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part Aki 7/24 pm 2:52




 改札前のチャージ機で ICカードに今日の電車代を入金してると 背後に視線を感じた。振り向くと こんのさん。なんだか ちょっと思い詰めたような顔。どうかしたんだろうか?


 

「あっ こんにちは。こんのさん」


 

 笑顔で 挨拶する。


 

「あきちゃん 今日は 髪 下ろしてるんだ?」


 

 挨拶抜きで 唐突に 話が始まる感じは いつもの こんのさんだけど なんだか ぎこちない。なんでだろ?

 


「あー いや… ツインテにしようか迷ったんですけど このマリンカラーのベレーかぶりたかったんで 括るの止めたんです。どーです? 似合ってます?」


「うん。スッゴくカワイイ。そのサロペットとセットなんだ?」


「えへへ。そう見えるでしょ? 実は 青のサロペットは 前から持ってたんですけど こないだルミナスで このベレー見つけて 絶対 合うと思って買っちゃいました」


 

 こんのさんの 今日の服装は スリムなデニムパンツに ショート丈の白いシャツ。下は黒の見せキャミかな? あと 黒リボンの麦わらキャノチエってヤツだが 女の子らしくて可愛らしい。いかにも 女子高生のお出かけ着って感じだけど 抜群のスタイルの良さで 飛び抜けて見える。ティーン向きのファッション誌から そのまま 抜け出てきたみたい。まぁ ポシェットとかじゃなくて ブルーのデイバッグを 片肩掛けにしてるあたりが こんのさんらしいんだけど…。


 

「こんのさんって ホントにスタイル良くて 羨ましいです。自然な着こなしなのに バッチリ決まってて 今日もスッゴく可愛いです」


「あ ありがと。可愛いとか ちょっと恥ずいけど」


 

 いつもだと 綺麗とか可愛いとか言うと 否定の言葉が返ってくることが多いけど 今日は 一応受け入れてくれた。こんのさんなりにオシャレして 少しは 自信持ってるのかも。


 

「ホントですって。〈La tienne(ラ・ティーヌ)〉の読モとか 応募してみたらどうですか? こんのさんなら 絶対 イケると思いますけど」


「……いやいやいや。そーゆーのは いいよ。あたし あきちゃんに可愛いとか言ってもらえたら 十分嬉しいし…」


 

 うっ。ちょっと伏し目がちで はにかんだ印象。いかにも〈女の子〉って感じでめっちゃカワイイ。いつもの元気印も素敵だけど こんな女の子らしい表情もできるんだ…。


 ……ダメだ ダメだ。

 

 これ以上 こんのさんを好きになるワケにはいかない。苦しみが増すだけ。ボクたちは〈友達〉。ちょっと話題を変えよう…。


 

「あー そう言えば 午前中 バレーの応援だったんですよね。藤工 どうでした?」


「あっ そーなの! 聞いてよ あきちゃん!凄かったんだから……」


 

 バレーの話題になったとたん こんのさんの表情がパッと輝く。午前の試合で 藤工が3年ぶりにインターハイ出場を決めたってゆーニュースを 試合の細かい経過も含めて 教えてくれる。スゴく嬉しそう。バレー命。いつもの こんのさんだ…。

 ………。

 ……。

 …。



                        to be continued in “part Kon 7/24 pm 4:52”






 

 

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