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第1話 転生

 ……ううっ……眩しい。


 眼窩に降り注ぐ容赦ない光が、強制的に○○の意識へと覚醒を促していた。



 まあ要するに、眩しくて目が覚めたわけだ。


 無意識のうちに手足をモゾモゾさせようとしたのだが、

 ……ん? なんか違うような? う~~ジタバタジタバタって……やはりヘンだし。



 どうなってんだ? この手。


 で持ち上げてみた自分の手が……えっ? これって……ちっさー!



 目の前にあったのはモミジのような、ふにふにの小さな手でした。


 これはどう見ても赤ちゃんの手です。


 身体も小さくなってるみたいだし、当然ながら言葉もしゃべれず……っていうか出来ることと言えば泣くだけですね。



 なんか目も悪いみたいで近くしか見えません。


 遠くはボンヤリしてるなあ……人の顔も見えないし。


 これって赤ちゃんだからかな?



 でまあ、そのボンヤリとして一応人間であろうと判別できる誰かの話し声が聞こえるんだが、どうもしゃべってる言葉が日本語じゃないようだ。


 しかし何故だか意味は分かる。


 ……便利なんだけど釈然としないなぁ。


 どうやら○○は異世界に転生したようだ、しかも赤ん坊になって。



 あ~ちなみに自分のことを○○とか言ってるけど、名前が思い出せないんですよコレが。


 前世での性別はオトコ、年齢は30代後半のいちおう社会人、つまりはオッサンですな。夜勤明けでしこたま酒を飲み、何時の間にか眠り込んで目が覚めてみればこの有様。


 パニックになっても良さそうなものだが、自分でもふしぎなほど気分は落ちついている。


 実際のところ、こんな状況でジタバタしても仕方がないし、そもそも身体がふにゃふにゃで何も出来ないので、リアクションの取りようがないのだが。


 二日酔いにつきものの頭痛や気分の悪さもなくてスッキリだよ、ははは……。



 そんなわけで、お乳でも飲みながらまったり過ごすしかないかなと思っていた矢先、ボンヤリした姿の誰だかから聞こえた話しから、衝撃の事実が発覚!


「うふふふ、まあ可愛らしい女の子だこと」


「お母様に似て美人さんになるわよきっと」


 え? おんなのこ? オトコじゃなく?




 はい、そうなのです。


 生まれた瞬間、俺は華麗なるジョブチェンジを果たしていました。


 ……正確にはジョブじゃなくてセックスチェンジですけど。


 てことは一人称も「わたし」ってコトになるのかな?


 しかし「わたし」はなぁ……内股になりそうで嫌だし、せめて「ボク」ぐらいで勘弁してくれないものだろうか。



 なわけで、これから○○はボクとさせて頂きます。


 幸いにして言葉は分かるので、食う(この場合は飲む、かな?)、寝る、だす、あとコミュニケーションの手段として泣く、以外の時間は積極的に情報収集に励むことにする。


 といっても、寝転がって周りの話しを聞くだけなんだけど。


 その結果、わかったこと。



 まず、ボクの名前はアルツァ、姓はハルトマン、いちおう貴族の家柄だそうだ。


 ボクはその家の長女、両親にとっては初めての子供なのだと。


 貴族とはいっても我が家は何処かに領地があるわけでは無く、国から「銀」で家禄の支給を受けているらしい。


 まだ赤ん坊のボクには銀の価値も分からないし、年に銀6000枚って家禄が多いのか少ないのかなんて、まったく見当もつかない。


 視力が乏しいので顔の判別までは難しいのだが、ボクの見た限りでは使用人の数もあまり多そうではないし、極端に貧乏という程では無いにしても、貴族のレベルとしては大したこともないのだろう。


 何にせよ、生まれてすぐに死亡フラグが立つような状況では無さそうなので、一安心ってところかな。



 我が家に生活の糧となっているらしい「銀」を支給してくれているのが、ハルトマン家を召し抱えるアントロポス班国。


 なんでもこの大陸の過半を支配する帝国の四大班国、その一角を占めている国なのだとか。

 その王都エクレシアにハルトマン家も館を構えているのだ。


 エクレシアという名は班国を治める女王様の名前でもあるのだが、このエクレシア様という方は神々しい程の物凄い美女なんだけどアタマが着脱可能らしい。




 えっ?


 首が取れても死なないとは空中要塞を駆る某伯爵を思い起こしてしまうが、にわかには信じがたい話しである。


 もし本当なら、それって人間なんだろうか?


 まあ侍女達の話しの端にそれらしい内容があっただけなので、ボクの聞き間違い、あるいは勘違いなのかも知れないけれど……。




 しかし! そんなコトより何よりスゴイのは、この世界には「魔法」が存在するってことだ。


 もといた世界で、ある種の方々が三十歳になると獲得すると云われていた伝説のジョブとは異なり、この世界にはリアル魔法使いが居るわけなのです。


 生前(前世のことですな)よく読んでいたラノベなんかでは、転生者の定番としてチート能力による超強力魔法が付随している場合が多かったし、夢が広がるなあ。


 すべての国民が三歳になれば魔法資質の判定を受けて、それぞれの資質に合った魔法を学ぶのが一般的とのことなので、それまでは我慢するしかないのが少し残念ではある。


 レベルの差こそあれ魔法資質がない人間はまず居ないそうなので、ボクの前途も洋々たるものに違いない。





9/17 各話のサブタイトルに話数を入れました。


これに合わせて、一部の表現を10話以降に合わせて修正させて頂きました。

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