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二周目の転生勇者は魔王サイドにつきました。  作者: さな
二周目の転生勇者は魔王サイドにつきました。
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アマギと決起集会

王都にある屋敷に戻った私は、教会潰しの計画を練っていた。


その前に…とりあえずこれまでのことを整理してみようか。


まず異世界にやってきた私はシノノメと名乗り、教会から追い出されるように脱走した。

そしてギルドと教会が手を組み、魔族を攫っている事を知る。その際に出会った魔王軍所属シェイドとシェリルを足がかりに魔王と謁見した。


その後、私はアマギと名乗りを挙げ、魔王軍の側近の座を手に入れ、国王ジェラールとの橋渡しになる。魔王軍と国王含む反教会勢力が協力して教会を潰すことになり、私は地下通路を使い教会に潜入した。

そこで見つけた結晶化したキールの体を取り込み、今の容姿はキール本人と変わらない。ついでと言ってはなんだが、憂さ晴らしにエルネストを礼拝堂共々吹き飛ばしておいた。


次に教会で遭遇した教皇モードレッドが人外の力を見せたことについて、詳しく調べるために私は港町ミクラに行く事となる。途中で事情を知っていそうなアシュマを拉致り、旧中立国の王都を発見した。旧中立国から現王都までは地下通路で繋がっている。そして地下通路を利用して、封印されていた自称妖精王のクラウンが運び出された事を知った。



今までの事を思い返し、教会の目的を考えると……

教会はクラウンの復活を目論んでいる。

実際に動いているのはおそらく教皇に憑依した前魔王とジンだろう。ゼノに憑依していたジンはこの前吹き飛ばしたが、生きているはずだ。

クラウン復活には大量の魔力が必要だ。しかし現在どれほどの魔力を集めているのかは知らない。

教会が行った勇者召喚もクラウン復活に何らかの関係があると思われる。



以上の事をふまえると……

クラウンの復活を阻止を最優先に動かなければならない。

そして、貴族の屋敷に囚われた魔族達の救出し、更には教会側につく者共捕らえねばならない。


そうなると、地下通路の調査要員を始め、魔族の救出要員、聖職者の捕縛要員が必要だ。…となれば、現在の状況では人手がまったく足りない。


そういえば教皇と対峙した時、シヴァとの意識の同調が切断された。そればかりでなく術式の効果も薄かった。あれはなんだったのだろうか。


影の空間に閉じ込めていたアシュマを呼び出し、訊いてみる。


「クラウンには精霊が一切近づけない。ティタニアがそういう精霊避けの呪いっぽいものをヤツにかけたんだよ。術式が弱まるのはジンの仕業だろうな。ジンはそういった補助の術式が得意だったはずだ。」


なるほど、なら闇の精霊に地下通路を探索してもらおう。精霊が近づけない場所がクラウンの居場所だ。

すぐにシヴァに指示を出し、闇の精霊を総動員する。魔族の救出は魔王軍にやってもらうとして、問題は聖職者の捕縛だ。

聖職者共とて抵抗しないわけがない。おそらくギルドの連中を使ってくるだろう。それに対抗するのが反教会派貴族の私兵だけでは、心もとない。

前ギルド長サウロが信頼している冒険者や傭兵に声を掛けると言っていたが、彼の人望でどれほどの実力の者がどれだけ集まるのか、未知数だ。

やはり騎士団まるごとこちら側に取り込むしかあるまい。だが教会側にばれず、どうやってこちらの意に従わせられるかが問題だ。


案が浮かばない。……私一人で考えられるのはここまでのようだ。

そろそろ反教会派の集会がある。そこで誰かの妙案を待つとしよう。




◆◆◆◆◆




「騎士団内の教会派なら私の密偵の方で調べが付いている。」


ジェラールのこの言葉により、集会が始まってそうそうに問題は解決した。

今夜、集会に実際に集まっているのは、ジェラール、サウロ、前宰相クロード、魔王アガレス、シェイド、シェリルの私含めて7人だ。他の貴族たちは水鏡により参加している。ジェラールと契約している水の五大精霊ミーアがその力を使って、水を媒介に声や映像を届けているのだ。


「ならば明日にでも私が騎士団長を味方に誘い込むわ。」


現騎士団長はキールと馴染みのあるバルクだ。私がキールのふりをすれば容易くおとせるだろう。


「バルクには私からも言っておこう。騎士団長を引き込めたなら、敵に情報が漏れる前に決起する。我々が動くのは建国祭が最適だと考える。アマギ、魔王はどうだろうか?」


建国祭は2週間後。ある程度準備は終わっているが、万全を期すにはいささか不安な日数だ。

しかし情報漏洩のことを考えれば、決起は早ければ早いほどいい。


「異議なし。」


アガレスが承諾する。私もそれに続き、賛成の意を示した。


「では、建国祭に向けて各々の準備を始めるようにしてくれ。」


皆が頷いたのを見届けて、ここからは私が取り仕切る。


「計画は簡単よ。裏で魔王軍が魔族を救出しやすいよう、表で私兵や騎士団で派手に聖職者どもの捕縛をしてもらう。------抵抗する者には一切の情けをかけるな。」


冷たくいい放てば、一瞬にして緊迫感が増した。私にとってこれは実権の取り合いや仲間の救出劇ではない。生まれてこのかた17年引き摺り続けた復讐だ。


「まずは例年通り、国王には教会に向かってもらう。警護は教会派を除く騎士で固めるわ。そこに私と魔王も同行する。魔王軍は前日から魔族が囚われている貴族屋敷に張り込んでおくこと。それぞれ集めた私兵や傭兵たちには国民の安全確保をやってもらうわ。」


一つずつ私の計画を詰めていく。すべてが終わるのは夜が明けたころだった。

まずは騎士団長を引き入れなければならない。





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