空 作者: 緑川ゆき 掲載日:2010/05/22 その日も空は青くて。 雲なんか一つもなくて。 君は緑の芝生の上で一人膝を抱えながら空を見上げていた。 僕がとなりに座っても僕を見ようともしない。 ただ空を見上げていた。 僕は君の白い丸い頬に流れる涙を、拭ってやることもできず見ているだけ。 君に何があったかさえも知らない。 その日も空は青くて。 雲なんか一つも無くて。 君は何も言わない。 僕は何も聞かない。 ただ僕は君の長い睫毛を濡らす涙を見ているだけ。 その日も空は青くて。