わたしは此処にいる
翻訳は、この国では実績となる
――しかし、翻訳は何も生産していない。
右から左へ移しただけだ。
それに翻訳は常にマイナス1
――原文読めれば加わる1。
ただ――その1は本来0。
光の下、
"蜘蛛宇宙人" には
その<固い物>が何か
すぐにわかった。
それはMDプレイヤーであった
――イヤホンは付いていない。
電源を入れると、
「ざ――…」
「ざ――……」
「ず――………」
そして――無音。
ただ、音声データの容量は<それだけ>である事を示してはいなかった。
"蜘蛛宇宙人" は待った……
――すると、語りが始まった。
「個々のセンテンスは隣り合っているからといって絶対的に相互作用が約束されている訳ではない。集合Sの中、その中にあるものがすべて、共有した条件に基づいているとは限らない。そして条件下、同じ動きをするとは限らないのだ。ただ、中のひとつが変化した時、その変化は内部の他に影響を与える事は確かだ。フリーバリアブルが用いられた式、その中に設置されたインディビジュアルな数字は、たとえアピアランスが実数に見えても必ずしも実数的カテゴリーに適合する対象に為るとは限らない。人々は推論の原理によって<そうである>と仮定しているだけだ。切断した時、数の属性が変化する事がある。多くはそう見ない様にしているだけだ。計算する為に。多くは記号と数字を並列させたりアダプトさせたりする時、記号と数字そのものをずらしても、それぞれのクラスを同時にずらしはしない。だから歪みが起こるのだ…」
そして次のトラックに移った。
「通過した物が、次のステップでも同じ状態であるとは限らない。それが違って見えた時、次元という言い方をする者がいた。そしてその人物は、それが同じ場所である事を拒否するのだ。センテンスは同じ状態であり続けるとは限らない。通過する事で状態は変化する。通過したという事によって。1を常に加える。否定する為に……」
そして次のトラックに移った。
「いつでも最初に1があり
それに記号を加減する。
いつでも最初に1があり
入れ換えるのは記号だけ。
1だけ普遍に設定すれば
隅から雪崩れが起きるもの。
1だけ普遍に設定せねば
定理や式は座ったまま。
足がないから座ったまま。
英語にラテン語を混ぜたなら
混ぜた先からずれていく。
意味はいつでもずれていく。
ラテン語に英語を戻しても
新しい物は生まれない………」
――――――――――――――――――――――――
因みに
――わからない者は
上が、何かの<予言>の様に聞こえるかもしれない
――しかし、予言だのといった怪しい内容ではない。
実際、与えすぎない様にするには、こういう置き方しかないのだ
――世の中には知るべきではない程度の人間がいるのだから。
それらは常に腹を立て――収める事を知らないものだ。
これは
――何度も示している様に
数学の話だ。
数学の話だ。
ただ、これは数学的問題であるが、
推論の原理を用いると解けない様に作ってある
とだけ言っておこう。
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わからない人には<狂人の告白>としか思えないだろう……
――そして…
――わからないのが大多数。
そしてわからない事を恥ともしない……
――知ろうと努力をしさえしない。
落ちてくるのを待つだけだ………
――座って……
――落ちるの…
――待つだけだ。
それらがする事――嫌う事。
何もしないで――嫌う事。
――――――――――――――――――――――――
MDプレイヤーは止んだ。
そして "蜘蛛宇宙人" は立ち上がる。
MDプレイヤーを持って進もうとしたら、
手が嵩張る事を知った。
既にスコップがある
――タブレットがある。
だから置いた
――元通り。
しかし――状況が元通りになる訳ではない。
それでも――関係がない。
"蜘蛛宇宙人" は歩き出す
――地点(D)に向かって。




