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わたしは此処にいる

 "蜘蛛宇宙人" は、スコップを地面に突き刺した

 ――それを見て、"鳥頭" は怯む。




 スコップの脇で

 仁王立ちのままの

 "蜘蛛宇宙人"。




 それを見て、"鳥頭" は

 ――コケッと首を捻り

 ――目を見開き

 様子を見ている。


 そして――




 「お前は…誰なんだ!?」




 "声" は道の中、ホローに聞こえた。




 二度目に発されたその言葉からは、率直さが消え

 ――たとえ消えていなくとも

 ――少なくとも

 ――それは

 <詰問>のカプセルで覆われていた。




 "蜘蛛宇宙人" は、相手からの質問に答えない。




 「誰でもイイ!!

  ――そこの "誰か"!!!」

  ――ここから出してくれ!!」




 "蜘蛛宇宙人" は

 ――スコップを掴み

 ――引き抜き

 一歩前に踏み出した。




 その時、"鳥頭" の顔に変化が生まれた。


 まんまるに見開いていた目が窄み――


 目は偏円……


 そして上下に開くだけだった嘴――

 横に広がる

 ――そして

 ――歪む。




 歪む。




 そして――その歪みの顔が、<正>なのだ。




 "蜘蛛宇宙人" は、<それ>を見た。


 そして

 ――前進する為に

 浮かせていた片足を宙で止めた。


 そして

 ――その足を

 足跡を既にプリントした場所に戻し――

 嵌めた。


 そして




 「ˇ」




 "鳥頭" が、相手の態度を確認した。


 「どうした?」


 "鳥頭" の目が見開いた。


 「どうしたんだ!?」




 "蜘蛛宇宙人" は、何も言わない

 ――スコップを引き抜かない。




 「助けてくれ!!」




 「俺はずっと此処に閉じ込められているんだ!!!」




 「早く出してくれ」




 「出してくれぇぇぇ!!」




 その時だった。




 "蜘蛛宇宙人" は腹が減っている事を思い出した

 ――そして、自身の腹に手を置き

 ――自身の腹に目線を投げた。




 それを "鳥頭" は見ていた

 ――めざとく見ていた。

 だから――


 "鳥頭":「腹が減ってるのか?」




 "蜘蛛宇宙人" は答えない。




 "鳥頭":「食べ物はある」




 「何処に?」


 ――と返す、"蜘蛛宇宙人"。




 その切り返しの速さを、"鳥頭" は見逃さなかった。




 「俺を出してくれれば、食べ物のある所を教えてやる」


 ――と、真顔の "鳥頭"。




 「そもそも、どうやってそこにいた

  ――いる事になったんで?」


 ――"蜘蛛宇宙人" は、話を変えた。




 「此処にいた?」




 "鳥頭" は少し頭を落とし

 ――また持ち上げた。




 "蜘蛛宇宙人":「そう――です」




 "蜘蛛宇宙人" は視線を逸らし

 ――戻した。




 "蜘蛛宇宙人" が言葉を継がずとも

 ――壁に埋まった

 "鳥頭" は、相手の意図を理解した様で――


 「お前は――

  あんたは――

  あんたが此処にいる理由――

  それを――

  それを知っているのか?」




 「調べます」


 ――と "蜘蛛宇宙人" が返す。




 「世の中で、自分がそこにいる理由を知っているヤツがいるのか!?」




 「調べればいい」




 「調べてわかるのか?」




 「調べれば、手掛かりは見つかりますから


  ――それに………


  ――生きている間に理由が見つからなくとも……


  ――クルーにさえ辿りつけなくとも…


  ――誰かが辿りつきます


  ――きっと "誰か" が見つけますよ……


  ――そんでその "誰か" が辿りついた時


  ――そこにオレがいる


  ――<存在する>


  ――理由が生まれるのだと思います」




 "鳥頭" は鼻で笑おうとしたが、そのスカフが始まり

 ――音の成立によって表現が完成する前に

 "蜘蛛宇宙人" は、自分の言いたい事を相手に伝えていた――




 「――オレは同じ場所にい続ける為に走りません


  ――オレは走ります


  ――目的地に向かって走ります


  ――いっぽ一歩、前に向かって走ります


  ――その結果として、以前いた場所に引き戻されようとも………


  ――そこがパッフェな暗闇で、前が見えなくとも……


  ――オレは少しでも進むために走り続けます


  ――そして行為は理由となるのだと思います」




 「なんだそれ?」




 嘲りは

 ――インコンプリート。




 "蜘蛛宇宙人":


 「だから――」




 「そんな事どうでもいい

  ――早く此処から出してくれ!!」




 そして

 ――スコップを持った

 "蜘蛛宇宙人" は "鳥頭" に近づいていく

 ――地点(G)から離れる事無く。




 ああ!!!

 ――"蜘蛛宇宙人"

 ――哀れなり

 ――いとあわれなり。




 相手には――


 わかりっこないのに。




 いくら説明しても――


 わかりっこないのに。



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