わたしは此処にいる
何も来ない。
だれも来ない。
兆しもない。
"蜘蛛宇宙人" は
《前に進もう》
――そう、思う。
そして――
"山" を迂回しようとして――
しなかった。
それまで、直線的に歩いてきた。
《迂回すると、方向がわからなくなるのでは…》
と予想した
――ただでさえ、闇の中
――何も見えない、黒の中。
だから、"蜘蛛宇宙人" は "山" を上る事にした
――敢えて。
スコップを "山" に突き刺し、傾斜を上がる
――そして下る。
ただ、"蜘蛛宇宙人" は知らないのだ――
平らだった道から "山" に上がった時、
山は崩れ……――
おりる時には………――
それまでの<均衡>が崩れる事。
崩れた時に風が起き
――<余波>が生まれる事……。
しかし、ダンジョンシステムそのものに影響はない
――ただ
――システムの中にある "物" 達は
――すべて
――間接的影響を受けるのだ…。
"蜘蛛宇宙人" は
"山" を降りてから
まっすぐ進んだ
――道は続いていた。
道をただ歩く――愚鈍に。
「ˇ」
を残し、ただ進む。
"蜘蛛宇宙人" は歩数を数えない
――まだ。
歩数が重要である事に気付いていない。
何も見えない――ただ道がある。
そして前後に空間がある。
手に持ったタブレットは、うんともすんとも言わない
――失った光は……
――言うまでもない。
気紛れに
《道を折れてみようか?》
――そう思う
――しかし、すぐに壁にぶち当たる。
半円の壁が右にあり………
――シンメトリカルなそれは、別の方にもある。
すべては黒
――それでも……
――"蜘蛛宇宙人" の前には障害物のない道が続いている。
それもすぐに終わる。
壁があった。
道の先
――まっすぐ進んできた "蜘蛛宇宙人" の前
壁があった。
その周囲を手探り。
壁は左右に続いている――壁に沿って、空間も続いている。
位置を把握していない "蜘蛛宇宙人" は
<その先がどうなっているか?>
予想がつかなかった。
そしてそこは一度踏破した場所である事に気付かない。
その時だった。
右手に
――遠く
白い点
が見えた。
大きな白い点。
それは動いていた。
《見間違いか?》
と "蜘蛛宇宙人" は思う――
錯覚にしろ、見える<物>。
白い点は黒い空間の中、蝶の様に
――上下左右
に揺れていた
――そして白い点は拡大しない。
そして白い点の動きが止まった。
"蜘蛛宇宙人" は
――引き寄せられる様に…
《右に行こうか……》
と思う
――そして、止めた。
空間に、匂いはない
――心地良い音はない。
"蜘蛛宇宙人" は左に進んだ
――そして次の地点に到達するのだ。
ずっと続く道の上
――ずっと続くパッフェな黒の中
――であるから
"蜘蛛宇宙人" は、次の地点が何処か、予想がつかない
――それでも、わかる………
――後でわかる……
次は、地点(E)である事を。




