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最後に貴方と。  作者:
5/9

番外編②

気がついてはいるの。


わたしの後ろから感じる視線。


振り向くと…なくなってしまう。


誰かが見ている気がするのに……







「パトリーナ!早く行かなきゃ授業遅れてしまうわよ!」


「あ、もうそんな時間ね。お昼休みももうすぐ終わってしまうわね」


急かされて中庭に腰掛けていたベンチを立ち急いで教室へ向かう。


大事なハンカチを落としてしまったことに気が付かずに………



「遅れてすみません」


「パトリーナ、マーガレット!お前達遅いぞ!」


「申し訳ありません」小さな震える声で涙をためて謝るマーガレット。


とっても庇護欲をそそる。


「……今度からは遅刻するなよ」


20代後半の男の先生は、マーガレットの可愛く泣く姿に仕方なさそうに怒るのをやめた。


「パトリーナ・ブラッシュ。君は謝罪はしないのか?」


ーーハア、わたしは見逃してはくれないのね。


「遅れて申し訳ありませんでした」


「お前の言い方は可愛くないな」

何かとわたしに絡んでは文句を言ってくる先生はわたしが気に入らないらしい。


「…………すみません」

わたしは先生の目を見つめたまま謝罪した。


「お前の目つきはほんと可愛くないな」


ーーわたしのこの顔は生まれ持ったものなので文句があるなら両親に言って欲しいわ。


「先生、パトリーナを許してあげてください」

マーガレットが横から両手をぎゅっと握りしめて涙を潤ませてわたしのことを助けてくれた。


「仕方がないな、二人とも席に着け」


遅刻するから早く行こうとわたしは何度も言ったのにマーガレットが

「わたしの話を聞いてくれないの?」

「パトリーナったらいつもわたしに冷たい……嫌われているのかしら?」


と言ってなかなか立とうとしなかったのに!


それも話の内容は、幼馴染のジェシーのこと。


「わたしのこと彼はどう思っていると思う?」

ーーそんなこと知らないわよ!本人に聞いたら!


「幼馴染だし大切なのではないかしら?」


「ふふ、やっぱりそう思う?」


「ええ」


「この前の誕生日のプレゼントにイヤリングを贈ってくれたの」


ーーだったら何も悩まなくてもいいのでは?


わたしは時間が気になってそろそろ立とうした。


「素敵ね。愛されているのね」棒読みで彼女へ言った後、

「マーガレットそろそろ授業が始まる……………「もう!ちゃんとわたしの話を聞いてちょうだい!」


こうしてわたしは聞きたくもないジェシーとマーガレットの恋の話を聞かされ先生に怒られてなんとか放課後になった。


授業が終わり席を立たないといけないのだけど、またマーガレットが近寄ってくるかもしれないのでわたしは急いでノートを出して勉強を始めた。


「パトリーナ、一緒に帰り……あら?まだお勉強をしているの?」

マーガレットはわたしの姿を見て少しクスッと笑い、馬鹿にしたように言った。


「ええ、提出しないといけなかった数学のノート教室に忘れて帰ったから今解いて提出するつもりなの」


「……パトリーナって頭いいのにおっちょこちょいね。じゃあ先に帰るわ」


ーーふー、なんとかマーガレットから逃れられた。



一人で教室でとりあえずマーガレットが学校を出て行くまでいることにした。


今日の宿題をしていると………



カタッ。



ーーうん?


勉強をやめて後の方へと目を向けると……


「あ……ラングレー様?」


マーガレットの好きなジェシー様。

彼もわたしも同じ侯爵家の子供なのでお互い幼い頃から顔見知りでもある。


そしてマーガレットはジェシーの幼馴染で男爵家の娘。


マーガレットはジェシーのことを大好きでいつも追っかけをしている。


「パトリーナ嬢はまだ勉強をしているのかい?」


「ちょっとお迎えが遅くなるみたいで……」


貴方の幼馴染のマーガレットから逃げるためなんて言えないし……笑って誤魔化した。


彼とはまともに話したことはない。


なんだかよくわからないけど、マーガレットともジェシー様とも関わるべきではないと心が拒絶してしまうの。


ーーどうしてかしら?

彼を見ると苦しくなる胸の痛み。

マーガレットといると不愉快に感じてしまう醜い心。


「一人で教室にいるのは何かしら危ないから……迎えがくるまで僕もここにいるよ」


「へ?」思わず変な声が出てしまった。


「だ、大丈夫です、もう来る頃だと思います」


わたしは慌てて宿題の本とノートを鞄にしまい、席を立った。


「待って!」ジェシー様がわたしの腕を掴んだ。


「い、いたっ!」


「あ、ごめん」


ジェシー様は何が言いたそうにしていた。


「あの……ラングレー様何か御用でも?」

恐る恐る聞いてみると………


「マーガレットが君に迷惑をかけていないかと思って……あいつはすぐ人に甘えるし空気を読めないところがあるから……」


「……別に……」

ーー貴方とのことを相談受けてます!って言いたいけど。それはマーガレット様も言われたくはないだろうし。


彼は頭を掻きながら、わたしの顔を見つめてきた。


「君と話してみたかったんだ」




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