、




 「どうかしたんですか?」




 と "運転手" が訊ねた。




 光を逸らし

 闇の中

 一時的に落とし込む事で――


 "蜘蛛宇宙人" は、微かな光の出所を理解した。




 近づき、しゃがみこむ。




 俯せのタブレットを起こすと、文字が見えた。




 板の上

 ――中央

 に、




 「continuum hypothesis」




 ――と在った。




 フォームに変化はなかった。




 "蜘蛛宇宙人" が




 「ふ」




 と気配を感じて

 ――身体を捻り

 斜め後ろ

 ――上

 を見る。




 "運転手" が

 ――上から

 ――背後から

 覗きこんでいた。




 視線が会った。




 「こんてぃにゅぅむ ひぽ…?」




 「どういう意味なんでしょうね?」



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