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この世界よ、さようなら。また会える日まで。



『こちらが、クライアント様がいらっしゃるお部屋にございます。』


無機質な部屋。白い壁、簡易的なベッドにそのクライアントは拘束具で動けないようになっている。

『鎮静剤で抑えていますが、いつ暴走するかわかりません。何しろ、、。』


『大丈夫です。なんとかなりますから。』


人払いをし、クライアントに近づく。


クライアントは意識があるようでこちらを睨む。

『大丈夫ですよ、怖くないから。』



この世界を動かすのは、壮大なビジョンや夢物語、ましてや、多額の報酬でもない。


人が動くのは脳で瞬時に思考し、足や手が動き、脳が命令したとおりにしか動かない。


そこには、崇高なる正義や倫理観というものは存在しない。


ただ感情があり、コントロールするかしないかはさておきコントロールできない場合、感情に支配されたまま脳はその感情の解消の為に、行動を選択する。行動の結果、感情が解消され、真実を見た時に、初めて自分の愚行に気づく。

例えば、人を傷つけるような言動。明確に綿密に企みをされて実行された、それはまた違うが衝動的なものはだいたいそうだ。


では、人をそういった倫理観や罪悪感を感じずに、とにかく感情に支配された状況で動かし続けるにはどうするか。


それは、脳へのアプローチ他ならない。洗脳が1番いいのだろう。ただ洗脳とは、テクニカルに心理的学問に基づいて実行するので、入念な準備が必要だ。


素人でも、できるようにするにはそういったものではなく、やはり薬剤投与によるものが最適解である。


レプリカと吸血鬼派による闘争も結局薬剤投与の積み重ねだ。陽の人格たる彼女を将来傷つけるべく、陰の人格たる傭兵あがりの少女を焚き付けて、薬を使い旧友に街を燃やさせる。詐称させ、人を救うべき医療施設で破壊活動に没頭させる。

あの、自動機械人形は失敗だったが、まあいい。



しかしながら、かのレプリカの娘はまあ、割と核心に近づいたようで何よりだ。



『ただね、クレハさん惜しかったわね。あなたは前提を間違っているわ。たかだか、私達と同じ、人間であるあなた方は、ただの国を追われた1地方民族に過ぎないのよ。吸血鬼なんて、いるわけないじゃない。』


だってそうだ。血の足りていない吸血鬼国だ。なぜ、国を超えて血を奪いに来ない。科学文明もそこそこだ。内戦するより、死活問題ならそっちだろう。


始まりは、移住予定者への薬剤投与による、洗脳。

『私達は吸血鬼だ。』という思い込み。

その者らを支配者に仕立て上げ、あとは民衆への宣伝活動。

『私達は、吸血鬼だ。』


なんとも、私から3代遡って続いてきた国作り。

ニホンからの援助。


『カナエ母さん、薬もってきたよ。』

『ありがとうジュン。』


錠剤の10倍の効き目がある、注射。

遅行性だから、あとから狂人と化すか。



『クレハさん、あなたもせいぜいこの作られた国で狂人として果てなさい。』










『ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!』


























♦︎


『本日未明、元従軍医師のサトウクレハ容疑者が、入院先の〇〇病院で患者を人質にとる、たてこもり事件が発生しました。尚、警察による制圧がすでに完了しており、クレハ容疑者は射殺された模様です。』


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