旧友
アカネは急ぐ。砂埃を巻き上げ、速度を上げた。
ソノエがいる施設が見えて来た。
不意にバイクを止める。岩陰にバイクを隠した。
『クレハ、ここで待ってなさい。何があっても動かないこと。パパがもうすぐ来るから。』
ショウイチにメールを送った。
岩陰から施設までは少し歩く。身をかがめながら歩くものだから、余計に時間がかかる。
『ソノエ、、、!!!!』
アカネは旧友の無事を祈りながら施設に近づいていった。
♦︎
ショウイチはバンに乗って、キミシマと共に施設に向かっていた。首都壊滅後に、あたりを殲滅を行う一派が動いているという情報をえていた。
すると、当然レプリカの施設は吸血鬼一派が狙う対象となりうる。首都からは1番近い施設でもある。
ショウイチの携帯が鳴る。アカネからだ。
『あの、バカ!』
『キミシマ、施設の南東の方に進んでくれ!』
『え?』
『クレハが1人で岩陰に隠れてるらしい。』
『あ、アカネさんは?』
『1人で施設に近づいている。』
キミシマはバンを飛ばした。
『先輩、バイクが見えます!あ、、!』
小さな影が見える。
『バンを止めてくれ!』
ショウイチはバンから飛び出していった。
『クレハ!クレハ!』
『パパ!』
ショウイチはクレハを抱きしめる。
『パパ!パパ!ママが、ママが!!』
『わかっている!とりあえずバンに乗ろう!』
バンに乗る。
『せ、先輩、、あれ、、。』
ソノエの施設の方から煙が上がっている。
『パパ、ママが行った方が燃えてるよ!』
ショウイチは黙って煙の方を見る。
『、、、、、行こう。』
バンは施設の方に向かっていった。
♦︎
アカネは施設の外壁に到着していた。
煙がひどい。
『ここからじゃ、中が見えない。』
アカネは外壁を迂回する。
男の声がする。
『これで最後かね。てこずらせやがっってからに。』
施設長と、子どもが集められていた。
その周りには武装した男達が十数人。ソノエはいない。助けないと。手持ちの武器は、護身用の銃が一つ。心許ない。ショウイチの到着を待つか?
『仕方ない、撃て。』
武装した男達が子ども達と施設長にむけて一斉射撃を開始した。
次々と倒れた。頭を打たれて、即死した子がほとんどだ。
施設長と子どもが1人まだ生きている。
『や、やめて。私は殺してもいいから、この子だけは、、、』
『先生ー、いたいよお。。』
『やれ。』
2人はあっけなく絶命した。
『うわああああああああああああああ!』
叫びながら突っ込んでくる人影が1人。
『そ、ソノエ、、、、、!!』
兵士の1人がソノエを抑えた。
『ふふ、貴様にいい処刑場がある。』
ソノエは庭に連れていかれる。
そこには、ソノエの書いた海の絵がある。
キャンバスの前に座らされた。
『何か最後に言いたいことはないのか?』
銃を向ける兵士がニヤリと笑う。
『う、アカネ。アカネ!!私を助けて!』
次の瞬間、銃声が鳴り響いた。




