第十四話:てめっナメてんじゃねーぞ9
〜レイの場合〜
「お願いします!」
俺の声が体育館に響き渡る。
「こちらこそよろしく!」
今返事をくれたのは二年生の先輩で男バス部長の
羽元林之助はもとりんのすけという人だ。
見た目は黒髪のツーブロックで身長は180前半の青少年だ。
つまり周りからキラキラオーラが出そうだな...
「まずはこの部活を選んでくれてありがとう。
じゃあ自分がこの部活を案内するね。」
「はい、お願いします!」
そう言うと先輩は僕を
体育館の倉庫のところに連れて行き…
「ここにボールとハンドル(バスケゴールを出す棒)があるから
次から準備を手伝ってね。」
「分かりました。」
「あと、今日バッシュ持ってきた?」
「はい。持ってきました。」
表ヅラではそんなことを言っていたが…
あぶねぇ〜!、マジで助かった。
なぜ、危なかったのか?それは…
〜「ねぇ、れいくん?バッシュ
持ってきてる?」
「えっ?何それ?」
「まさか持ってきてないの!?…
れいくん、バッシュは、室内バスケの時、
履かないとパフォーマンスが3割落ちるって
言われてるんだよ!」
へ〜、そうなんだ。知らん。
「もーしょうがないな。足何センチ?」
「えっ?多分24だと思う。」
「おっ!ピッタリー!れいく〜ん、運がいいね。
男子と女子は平日は月水、火木で別れてて、
金曜は合同練習だから…今日は水曜か。
私のバッシュ貸してあげるよ。明日返してね。」
「おっおう。さんきゅ。」〜
普通に男子に自分の日頃使ってる、
特に自分が身につけるものを貸せるって
どういう神経をしてるんだ?
まぁいいや、そのおかげで助かったからな。
「君すごいね、、最初からバッシュ
持ってきた人は、俺初めて見たかも。」
あれ?もしかして選択ミス?
持ってこない方が良かったのかな?
「とりあえず、君のレベルを知りたいから
ボールを扱ってみようか?」
「はい。分かりました。」
そういうと俺はボールを倉庫から取ってきて
先輩の前に戻った。
「まず、ドリブルしてみよっか。こういうふうに
まずボールを地面にバウンドさせてみな?」
よし!とりま最初は簡単だな。
そうして俺は先輩がしたものを真似してみた。
「いいね。じゃあこれは?」
そうすると先輩はボールを両手で交互に
バウンドさせてみせた。
「こうですか?」
そうして真似してみると
「おぉ、出来てるじゃん。」
あれ?もしかして案外いける?
その後も先輩の難題をクリアしていくと‥
「うーん、れいは、感覚が優れてるんだろうな。」
「そうですか?」
確かに前の世界で魔法はイメージで習得してしまうことが
多かったので納得してしまった。
「じゃあ、最後にスリー打ってみようか。」
えっ、もう打たせるんですか?
「待ってください!スリーポイントシュートってプロ選手でも三割の確率でしか決められない
あのスリーポイントですか⁉無茶ですよ!難易度上がりすぎですって!」
「そう?ここまで来たら君の才能を見てみたいかな?」
かな?、じゃねよ。無理だよ。
部活に来る前に調べたが、スリーポイントシュートは手首の少しのずれや、
手のスナップでの回転のかけ具合だけでも外れてしまうらしい。
それをやれと言われましても...
「大丈夫、一回お手本見せるから。」
そういうと先輩はボールを手に取り、一回バウンドさせて打った。
あっ、めっちゃきれい...
ゴンッ!
「え~、今打った感じめちゃくちゃいい感じだったのに...
まぁ、あんな感じ。じゃ、打ってみて。」
へ?先輩が目の前でミスったのに?
無理だろ。
「とりあえず、物は試しだよ。」
そう言って先輩は俺の背中をたたきボールを渡してきた。
「はぁ、僕ミスりますよ。絶対に。」
ここまで来たらやけくそだな。
そうして俺は両手でボールを転がし、態勢を整えた。
大事なのは飛ばすための力、そして山なりに投げて回転をかけること。
よし!やってやるか。
俺は覚悟を決めると、ゴールに向けてボールを放った。
山なりに飛んでったボールはやがて...
「あっ、入る。」
シュッ!
網とボールがこすれるような音が鳴り、ボールがリングを通りぬけた。
「「......」」
「あの~...」
「うーん、これからAチームでパターン練習するんだけど、そこにれい入って。」
あっ、すぅぅ~...................終わった。
〜相澤の場合〜
なぜか僕は柔道場にいます。
あれ?僕、剣道部に入ったよね?
「おい、早く構えろよ。」
目の前の柔道着を着た女子が僕に向かってそう言う。
なぜこうなっているのか...
~「お邪魔します。」
僕が剣道場に入った途端に
「あっ、稜人!」
一人の女子が駆け寄ってきた。
彼女の名前は柊麻友である。
僕が剣道に勝ったことにより、麻友先輩は僕に思いを寄せている...らしい。
「ねぇ、稜人の分の軽食も作ってきたから一緒に食べよう♡♡?」
「自分の分があるので遠慮しておきます。」
そういいながら自分の防具を入れた棚に行き、自分の荷物を置く。
「えぇ~?そんなぁ!」
ほんとこの人は困った人だ。
いつになったらあきらめてくれるのだろうか。
「あっ、もし良かったら私が稜人に防具をつけ...」
「いえ、大丈夫です。」
マジで隙があったらボディタッチしようとしてくるな。気を付けないと。
「うわ~ん、稜人が私に冷たいぃ~///」
「やめてください。本当に」
周りからの視線が突き刺さってきて痛いんだよ。
それでも~、と麻友先輩が駄々をこねてるときにあの人は入ってきた。
ドンッ!
「「!!」」
剣道場のドアを蹴り倒して入ってきた女子。
外見は紫髪で...って、もしかして...
「私は二年の柊恵理ひいらぎえりだ!ここに曾澤稜人というやつはいるか?」
えっ?双子?
「あっ、おねぇちゃん!」
「なんだそんなとこに...って誰なんだその男は?」
「この子が曾澤稜人です。私の将来のお婿さんになる人なの。」
おいおい、第一印象が最悪じゃない?
「初めまして曾澤稜人です。僕をお呼びしてましたよね?
どのようなご用件ですか?」
「お前が...」
そういうと恵理先輩は僕の前までやってきて僕をにらみつけると...
「麻友がお前なんかに負けるはずがない!今度は私と柔道で勝負しろ!」
え、えぇ~?
「もちろんお前に拒否権はないぞ!」~
というわけです。
あの後引きずられて柔道場に連れてかれました。
そしてすぐに袴を脱がせられ、柔道着を着させられ...
「あの~、腰が痛いんですが。」
今現在こうして、恵理先輩と向き合ってるわけです。
「そんなこと知らん。そして試合は全日本柔道連盟審判委員会のルールを
用いるが、時間無制限で一本だったら一回、
技ありだったら二回やれば勝利となる。
ちなみに指導はなしだから逃げ回っていいんだぞ?」
「まぁ状況を見て何となくやりますよ。」
本当に柔道はテレビで見たことあるだけだからな。全然わからない。
しかし、唯一わかるのが『足をかけて相手を倒す』こと
それで勝つしかない。
「ではいくぞ。」
「稜人がんばって~♡」
『はじめ!』
その合図とともに恵理先輩は僕との間合いを詰めて襟をつかんできた。
「お前も相手が悪いな。なにせ私は全国ベスト16なのだから。」
最近は全国というワードが日常化してあまり驚かなくなった。
「へ~、そうなんですね。すごいと思います。」
「ふふ、君...その自信が続くのも今のうちだよ?」
ヤバ。逆鱗に触れたっぽい。
格段に動きの質が上がった。無駄な動きが省かれより完璧に美しくなっていく。
剣道の時は癖を見つけられたが、今回は無理そうだ。
なら...体格差で、
「無駄だ。」
力任せに背負い投げをしようと試みたところ、まったく恵理先輩の体が上がらない。
「私は、小柄だが筋肉を増やすことで、持ち上げられずらい体にしているのだ。」
なるほど。ではどうやって...
そう思っていたとき、恵理先輩の足が僕の右足をひっかけようとしていた。
「!」
ドンッ!
「あっぶない!」
ギリギリジャンプすることでよけれた。
「よくよけれたな。あれで終わりにしようと思ったんだが。」
ぎりぎりで焦ったが、恵理先輩の弱点が一つ見つかった。
それは『何かアクションを起こすときに僕の右足を見る』ことだ。
これで攻撃のタイミングがわかれば、さっきの先輩みたいに足をかける。
あとはその瞬間を待つだけ...
チラッ
来た。右足を見た。何が来る?
僕は恵理先輩の全身をくまなく観察した。すると...
あっ、左足が動く、かけてくる!
「これで終わりだ。」
恵理先輩がそういいながら、足をかけようと左足を動かした。
が...それは空を切る。
「えっ?」
今!足一本のこの状態を...かける!
恵理先輩の右足に僕の足がかかり、恵理先輩を倒す。
ドンッ!
「がはぁ!...えっ?」
「先輩、僕の一本勝ちです。ありがとうございました。」
ギリギリ勝てた。集中力もあともうちょいで切れるとこだった。
「稜人~!おめでと!勝つって信じてたよ。」
そう麻友先輩が声をかけてきた。
そして
「はっ?えっ?何がどうなって?えっ?」
恵理先輩は唖然としていた。
今の恵理先輩は柔道着の帯がほどけ、スポーツブラが丸見えだった。
それでも気にならない。
よほど素人相手に負けるのがショックだったのだろう。
「あのぉ、先輩。ちゃんと着てください。」
「えっ⁉...‼///」
いや、手で隠すんじゃなくて、着てくださいよ。
そう思いながら曾澤はほどけていた帯を先輩に渡すと...
「ねぇ、君。本当は経験者?」
「いいえ。違いますよ。」
そう答えると恵理先輩は柔道着を着直し終えていて、
「決めた...」
「はい?」
「私は絶対にあなたを柔道部に引き入れる。」
「「えっ?」」
いや無理でしょ。
「先輩、その言葉はありがたいですけど、校則が...」
「いや、私に勝ったって言ったらいちころでしょ。」
そうなんだけど...
「だ~め♡稜人は私と一緒に剣道部で過ごすの♡」
「いや、私と一緒のほうがいいよね?柔道部来てくれたら、私といつでも試合できるし、
ご褒美に私の体でも///好きにしていいからね//」
「なんであなたたちは姉妹は、自分より強い相手にそうなってしまうんですか⁉
軽くキャラ変しないでください!」
ガラッ!
「「「!!」」」
誰かが入ってきた。
それだけでは驚かないが、なぜならその入ってきた人の外見は
紫髪で...ってふざけんなよ。
「うるさいんだけど、どういうこと?君たちのせいで今日は矢が
まっすぐ飛ばないわ。」
噓であってくれ。頼む。
「初対面でいきなり申し訳ございません。名前をお聞きしてもよろしいですか?」
「えっ?私?私は柊花蓮ひいらぎかれんっていうの。よろしくね。って...どうしたの二人とも?」
「恵理が!」「麻友が!」
ーーーーーーーーーーーーーーー説明中ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あらあら、なるほどねぇ。ごめんなさいねこの二人が迷惑かけて。」
「迷惑なんて...」「そうだ。迷惑なんてかけてないよ。」
こんなときさえこいつらは...
「二人とも静かに。...ごめんなさいね。大変だったでしょう。」
「あっ、いえ、大丈夫です。一つ質問なんですけど。三つ子ですか?」
「えぇそうよ。私が長女で恵理が次女、麻友が三女よ。」
はぁ、すごいな。姉妹全員でそれぞれの武道がトップレベルだとは。
「で、そうだ。私からも質問いいかしら?」
「はい?なんでしょう?」
なんだいきなり...
「私たちがやっている武道で一番得意なものは何かしら?」
得意か...う~ん。
「しいて言ったら、弓道だと思います。」
前の世界では遠隔魔術が得意だったからな。
「そう。じゃあ、弓道部に来なさい。」
え?
「お姉ちゃんなんで⁉」「そうだよ。なんでそんないきなりなんだよ。」
「ふふ、なんか話聞いてると面白くなってきちゃって。
もしかしたら私より強いかもしれないじゃない?
そしたら、私も二人みたいになっちゃうかも?
部活を飛び越えてあんなことやこんなことを...ふふ。」
あぁ~。なんか最近よくない事が起こりすぎてる気がする。
綾に無視されることや、このことなど...あぁ、こっちの世界って大変だな。




