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わたしは此処にいる

 読まないよ――頭が悪いから。


 読めないよ――頭が悪いから。


 「意味わかんねぇよ!」――頭が悪いから。


 意見があるの?――頭が悪いけど。


 何度も確認した――あなたには読めないの。


 その時に問題となるのは――わたしではない。


 あなた。


 つまらないのは――あなた。



 "鳥頭" から少し離れて立つ "蜘蛛宇宙人" はスコップを握りしめる――

 先程より強く――




 「ぎゅ」




 と、音がしない…

 ――ただ強く握るのだ。


 そして

 ――地面に置いていた

 ライトを掴もうとする

 ――手近へ引き寄せる為……

 その時だった。




 壁が――




 爆発した




 ――否

 <爆発した>様に見えた。




 "鳥頭" の横

 ――"蜘蛛宇宙人" が掘っていた場所

 ――壁

 が突然、盛り上がり

 ――盛り上がりは一瞬………

 そして中から<何か>が飛びてきた。


 <それ>は闇の中、瞬時に判別はつかない

 ――たとえスポットライトが当たっていたとしても……。


 その<何か>は壁から伸び、


 そして




 「がしり!」




 そして――




 "蜘蛛宇宙人" はライトを取る為に伸ばしていた手を動かせなくなった。




 その<何か>の突発的突出

 ――それに付随する周辺環境の変化

 ――刺激

 によってライトが転がり

 ――丁度ホックを持つ尻を軸にして扇形に回転したのだ…

 ライトが別方向を向いていた

 ――ちょうど右に伸びた通路へ

 ――ホローに。


 それでも

 ――間接的照明効果によって

 "蜘蛛宇宙人" には状況がわかった。




 減ってはいても、見るには十分な光であったから。




 見ると


 ――"蜘蛛宇宙人" の手首が掴まれている。




 手だ

 ――人間の手だ。




 ちょうど中指が出ていた所から腕が出て


 手が手首を掴んでいた。




 「逃がさねぇ」




 分厚い手。




 "蜘蛛宇宙人" は後退りした。




 引き抜けない。




 「逃げがさねぇ!!」




 握力の増加がある。




 痛みはない。




 "蜘蛛宇宙人" は踏ん張る。




 掴む手の力は強い。




 痺れがある。




 遠ざかろうと、スコップを壁に突き刺した。




 すると、


 手袋が脱げた。




 白フェイクファーの手袋が脱げた。




 "蜘蛛宇宙人" が後ろに跳ぶ

 ――手袋を残して

 ――しかし

 ――スコップは離さない。




 距離を取ってから視線を戻すと

 ――間接的光の中

 手袋が宙を舞うのを見た。




 そして地面

 ――どこか……

 に落ちた。




 そして飛ぶ前に手袋があった場所が

 ――闇の中

 ――その<塊>が

 動き………




 ――そして光が動く。




 光の領域が動き

 ――右から

 ――左へ

 ――下から

 ――斜め上……


 そして




 「か!!!」




 "蜘蛛宇宙人" は目を細めた

 ――手を翳した。




 スコップを持たない手

 ――手袋を嵌めていた掌。




 "鳥頭":「人が我慢してりゃいい気になりやがって!!」


 "鳥頭":「このライトだって、もとは俺のモンだ!」


 "鳥頭":「スコップを返せ!!」




 眩しさから、"蜘蛛宇宙人" は身体を横にスライドする。




 光が追ってくる。




 右往左往する。


 その間に、状況が掴めた。




 壁から "鳥頭" の中指が現れた事から

 ――壁が脆くなったのだろう…。


 手を出す事が出来る程度まで、白マテリアが脆くなったのだろう。




 "蜘蛛宇宙人" が横に動くたびに、光が追う。




 白。




 白。




 白。




 白。




 "鳥頭":「さぁそれ [スコップ] を寄越せ!!!」




 "鳥頭":「手さえ自由になれば自分で出来るんだから!!」




 "声" の主

 ――その顔

 は見えない。




 白。




 白。




 白。




 白。




 そして "蜘蛛宇宙人" は

 ――白に直面

 ――白に包まれ

 白の中、異質を見分けた。




 手袋だ。




 "蜘蛛宇宙人" は

 ――ダッシュ

 ――そして

 ――屈み

 手袋を掴んだ

 ――すくう様に。




 そして、背を向ける。




 目を閉じていた。




 だから、


 目を開けた。




 真暗。




 "鳥頭":「逃げるのか!」




 "鳥頭":「スコップは置いていけ!!」




 その命令に "蜘蛛宇宙人" は従わない。




 来た道を戻るのだ

 ――地点(G)から地点(B)へ。




 黒だけが広がる道へ。




 怒声が容赦なく追いかけてくる。


 "鳥頭":「スコップは置いていけ!!!」


 "鳥頭":「この卑怯もん!!」


 "鳥頭":「待ってろ!」


 "鳥頭":「すぐ行くからな!!」




 "鳥頭":「すぐ行くからな!!!」




 耳の周り……――




 声が木霊す――




 蝶の様に。




 "蜘蛛宇宙人" は振り返らない。




 先は真暗。




 白マテリアは見えない――


 そこにあるだろう事がわかるだけ。




 手や足で触れると




 「ぼろぼろ」




 と

 ――音も無く

 崩れ去る様子がわかるだけ。




 手形を残さない

 ――指の腹で掠るだけ………。




 足跡を残さない

 ――消す様に、擦るだけ……。




 追いかけてくる "鳥頭" の "声" は、負け犬の遠吠えではない

 ――本当の社会的負け犬は "蜘蛛宇宙人" の方である。




 そして


 その<遠吠え>は


 声にならないものだ




 ――言葉にならないものだ。




 "蜘蛛宇宙人" に、道はわかっている

 ――しかし、道は見えない。




 真暗。




 一度バランスを崩し

 ――膝を着いた。




 後から声は来なかった。




 振り返る事なく――


 すぐに "蜘蛛宇宙人" は前進しようとする。




 歩く

 ――声は止んでいた。




 そして

 ――しばらくして

 少しだけ地面の踏み具合に変化が現れる

 ――そこは地点(B)だ。




 そして地点(B)にて変化が現れるのだ

 ――それは視覚的変化だ。



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