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食卓の椅子

 居間に近づくにつれて、いい匂いが漂ってくる。扉を開けると、遅いぞとみんなの視線が言っていた。

「悪い。我慢できなかった」

 しょんぼりしたりつはすでにとうもろこしを頬張っていた。彼女は食いしん坊だ。食べることが何よりも大好き。

「僕は止めたよ」

 兎月はむすっとしている。きっとみんな揃ってから食べたかったのだろう。

「待っててくれてありがとう」

 そう言うとりつは、とうもろこしを皿に置きしゅんとしてしまった。これでは、彼女を責めているように聞こえたかもしれない。

「遅くなってごめんね」

「いや、きみは悪くない。私が……」

「早く席に着けよ」

 美鷹はぶっきらぼうに指を指す。それは私専用の椅子。いつだったか、みんなが作ってくれた物。


 寄せ集めの材料で作られた物だから、不格好に見えるかもしれない。だが、このちぐはぐな感じが好き。

 小枝やビーズの装飾の椅子は日に日に増えていく。最初はもっとシンプルだったのだが。

「では、揃ったことだから頂こうか」

 月夜(つくよ)のひと言で手を合わせ、一斉にオムライスを口に運ぶ。ケチャップを綺麗にかける者、なにもつけない者様々だ。


 わたしは何もつけない派だが、美味しいからとりつがケチャップで絵を描いてくれた。大きめのどんぐりの絵はとても上手。

 彼女はよく絵を描いているのを見かける。ぼんやりしているのかと思いきや、すぐさま筆を取り、何もない世界を鮮やかな色で埋め尽くしていく。


 その絵は屋敷の至る所に飾られてある。廊下はもちろん、風呂場やトイレにまで。いつの間にか私の部屋にも飾られてあった。

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