発表するよ!
それから残された時間でバンドは少しずつ
形になっていった。
放課後は部活動の時間はひたすら曲を合わせては
個別練習を繰り返した。
たまにケンカもするが、あくまでバンドを成功させるための前向きなものだ。
そして発表当日。
『うわあ、サエちゃんとヒョウカちゃんのメイド姿かわいいねえ!』
『お姉さんもアカネのメイド服にキュンキュンよ!』
『シュンとキミノリの執事も似合うねえ!』
『さあ、俺達の舞台だ!』
『みんなー楽しむよぉ!』
『おー!』
暗幕が上がる。
スポットライトが照らされて、ヒョウカのドラムから始まる。
ついでシュンのギターが入り、会場のボルテージは最高潮に。
アカネのハイトーンボイス、サエの安定したベースに、キミノリのキーボード。
一体となって、会場を盛り上げた。
一曲目が終わり、二曲目は少ししっとりバラード。三曲目は再度、アップテンポなロックテイストな曲。
演奏自体はとてもハイクオリティではないが、
ギターとベースを簡単なものに、ヒョウカがアレンジしたので安定している。
その分、ソロパートをキーボードの打ち込みやヒョウカのドラムさばきで盛り上げて補い合う。
アカネは会場を煽る。
それぞれが出来ることをやり、
まさに素晴らしいパフォーマンスをしていた。
♦︎
『はあー楽しかったねー!!!』
『お姉さん、興奮しちゃったわあ。』
『ドラム久々。みんな私のドラム捌きに酔いしれてたわね。』
女性陣は興奮が冷めやらぬといった感じ。
『キミノリ最高だったぜ。』
『お前もな。』
『男の青春って感じで、お姉さんジェラシー感じるわあ。』
男性陣も固い握手を交わしている。
『よおし、このままカラオケで2次会いっちゃおー!』
『おー!』
♦︎
翌日
『はあ、、』
アカネが元気なく机に伏せている。
『アカネどうしちゃったのかしら。お姉さん心配よ。』
『アカネ、燃え尽きちゃった感じかねえ。』
『アカネ元気ないの、見てるこっちもつらい。なんかイベントやる。』
ヒョウカが提案した。
『イベントねえ。』
ふと、シュンがカレンダーを見た。
10月5日。
『あ!もうすぐアカネ誕生日じゃね!』
『そうね。アカネ次で16歳だから、やっと血が飲めるようになるわね!』
吸血鬼の世界では、16歳になると血を飲むことができるようなるのである。
『よっしゃ、大人への一歩への祝いも兼ねてアカネ生誕祭をやろう!』
かくして10月5日の、アカネの誕生日に向けて準備が始まったのだった。