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わたしは此処にいる

 何も見えない――




 何も。




 手探りで、スコップを探り出す。




 容易であった。




 光が在った時に

 ――ある程度…

 場所と状況を把握していたから。




 闇の中を探る間、"足" に触れない事も容易であった……

 ――同じ理由だ。




 片手にタブレット

 ――もう片方にスコップ。




 そして "蜘蛛宇宙人" は歩き出す

 ――地点(F)に向かって。




 ここからは以前の繰り返しになる。




 地点(F)に着くと、地点(A)へ向かう


 ――リカーシブな手順。




 ただ

 ――そのプロセスに於いて………

 以前と異なっている点は、

 <"蜘蛛宇宙人" が距離を具体的に測っている>

 という事。




 地点(E)から地点(F)までは24歩。




 地点(F)から地点(A)までも24歩。




 そして最後に、"蜘蛛宇宙人" がコンクリートを踏みしめる。




 それだけではない。




 "蜘蛛宇宙人" は、その手で

 ――床と同じ素材で出来た

 <デッドエンド>も確認した。




 ――――――――――――――――――――――――


 この時点でわかっている事を纏めよう。


 「A」 ← ← ← 「F」

 ↓      ↙ ↑

 「B」 →「G」  ↑

 ↓    ↓   ↑

 「C」 →「D」→「E」


 地点(A)から地点(C)は47歩。

 地点(B)から地点(C)は24歩。

 地点(B)から地点(G)は24歩。

 地点(G)から地点(D)は24歩。

 地点(D)から地点(E)は23歩。

 地点(E)から地点(F)は24歩。

 地点(F)から地点(A)は24歩。




 地点と地点を繋ぐトンネルはすべて直線的である。




 そして、それぞれの角は、ほぼ直角である――


 上で「ほぼ」と表現したのは、

 無限小数を

 ――此処では

 置ききれないから。




 ただ

 ――以前に何度も記したが……

 トンネル(E)―(F)とトンネル(F)―(G)、

 トンネル(A)―(F)とトンネル(F)―(G)、

 この関係は直角ではない。


 そこは、<ほぼ直角>の約半分である。




 この時点で "蜘蛛宇宙人" が確認していないのは、

 地点(A)から地点(B)、

 地点(C)から地点(D)、

 地点(G)から地点(F)

 である。


 それぞれは

 ――それまでの行程を踏まえれば…

 結果を容易に予想する事が出来る。


 しかし、幾ら尤もらしくとも……

 ――どれだけ高確率でも………

 予想は<予想>に過ぎない。


 勿論、"蜘蛛宇宙人" も予想する――

 しかし、"蜘蛛宇宙人" は調べて確認するタイプなのだ。




 地点(A)から出発して、<一気に>上の三つを調べる事は可能だ。




 簡単だ。




 しかし……

 ――その時…

 "蜘蛛宇宙人" は地点(C)に向かう気になれなかった。




 人が道を進む上で、リスクを犯す必要がある――

 そんな時があるものだ……

 ――それでも………

 目の前に<在る>事が分かっている危険の中へ飛び込む前に<すべき事>がある。




 よって、"蜘蛛宇宙人" は

 ――上の三つの内

 二つだけを確認する事にした。




 地点(C)を踏まずに確認する事ができる二つの事だ。




 ――――――――――――――――――――――――


 因みに、これは

 ――ダンジョンの中……

 地点(A)から出発し、一度通った点やトンネルを二度と通過せずにどう地点(A)に戻るか?

 (地点(B)(C)(D)(E)(F)(G)はすべて

  ――最低一度は

  通過しなければならない)

 という問題ではない。


 ダンジョンの中、

 同じ地点(A, B, C, D, E, F, G,)を何度も通過する事は許されるが、それら地点と地点を繋ぐトンネルを二度通過する事が許されない場合、地点(A)から地点(A)に戻るまで、道筋が何通りあるか?

 (トンネル(AB)(BC)(CD)(DE)(EF)(AF)(FG)(BG)(GD)はすべて

  ――最低一度は

  通過しなければならない)

 ――そういった可能性を探らなければならない問題でもない。


 もっと条件を緩くして、地点(A)から地点(A)まで戻る最短ルートを探る問題でもない。


 "コーニスバーグの橋" 系の問題ではない。


 これは数学的問題ではあるが、それら問題とは何も関係がない。


 ――――――――――――――――――――――――




 さて、"蜘蛛宇宙人" が取るべき最初のステップは二通りある。




 地点(A)から地点(F)に向かう事。


 地点(A)から地点(B)に向かう事。




 どちらでも同じ様に見える。




 歩きながら、




 右に注意を向け続けるか?


 左をそうし続けるか?




 の違いだ。




 そして選択は

 ――それぞれ…

 状況に影響を与えて状況を変化させる事はあるが

 ダンジョンシステムそのものを変える物ではない。




 "蜘蛛宇宙人" は

 ――その時

 以前と同じステップを繰り返す事が出来た

 ――しかし、そうしなかった。




 地点(A)に立つ "蜘蛛宇宙人" は先ず、地点(F)に向かった。




 地点(F)にて壁を知るまでは、24歩であった。




 そこから地点(G)へ行った。




 23歩目で、"山" を踏みしめた。




 そこから地点(B)に向かう。




 前が見えない為にスコップを前に突き出す様にして進んでいたから、

 23歩目で柄の長いスコップが、壁に




 「ˇ」




 と突き刺さった。




 暗闇の中…

 ――"蜘蛛宇宙人" は

 横にして持っていたスコップの先を地面に下ろし、縦にする。




 そして、一歩前に踏み出す。




 24歩目を踏むと――




 あと確認すべき事はひとつだけ。




 地点(A)―(B)間にあるトンネルの長さだけ。



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