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レプリカを解放するということ

「お、お母さん。」

実に何年ぶりだろうか。


幼い頃、ソノエさんの施設でお母さんがレプリカ解放軍と一緒に

どこか遠くへいってしまって以来だ。


父は、母のことは片時も忘れなかった。

でも私のことを育てることに全力を注いでくれた。

私は母がいなくても、寂しい思いはしなかった。しっかり愛情を注いでくれた。


母のことは・・・・・・私も忘れたことがなかった。

やっと会えた。


ただ、お母さんは銃を向けたままだ。


たぶん、それが任務だし、私より過ごした時間よりこうやって

銃を向けてきた時間が長かったのだろうから。


ただおかしなことを感じている。


母はレプリカ解放軍だ。私はレプリカだ。だから立場的にも味方のはず。



「お母さん。その銃を下ろして。私はお母さんが解放したい方の

種類の方だと思うのだろうけど。」


アカネは銃を下ろさない。


どういうことだろうか。レプリカ解放軍は、名前の通りレプリカを

解放するための軍なのだろう。だとしたら、、、


「クレハ、大きくなったわね。」

母さんの銃を持つ手が震えている。軍人としての責務と

母親としての感情のぶつかり合いが、ストレスとして表にでているのだろうか。

こんな自分が危ない目にあっているのにきわめて冷静に振る舞えているのは

私が従軍医師だからだろうか。



否。私はもともとたぶんこういう種類だ。

感情とかそのあたりが大きく欠落している。それは学園生活を送っている頃から

感じていた。


実の母に、十年以上会っておらず唐突に再会しても

そこまで感情のゆらぎはない。

たぶん母は私と正反対。だから解放軍なんてものに入ったのだ。


さて、レプリカ解放軍がレプリカに銃を向けている。

感情的な母ならすぐに銃を捨てて、おなかを痛めて産んだ実の子を

抱きしめるだろう。死を覚悟して、友人を助けようとするレプリカだから。















すなわち、レプリカ解放軍という名前だけに引っ張られて、

レプリカを助ける為の組織だと、世間が勘違いしているということだ。

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