表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マンモス団地11棟ノ106  作者: イツカスルガ
8/8

08.鳩時計

その団地は、K県最大級。

一棟から九十九棟までが連なり、

人々からは「マンモス団地」と呼ばれている。

シュンの家の柱に掛かっている鳩時計。

生まれたときからそこにあるらしい。

一日おきに鳴き声が変わる、最先端の時計だ。


「ポッポー、ポッポー、ポッ」


小さな扉が開き、鳩が顔を出して時刻を告げる。

二本の針は真上を指していた。

シュンはもう眠っている時間だ。

次に鳴くのは朝の六時。

夜中の時計は、とても静かだ。

鳩が奥へ引っ込み、

針の指す数字の上にある扉が、カタンと閉まる。




扉の閉じた時計の中では――


タッタッタッタッ、

暗闇の中、先に見える部屋の明かりを目指して、

薄い板でできた階段を降りていく。

扉をくぐると、そこには暖かな光が満ちていた。


「カアチャン、今日ノ当番終ワッタゼ。

 明日ハ mon ノ番ダカラ」


体をぐっと伸ばしながら、木製の鳩が報告する。


「オツカレサン。mon ヲ呼ンデキテ」


振り返ることなく、

手を動かしながらカアチャン鳩が答えた。

文字盤に取り付ける数字を、せっせと磨いている。


「ラジャー!」


鳩は来た道を戻り、再び階段を駆け下りていった。

時計の中にはいくつもの小部屋があり、

木製の鳩の家族が暮らしている。

今カアチャン鳩のいるこの部屋は広く、

一家が集まるリビングのようだ。



しばらくして、

先ほどの鳩が硬い翼に一枚の紙を持って戻ってきた。


「カアチャン!!

 mon ガイナイ!

 “ジブン探シノ旅ニ出マスッテ、書キ置キガ!」


mon と呼ばれる鳩が、

メッセージを残して時計の外へ出てしまったらしい。

――たまに、あることだ。


「ナンダッテ!!

 マタ?! もう…… tue ハ?」


「明日マデ旅行中……」


鳩たちの仕事は曜日ごとの交代制。

担当の日以外は、兄弟それぞれ自由に過ごしている。


「ハァ……シカタナイネェ。

 sun、スマナイガ、明日モ頼ムヨ」


明日も仕事を任されてしまった。


「……ラジャ……」


ポッポ一家は、今日も毎日がんばっている。





月曜日の朝。


「ポッポ〜……ポ〜……ホ〜……ハァ〜……」


シュンは首をかしげた。

「?

 今日の鳩時計、元気ないなぁ」



ポッポ一家


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ