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わたしは此処にいる

 "蜘蛛宇宙人" は手探りで地点(E)に行く。




 角を曲がり、地点(F)に行く。




 そして角を曲がり――




 地点(A)に到達する。




 それぞれのプロセスと状況は同じであるから、描写は割愛する。




 地点(A)を踏みしめ、そこに至った事を "蜘蛛宇宙人" は確認する

 ――何も見えない暗闇の中でも、それは可能だ。




 そして手袋の上だからといって、間違える事はない

 ――裸の手で触れても同じだ。




 コンクリートの固さ。




 此処に至る事で

 "蜘蛛宇宙人" は

 ――暗闇の中でも

 ダンジョンの構造を理解する事が出来た。




 図を書きなおそう。




 「A」 ← ← ← 「F」

  ↓     ↙ ↑

 「B」 →「G」  ↑

  ↓   ↓   ↑

 「C」 →「D」→「E」




 しかし――



 上の図が

 ダンジョンの構造

 ――トンネルの繋がり

 表しているからといって、

 以前提出した<不可思議さ>という物

 ――"蜘蛛宇宙人" が抱いた疑問

 が完全に解消された訳ではない

 ――それを解く為には、さらに<確認>が必要なのだ。




 "蜘蛛宇宙人" は歩き出す


 ――地点(A)から地点(B)へ。




 ただその前に――




 いくら "蜘蛛宇宙人" でも、喉が渇いた様子だ。




 地点(A)の床には、水が溜まったままだった。




 "蜘蛛宇宙人" は、現代に生きる者であるし――

 清潔な水が普段から常備されている環境で育ってきたから――

 率直に――




 《汚いかもしれない…》




 とは思う

 ――躊躇う……。


 ただ、背に腹は変えられない

 ――それまでの道程で、湧き水や水道は確認できなかったし………

 ――その後

 ――新たに水源が発生する事を期待するのは難しかった。




 "蜘蛛宇宙人" は

 ――その時

 コンクリートに溜まった水が

 飲料水となる物かそうでないか

 を判別する基準を持っていなかった。




 ただ、大量の水滴が襲来した時、




 《くちに入る物もあった》




 事を思い出していた

 ――水は、くちに入ったが

 ――"蜘蛛宇宙人" の身体に害は起こっていない。




 跪いた。




 すくって、飲んだ。




 うまくもまずくもなかった。




 喉が潤うと

 ――とつぜん

 疲れが出た

 ――それまでもずっと在り

 ――蓄積をし続けていた疲労が

 ――「グログロ……」

 ――と鳴りながら

 ――内奥から噴き出る様であった。




 そしてそれは体表に出ず


 ――皮膚下


 中で巡り続ける印象があった。




 それは消えない――




 それでも "蜘蛛宇宙人" は立ち上がり、歩き始める

 ――他に方法などないのだ。




 地点(A)から地点(B)に向かう。




 地点(A)から地点(B)を繋ぐトンネル道の水は

 ――以前より

 嵩が減っていた

 ――白マテリアは水を吸うのだ。




 靴越しであったが、踏みしめた "蜘蛛宇宙人" にはそれがわかった。




 最早六度目だ

 ――"蜘蛛宇宙人" は同じ道を歩む。




 暗闇の中を歩く。




 状況はほとんど同じ。




 しかし、"蜘蛛宇宙人" の頭には変化がある。




 「いち…」




 「にぃ……」




 「さん………」




 "蜘蛛宇宙人" は、進みながら、歩数を数えている。




 そして――




 遂に――




 「よんじゅうろく……」




 「よんじゅう…」




 四十七歩目の<次>を踏もうとして、壁にぶち当たった。



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