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狭間の闇

 人を寄せ付けない雰囲気があるのに、なぜが風が吹き込み吸い寄せられる。これ以上踏み込んではいけないと分かっているけど、知りたかった。何が私を呼んでいるのか。行かなきゃいけない気がした。


 恐る恐る近付き、ドアの隙間から部屋を覗いてみる。やはり、外からの明かりは入ってきておらず真っ暗闇。そっとドアを押すと、不気味な音をたてて開く。一歩一歩近付くにつれて、重苦しい空気が増していく。

「誰かいますか?」

 小声で問いかけるも、返事はない。応答があったらそれはそれで困るのだが。息を潜めながら、ゆっくりと進んで行く。だんだん暗がりに目が慣れてくると、部屋の造りが見えてくる。

 左側には大きな天蓋の付いたベッド。右にはいくつもの額縁が、飾られている。その絵ははっきり見えないが、どれも色褪せている様に見えた。そして、部屋の一番奥にカーテンがある。この部屋で見えるもの全てがぼろぼろで、埃が舞っている。果たしてこんなばしょで生活している住人が居るのだろうか。

 誰かが居る気配は感じない。あの鈴の音は気のせいだったのだろうか。もしそうであっても、この屋敷は私をここに導いた。何かがあるはず。


 それを探すためには、まず明かりが必要。カーテンを開ければ何かみえてくるかもしれない。一番に遠くにある窓。この部屋を横断しなくてはならないが、足が前に進まない。

 自ら進んで闇など行きたい人などいない。出来ることなら、後の明るい廊下に戻りたい。けれど、そこで誰かがまっているなら。声を出せずずうずくまっているなら。か細い鈴の音が、助けを呼ぶ声かもしれない。あの日、誰にも助けを求められなかった私と同じだ。

 だから、そこに行きたかった。誰かの手が差し伸べられるのを待っていたから。その手が温かいことを教えてもらったから。

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