表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/44

夏の音

 何の収穫もないまま、1週間が過ぎた。あれから鈴の音は聞こえていない

 音の主に会えなかったのは残念だが、その時が来たら会えるだろうと月夜が言った。だから、それまで待つことにした。


 部屋で微睡んでいると、いつの間にか鈴虫の鳴き声が聞こえてくるよいになっていた。ここへ来る前はそんなこと、気にもとめなかった。

 忙しなく過ぎる毎日に、必死にしがみつく日々。余裕の欠片もなかったあの頃とは全く違う。


 仕事が終われば、夕日が沈む前に帰路につく。みんなからの「おかえり」の声に返事しながら、部屋に行く。その途中で、声が掛かる。

「今日のご飯は冷やし中華だよ」

「やったー」

「デザートにかき氷もあるから、早く着てね」

「はーい」

 急いで部屋に行き荷物を置く。


 私の部屋には、あまりものがない。数少ない服に必要な物だけの日用品。ここへはリュック一つで引っ越してきた。

 殺風景な部屋だが、家具はみんなが作ってくれたもの。だから、とても気に入っている。

 レースの刺繍が入ったカーテンは兎月、繊細な模様の脚のクローゼットやベッドは美鷹やりつ達が作ってくれたらしい。他にも小物やテーブルなども彼らの手作りだった。


 この部屋に入るのみんなの優しさを感じる。職場でどんなに悲しいことがあっても、ここへ戻ればみんながいる。

 そう思えるから私は明日へ進める。

「きみー。まだなのかー」

 下の階からりつの催促の声がかかる。相当お腹が空いているようだ。先に食べていてもいいのにと言っているのだが、いつも私を待っていてくれる。

 りつがつまみ食いしているのはお馴染みの光景。彼女を待たせないようにと、急いで居間に降りた。





 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ