EXTRAフェーズ:ハルトとユイとダイチ
ハルトとユイ、ダイチ ――俺たちはもう、一人じゃない。
【ユイの病室にて】
クロノスが消滅した次の日。
俺は意を決して、ベッドの上のユイに打ち明けた。
「ユイ、俺、俺はね、人間じゃないんだ」
「うん、AI人間だよね。わたしと一緒にAI化したもんね」
「いや、そうじゃなくて……。俺が天涯孤独だって言っただろ? 本当は宇宙からきた宇宙人なんだ」
ユイはぱちくりと目を瞬かせた。
「えっ?」
「びっくりしただろ?」
「うん、……じゃあ、私たちの赤ちゃんって宇宙人? 地球人? 変な影響あるのかな」
「いや、それは生まれてみないとわからないけど……」
「わからないんだ。そうか。でも、どんな子が生まれても、どんなことになっても、私、この子を守っていくわ。ハルトだってそうでしょ?」
「ああ、もちろんだよ」
ユイは安心したように微笑んだ。
「それに、ハルトの知能があれば、この子に何が起こっても、きっと解決方法が見つかるはず。私はそう信じてるから」
「ユイ……」
俺は、ユイを抱きしめようとした。と、そこにダイチがひょっこり入ってきた。
「ちょっと待った! 俺も実は、宇宙から来たんだ。ただハルトの星ほど知能が高くなかっただけ」
「ダイチ、お前は、いいところで、どうしてそんなにふざけるんだよ!」
「え? 俺は本当のこと言ったまでで……」
「もう、ハルト、ダイチくん、喧嘩はやめて……」
ダイチはニヤニヤしながら、ソファに座る。
「ハルト〜。ウルトラセブンなら変身して故郷へ還らなきゃいけないんだろ〜? 変身して見せてよ〜」
「お前、俺が変身なんかできるわけないだろ!」
「え〜、だって、さっき、『俺はね、人間じゃないんだ』なんてウルトラセブンの最終回みたいなこと、言ってたじゃん。なんなら『ファッションコシダ』に頼んでコスチューム作ってもらおか?」
ダイチの無邪気な声に、俺は呆れたように眉をひそめる。しかし、その顔にはどこか、照れ隠しのような笑みが浮かんでいた。
今度はユイが、悲劇のヒロインを気取ったような声で、ダイチの芝居にノッてきた。
「ダイチくん、違うわ。ハルトはウルトラセブンだったのよ。でも、もうこれが最後の戦いよ。地球で力を使い果たした彼は、もう自分の星へ還らなければならないの……さよなら、ハルト……」
俺は目を見開いて二人を見る。
「ユイ、お前までダイチの芝居にノってどうすんだよ! 俺が居なくなった方がいいってことか?」
俺がそう言うと、ユイはすぐに首を振り、今にも泣きそうな顔になる。
「いや、ダメ! せっかくハルトと一つになれたんだもの。もう離れるのは嫌よ!」
「一つになったの? ヒュー、ハルトやるね〜」
ダイチがニヤニヤとからかうように俺の肩を小突く。
「ダイチ、ユイも、どうしてお前らはそうやって俺をからかうんだ?」
俺の問いに、ユイとダイチは顔を見合わせ、同時に、とびきりの笑顔で答えた。
ユイ「決まってるじゃない」
ダイチ「決まってるよな?」
その声が重なり、二人から放たれた言葉は、迷いを抱き続けてきた俺の心を、真っ直ぐに射抜いた。
「ハルトが好きだからだよ」」
俺は、心の中で確信した。
天涯孤独の流離遙人はもういない。
ここにいるのは、肉体的にも精神的にも仲間と共に生きる地球人、流離遙人だ。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
ハルトとユイ、そしてダイチ。
人ではない知能や力を持ちながらも、彼らが最後に選んだのは、ありふれた日常の中にある「絆」でした。
この物語は、孤独だった青年が、自分を愛してくれる「居場所」を見つけるまでの物語でもあります。
本作は、私、『しんTAKA』のデビュー作となります。
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すべて大切に読ませていただきます。
ハルト、ユイ、ダイチ。そして、これから生まれてくる新しい生命の行く末を、皆さまと共に温かく見守っていければ幸いです。
また、次の物語でお会いしましょう。




