最高の友達
私はソノエ。
絵を描くのが、小さい頃から好きなんです。
私のお母さんは、私を産んですぐ亡くなったと
お父さんから聞かされました。お父さんは絵描きでした。でもあんまり売れてなくて、生活はそんなに楽ではありません。お父さんは、昼間はよくアルバイトをしていました。私も小学校くらいから、新聞配達や、近くの八百屋さんの手伝い、なんかをやっていました。生活は大変だけど、お父さんとの生活はとても幸せでした。絵を描いている時のお父さんが1番好きです。キレイな風景画をよく描いていました。
『お父さんの絵、キレイだね!これなら賞が取れるよー!!』
私はお父さんの才能を信じていました。でもやっぱり絵は認められなくて、、お父さんはへこたれなかったけど、私は辛かった。
ある日、お父さんがすごく落ち込んで帰ってきました。涙ボロボロ流しながらです。私はお父さんに声をかけました。
『お父さん、だいじょぶ??』
『ソノエ、ごめんな。レプリカだとやっぱり芸術の舞台には立てないみたいだ。』
そう、お父さんもお母さんもレプリカで、私もレプリカだったんです。お父さんはレプリカによる差別で芸術の舞台に立つことが出来ないとずっと泣いてました。それでも、それから1ヶ月経ち、生活は明らかに楽になってきました。キレイなお洋服も、お外での食事も増えてきました。
ある日、お父さんが
『ソノエ、絵を見に行こう。』
そう言って、私を美術館に連れ出しました。
タナカタカシという画家さんが開いた個展だったみたいです。そこには風景画がたくさんありました。なんと、お父さんが描いた絵に似ているものがたくさん。
美術館を出て、とあるレストランに行きました。知らないおじさんがいて一緒にご飯をたべました。なんだか絵の話をしていて、お父さんの表情は笑っているけど、泣いているような感じでした。お父さんはその人から手渡しでたくさんのお金をもらってました。
『ソノエ、レプリカは表舞台には立てないんだ。でも、お父さんの絵はだれかに絵の権利を渡せば売れるし、ソノエにも楽な生活をさせることができるんだ。これほど幸せなことはないんだよ。』
そういって、私と繋ぐお父さんの手は震えていました。
生活で贅沢ができるに連れて、お父さんはどんどん元気がなくなっていきました。
そして、ある日お家に帰ったらお父さんは首を吊って亡くなっていました。
♦︎
私は父の無念を晴らしたく、画家を目指しました。でも、やっぱり差別は根強く、父と同じ道を歩み、あまつさえ絵を譲っている画家に、体も許し、すがるように生きる道をを選ばざるを得なくなりました。
そんな時に、私の友達は私を助けに来てくれました。薬でボロボロになっても、献身的に支えてくれました。画家として成功は出来なくても、掛け値なしに助けに来てくれ、支えてくれた。そういう友達が1人でもいるという事実に救われた。そこが父と違うところ。どんな栄光や成功より、命を張ってくれる友達がいる。5年近く、私が遠ざけていたのに、あきらめず友達でいてくれた、アカネ。
♦︎
今回も助けに来てくれないかと思い、思い切り叫んでみた。さすがにたくさん銃を持っている人がいるから無理かな。いつも頼ってばかりだ。ごめんね、アカネ。
銃声が響く。私に銃口を向けていた、兵士が倒れる。
『敵襲!敵襲!』
アカネだった。アカネは敵からマシンガンを奪って、どんどん倒していく。アカネは戦いも得意なのかな。アカネは私のヒーローだ。ずっとずっとアカネと一緒。でもね、気づいたら私の絵に血が飛び散っててね。
どうやら、倒れている兵士が死ぬ間際に私に向けて一発撃ってきたみたい。
『ソノエ、ソノエ!!』
ああ、私の親友。助けに来てくれた。
『ソノエ、今傷の手当てするから!』
なんだか、頭がボーっとしてきた。たぶん助からない。血が止まらない。
言わなきゃ。せめて最後くらい。
『アカ、、ネ、、、。』
親友は私の手を取る。めちゃくちゃ泣いてくれてる。嬉しいなあ、、最高の親友が、命張ってくれて私の為に泣いてくれてる。
『あ、り、、、がと、、う。』
私は最後の力を振り絞って、笑顔でアカネに言いたいことをいうことができた。
ああ、最高に幸せな人生だったなあ。




