第十五話:てめっナメてんじゃねーぞ10
この前は散々だった。
何がだって?
それはこの前を見てくれたら分かる。
あの後はAチームのパターン練習につきあわされ、
挙句の果てには次の練習試合のスタメンにも選ばれてしまった。
ちなみにポジションはスモールフォワード[言わばオールラウンダー]になった。
監督がものすごく期待しているようで、ミスりずらくなってしまった。
本当は自由にやりたかったのに...
まぁ、金曜の時に同じスモールフォワードである
こいはと練習できるからチャラにしている。
対して曾澤はというと
柊三姉妹から詰め寄られて困っているらしいし、なぜか綾にも無視をされて
陸上部でも肩身が狭いらしい。
可哀そうに...
そして今現在。
「さぁ、久しぶりのオフだな。」
「そうだね。れいは月水金で、僕が月火金だから
木曜と週末でしか何かしら一緒に行動できないからね。」
確かにそのとおりだ。
どっちともスタメンになってしまったせいか、練習量が増やされている。
どうしたものか...
「おっはよー!お二人さん!あれ?お疲れモード?」
「あっ、こいはか。そういえばバッシュありがとう。洗ったから返すわ。」
「あ~、いや全然大したことないよ?匂いとか大丈夫だった?臭かった?」
「まぁ、大丈夫。あと、普通にそういうのやめとけ女子が言うことじゃねぇぞ。」
「はいはい。れい君だから女子の靴でも普通に
においをかぎそうだなって思っただけ。」
おい、どういう偏見だよ。
確かに興味本位で嗅ぎそうにはなったけど、一戦は越えなかったぞ。
本当に失礼な奴だ。
「あっ!そういえば曾澤君は?どう?剣道と陸上は?」
「ん~、正確に言うとプラスに柔道と弓道だけどね。
まぁ、今のところ綾に無視されること以外大丈夫かな。」
「あちゃ~、綾ちゃんったら。わかった私から言っとくよ。」
「出来たらお願いします。」
こういうくだらない話をしてるほど時間が早く過ぎるものだ。
気がつくともう長い昼休みが終わりかけていた。
「やばい!私まだ授業の準備終わってない!」
「はい、おバカさ~ん。早く準備してきてください。」
「んっむ~。そういう二人は終わってるの?」
「「終わってる。」」
「うわーん!裏切者がぁーー!」
そもそもお前が悪いんだよと言いかけたが、それはさすがにいうのはやめといた。
「...ぁ。れい?」
「ん?どうした?」
「放課後『係りがある』から来てね。」
「!...分かった。」
そう言って曾澤は自分の席に戻っていった。
係りか...久しぶりだな。
学校の帰りの会の終了のチャイムが鳴り、生徒が一斉に帰っていた時。
教室で一人残り、れいは戦っていた。
それは敵でもなければ、生き物ですらない。
ただの紙だった。
「...終わらねぇ。」
その紙とは、体育のレポートの紙。今日が提出日だ。
体育の授業が終わった後に毎回振り返りを書くのだが、
めんどくさくて書かなかったため、こうなっている。
「なんでこんなもんやらないといけないんだよ。この担任クソゴリラが!!」
そう叫んでも、何も進まないため、れいは手を動かし続ける。
そしてれいはある結論に至った。
「もういいや。埋めるだけで。」
そうなるともう話は簡単。
五行ある振り返り欄のところに、
一行だけ「楽しかった。」「面白かった。」と書くだけ。
そうすると、秒で終わった。
「じゃあ出しに行きますか。」
そうしてれいは成績がつかないことを理解しながら、職員室に向かった。
「あの担任クソゴリラぶちこ〇す!!」
許されなかった。
提出はできたが、めちゃくちゃ怒られた。
体感は三十分。
しんどかった。
はぁ、早く行かねぇとアイザスにも殺されそうだしな。
じゃ、もう『テレポート』使わねぇと間に合わねぇ。
どこか使えるところは...
あっ、あそこなんてよくね?
見つけたのは掃除ロッカー。
そのなかにれいは入ると...
「ここならだれも見られない、よしっ!」
『テレ...』
「もー忘れ物しちゃったよ。」
こいは!?
『ポート』
ガコンッ!!
「うわっ!なんか掃除ロッカー動いた...?」
バシュンッ!
「すまん。遅れた。」
『テレポート』で来たのは橋の下のアイザスの結界内
『係』で話す時に空き教室ではなく、ここになった。
「いえ、大丈夫です。お越しくださりありがとうございます。」
「ん。で、呼んだ理由は?」
「はい。この前の天使に聞いたことと、部活動加盟で分かった私の仮説を
お聞きしてもらいたくお呼びしました。」
「なるほど。分かった話せ。」
「承知いたしました。
まずですが、『ニュータイプ』の存在についてです。
結論から『ニュータイプ』は学校の関係者の
中にいる可能性が高いということです。」
「それはなんでなんだ?」
「それは、あの崩壊の天使は異変があったところを調査する、
すなわち『ニュータイプ』の反応があるところに向かうと言っていましたので、
調査に来たところに『ニュータイプ』がいる可能性があるというわけです。」
なるほど...確かにそう考えるとそうだな。
「さらにですが、これは私の憶測でしかありませんが...
『ニュータイプ』は我々と同じ世界の人物だった可能性があります。」
「!!...それはたまげたな。どういうことだ?」
「『ニュータイプ』はトラブルという心理的不安から
『オーラ』が漏れるのだと言っていました。
私はこの『オーラ』を『魔力』と仮定し、考えました。
こちらの世界の人々は『魔力』を体で吸収し
『魔法』として放つ術すべをもってません。
ですから『オーラ』が出るということは、魔力操作にたけている人物だということが分かります。」
言いたいことは分かったが...
「なぜ『魔力』と『オーラ』が一緒だと仮定できるんだ?」
「それは、あの天使が『種族』というワードを尋問中に言ったからです。
この世界の住民なら『種族』という言葉は使わないでしょう。
しかしあの天使は使った。これは、あの天使個人か、『天使教』が
我々の世界の実態を知っているという証拠になるでしょう。
私はそこから仮定いたしました。」
えっ?そんなん言ってたの?知らなかった。
「そしてこのことにより、今『天使教』と『天使族』との関係を調べています。」
へ~、頑張ってるんだな。
「ん。ご苦労。...そういえば、部活動入って分かったことって?」
「あっ、そのことは、これも仮定になってしまいますが。
この世界の人々は私たちより『能力値』が
低いのではないか。というものです。」
あ~、確かに部活の練習の時に
あんまり走り回ってもないのに先輩方が疲れてたな...
「それは、俺も同意だ。けどそれで何につながる?」
「それは『目立つ』ということです。
我々にとって『目立つ』ことは何としてでも避けたいので...」
「いや、言うの遅いわ。もうちょっと早く言ってほしかった。」
そう、もうこちとら一年でスタメン取っちゃたんだから。
「申し訳ございません。
私たちの身の安全を確保するには、
奴らの手に渡る前に『ニュータイプ』を探し出し、
『天使教』をつぶすしかありません。」
「なるほどじゃあ、暇があったら迷子探しをすればいいってこと?」
「迷子...?」
かくれんぼは得意だからな、すぐ見つけてやるよ。




