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二重人格

『ほう、クレハ。お主気づいていたアルか。私が、ライだということに。』


『ええ。というか何回か私の前に出てきたわよね?お父さんが家をあけていて、お母さん1人で私を育てていた時も結構、情緒不安定だったじゃない。びっくりしたわ、ライっていう人格がいたことに。いや、アカネの人格の方が後かしら?』


『ふむ。そうでアル。アカネは私が作り出した別人格。』

『語ってくれるのね、ここに出てきたという事は。』




♦︎

私は傭兵団に育てられたアル。傭兵団が、捕まって収容所で次々に親代わりの人が殺されていき、

私は終戦を迎え生き延びたアル。


収容所出た後の生活もひどいもんだったアル。


かっぱらい、火事場泥棒、強盗、薬の売買に手を出したアルね。6歳になってからは、売春もしたアル。毎日生き抜くことに精一杯だった。

そんな辛いライという人格とは、別にアカネの人格が出来たのはこの頃。ライが傷つき、アカネがこの現実世界の光を受ける。そんな役割分担だったアル。9歳になって、アカネを養子に引き取りたい物好きがいた。それが、アカネの両親。

アカネは幸せに生きて、ライの人格はあまり表に出なくなった。サエやヒョウカ、キミノリ、シュンと出会い、いつの間にか自分はアカネそのものだと思うようになった。でも、そんなのは私が嫌だった。たまたまアカネの人格でレプリカが判明したからよかったアル。


カナエというワーカーにあったのは実はもっと前。アカネの養子の話を持ってきたのはあいつ。


それで、アカネはレプリカ街に移った。

ライだった時、カナエからある取引を持ちかけられた。


それは、ある実験に付き合って欲しいと。その為には、


アカネがライだと思っていた、女を手配する必要があった。


いるじゃないか、あのヒョウカという女が。


ヒョウカをレプリカ街送りにし、ライの風貌に整形させる。そしてある実験で、自分はライだと思い込ませて生活させる。


病院の立て篭もりも全部ヒョウカがやったことよ。


サエはただの手駒。アカネをレプリカ街から離して、火災に巻き込まさないためのね。



あの火災は、シュンとキミノリにやらせた。これもまた実験でね。



キミコは失敗だったなあ。だからカナエさんに相談して、殺させる予定だったけど、あのワーカーも酷いわね。殺し損ねたからって、記憶を飛ばしアンドロイドにして、金持ちに売りつけて、家事手伝いをさせるなんて。


ソノエが死んだのは完全に偶然よ。


サエ?ああ、もう死んだよ。あいつはもう用済みだったからね。



カナエから私は莫大な資金提供を受けていたから、ここまでやったわ。でも、クレハ。



『かあさん、何ですか?』




ここで、ライという人格が死ねばアカネはただの精神異常者という事で罪に問われないわ。


吸血鬼派も人道的に処置できるでしょ?




『かあさん、なんでカナエを告発するような証言をしたの?』



ええ、クレハ。私はヒョウカやサエがレプリカになったのはたまたまだと思ってた。



でもね、そこにもカラクリはあったの。




これを話そうとすると、私の人格は壊れるようにプログラムされている。


♦︎


そこまで話すと母さんは、痙攣し始める。


『おい、まずい処置しろ!』


監視していた部屋から、吸血鬼派の警察が出てくる。


『く、クレハ。あなたがそのカラクリを解きなさい。そうすればこんな世界は終わる。金に目が眩んだバカな私。復讐に命を捧げたアカネ。こんな馬鹿げた世界、終わらせなさい。』




その瞬間、ライの意識は消失した。





♦︎


警察が母さんを取り押さえている。


『まだ生きているか。意識はもどるのか?』



母さん、もう休もう。お父さんがいるから。

静かなところでね。





私はさっきの取り調べ動画を流すよう指示した。



これで、アカネはライの記憶を取り戻すかもしれないと嘘をついて。





『ん、、、クレハ??』


『母さん、これを見て思いだしてちょうだい。』




警察、クレハ、アカネはライの告発動画を見た。







『いやっ、いやっ。いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!』







母さんは発狂した。

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