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『追放令嬢は辺境惑星で最強領地を経営する ~前世のゲーマー知識で、私を捨てた皇子たちが食糧援助を請いに来ました~』  作者: とびぃ


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5-3:貴公子(アレクシス)の監視

ピピピ!

エララのラボの全アラートが、先ほどとは比較にならない、けたたましい音量で鳴り響いた。

「な、何よ!?」

エララが、混乱した声を上げる。

「海賊の増援!? そんなバカな!」

「…違うわ」

アストレAは、メインスクリーンの隅に表示された、新たな警告を凝視していた。

『緊急警報:高エネルギー反応ヲ感知。大規模ナ『ワープアウト』ガ発生シマス』

「ワープアウト…? このタイミングで…?」

スパイクの機体から送られてくる、最後の映像。その片隅に、空間が、まるで水面のように歪むのが見えた。

そして、歪んだ空間から、海賊船クリムゾンファングのそれとは、まったく異なる艦影が、整然と姿を現した。

純白に塗られた、流線形の船体。帝国正規軍の紋章とは違う、わしのエンブレム。それは、銀河帝国の貴族の中でも、特に「武」をもって知られる、ヴァイス子爵家の艦隊だった。

その数、フリゲート級5隻。

「…ヴァイス子爵家…!?」

アストレアの脳裏に、帝都の記憶が蘇る。ヴァイス子爵家。帝国東部の宙域を統括する、ヴォルコフ辺境伯の配下にある、有力な貴族だ。

(なぜ、彼らがここに…!?)

その純白の旗艦『シュヴァルツヴァルト』のブリッジで、一人の青年が、目の前で起ころうとしている、信じがたい光景を冷徹に観察していた。

アレクシス・フォン・ヴァイス。

ヴァイス子爵家の御曹司にして、この小艦隊の指揮官。彼は、ヴォルコフ辺境伯からの「密命」を受けて、この宙域に来ていた。

『アレクシスよ。クリムゾンファングが、例の『ゴミ捨て場』の掃除・・に向かった。貴様の艦隊は、その『支援』と称して現場へ向かい、海賊どもが確実に『ゴミ(アストレア)』を始末するのを見届けよ。万が一、海賊がしくじるようなら、貴様の手で、事故・・に見せかけて処理せよ』

それが、彼が受けた命令だった。

彼は、アストレア・フォン・ヒンメルという令嬢が、帝都でどれほど完璧と呼ばれていたかを知っていた。だが、所詮は「女子供」。重武装の海賊団、それも巡洋艦級の旗艦まで投入されたとあっては、生き残る術など万に一つもない。

(退屈な任務だ。燃え盛る残骸を確認して、ヴォルコフ辺境伯に報告するだけの)

そう考えていた、彼の目の前で。

「…報告! クリムゾンファング巡洋艦、主砲発射準備中! 目標、地表!」

「ふん。終わりか」

アレクシスが、紅茶のカップを口に運ぼうとした、その時だった。

「…閣下! 未確認ノ戦闘機、一機! 巡洋艦ノ砲口ニ、ゼロ距離デ接触!」

「何!?」

アレクシスは、カップを取り落としそうになった。

「一機だと!? 海賊の戦闘機バイパー隊は何をしている!」

「そ、それが…先ほどのEMPチャフ(地上から発射)に誘引され、迎撃が間に合っておりません! パイロットは…神業かみわざです!」

そして、アレクシスの戦術スクリーンが、さらに信じられない情報を表示した。

「…閣下! 地表ヨリ、超高エネルギー反応ヲ感知! マスドライバー…!? 馬鹿な、こんな辺境惑星に、なぜ旧大戦の遺物が!?」

「何だと!?」

アレクシスは、メインスクリーンに映し出された光景に、我が目を疑った。

たった一機の、旧式戦闘機レイピア

その戦闘機に向かって、地上から、天を貫くかのような、凄まじい光のレールガンが発射されようとしている。

そして、その射線の先には、今まさに主砲プラズマキャノンを放とうとしている、海賊の巡洋艦。

(…まさか)

アレクシスの脳が、瞬時にその作戦の全貌を理解した。

戦闘機レイピアを、弾丸・・にする気か!? しかも、発射直前の敵の主砲に、ピンポイントで叩き込む…!? 正気の沙汰ではない!)

「…閣下! 敵主砲、発射まで、あと3秒!」

「…戦闘機、パイロットが脱出イジェクトしました!」

「…マスドライバー、発射サレマス!」

アレクシスは、貴族としての仮面も忘れ、ブリッジのスクリーンに食い入るように叫んだ。

「…馬鹿な…」

この瞬間に、アストレア・フォン・ヒンメルという女は、彼にとって「処理すべきゴミ」から、「理解不能な、恐るべき存在」へと変わった。

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