わたしは此処にいる
"蜘蛛宇宙人" は考える。
タブレットに現れた言葉の意味は考えない
――そしてその決断は正しい。
"蜘蛛宇宙人" の視点
――立ち位置
で考えると、意味のない言葉の羅列だ
――まだ。
まだ。
そして "蜘蛛宇宙人" は、あの言葉の意味を考えるべき場所にも立っていない
――材料が足らないのにも関わらず判断を下すべきではない。
よって、"蜘蛛宇宙人" が考える事
――忘れない内に考える事。
《24歩》
地点(C)から24歩
――つまり…
地点(B)から地点(A)は23歩という事。
この単純計算――……
前提化――………
これらが問題に於ける問題となる事もあるが、此処では
――それに触れるのは
よそう。
上の
――"蜘蛛宇宙人" が行った
単純計算は正しいとも言えるし、正しくないとも言える
――実際に歩数で数えると、23歩なのだろうから。
"蜘蛛宇宙人" は頭の中で上の様に確認をすると、向きを変えた。
今度は地点(G)を目指すのだ。
踏み出す頃にはもう――
地点(C)から歩き出した時に失っていた<方角の意識>を完全に取り戻していた
――タブレットに光が灯ったのだから
――そして……
――それによって…
――そこに<骸骨>があったのが見えたのだから。
インデックスさえ在れば、修正は容易い。
それでも――
タブレットの光が消えない内に
――はやく。
はやく。
文字が消えないからではない……
――光が消えない内に………
――はやく。
はやく――
進むのだ――
タブレットの光は永続的ではないのだから。
タブレットの弱い光で、道の様子が少しだけマシに見えていた
――マシといっても
――見える物は
――白マテリアと黒い丸位だ…。
光がある――
それでも見えない物があった
――歩き続ける "蜘蛛宇宙人" の目線の高さからでは
――確認出来ない物があった。
それは、変化であった。
"蜘蛛宇宙人" が地点(B)から地点(G)に向かうトンネルを通るのは3度目である。
そしてそのプロセスを経過する上で常に残してきた足跡が消えているのだ
――スコップを突き刺した跡も同じである。
その理由は簡単だ――説明は要らないだろう。
そして消す作業時に排出される余剰は脇に寄せられていた
――轍の様な物だ。
故にトンネルの形は
――"蜘蛛宇宙人" の視点では……
――"鳥頭" の視点では…
円では、なくなっている
――シンメトリーには見えるだろうが完全な円ではないのだ。
これはダンジョンを理解する上では重要な点であるが、単に歩く事を目的としているその時の "蜘蛛宇宙人" には必要に見えず、故に
――"蜘蛛宇宙人" は……
着目をしなかった。
"蜘蛛宇宙人" は、その様に変化した地面に足跡とスコップの跡を
――新たに
残しながら歩いた。
そして地点(G)に辿りついた。
24歩であった。
タブレットのお蔭で見える地点(G)の様子は
――最後に目撃した時と
様子が
――大分
変わっていた。
先ず、"鳥頭" がいなかった。
そして
――以前
"鳥頭" がいた場所
――壁
に大きく
――新たに
<穴>が開いていた。
その穴は、トンネルではなかった――
ちょうど壁に埋まっていた "鳥頭" の分だけ
――それも
――量的に云えば
――"鳥頭" の上半身の分だけ………。
あいた穴は、それ程大きな物ではなかった。
他にも変化があった。
地点(G)の地面には "山" がひとつ――
「こんもり」
――と在った。
白マテリアで出来た "山" であった
――"鳥頭" が壁に埋まっていた頃には
――なかった "山" だった。
その "山" の表面には、足跡が見えた
――勿論、"蜘蛛宇宙人" の物。
地点(F)から斜めに進んだ時に出来た足跡だ
――すなわち
――その "山" とは……
――暗闇の中…
――歩む方向を
――少しだけ
――捻じ曲げた
――あの "山" と同じ物である。
その "山" の周囲に、白マテリアが散乱しているのが見えた。
大小様々な塊。
ただ、地点(G)の真ん中から
――地点(B)の方角に向かって
――まっすぐ
地表が滑らかな場所もあった
――それは地点(B)へのトンネルに続いていた。
その凹凸のない地表に、白マテリアの塊が落ちている様な事はなかった。
"蜘蛛宇宙人" は、立っていた。
そのうち、"鳥頭" が埋まっていた場所に出来た<穴>に関心を持った。
跪き――
タブレットを傾けた。
"蜘蛛宇宙人" がタブレットを近づけても――
その微弱な光でも――
奥を見る作業が簡単になる事はなかった。
そこで "蜘蛛宇宙人" は手を入れる――
手袋を嵌めていない方の手。
中を探る。
何もない。
そこで少し
――指先で
穴の奥を掘ってみた。
中は――
家庭的な人間であるなら、
「クッキーのドーを捏ねている様な感触だ」
と表現する――
そんな手触りだった。
ただ、そればかりではない事がすぐに分かる
――中には固い物があるのだ。
そして "蜘蛛宇宙人" は、それに触れる。
摘んで、引いてみた。
その<固い物>は、簡単に出てきた。
そして
――"蜘蛛宇宙人" は
――地点(G)のスペースまで引き摺り出すと……
タブレットを<それ>に翳した。




