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私の産まれた日

お父さんからよく聞かされた。

『クレハの産まれた日はイベントがよく起きていた。』








私の0歳の誕生日。

『アカネ!よく頑張ったな!』

『し、ショウイチさん。なんとか、産まれたわね。』

私は産湯につけられる。大きな声で泣いていたようだ。元気な赤ん坊として祝福され、産まれてきた。その日は、地下鉄でレプリカによる爆破事件が起きたそうだ。私達が、地下鉄の爆破に巻き込まれることはなかった。でも、お父さんは私が産まれてすぐ、お仕事に行ったそうだ。



1歳の誕生日。

『クレハ、ほらほらこっちよー!』

私達は海近くのアスレチックのある公園でピクニックを楽しんでいた。少しずつ歩けるようになっていた。お母さんが作ってくれたおにぎりを家族3人で仲良く食べる。

『ママ、おにぎり、おいちいよ!』

『クレハちゃん、口元にごはん粒ついているわよ。』

『クレハはお母さんのおにぎり大好きだな!』

仲の良い家族。

『パパ、ご飯食べたらあれで遊びたい!』

『おーし、いいぞお!パパと行こう!』


アスレチックで遊ぶ。

高めのあみあみの橋を渡る。私は足を踏みはずす。

『きゃあ!』

落ちることはなかったが、私はかなりびっくりしたようで号泣していた。

『うわああああああん、パパぁー!』

『おーよし、よし怖かったねえ。』



私達が帰った後、アスレチックのあった公園で吸血鬼による、レプリカのリンチ殺害事件が起きたとTVで流れていた。







2歳の誕生日。

『クレハちゃん、おめでとう!』


ソノエの施設でお祝いしてくれるということで誕生日会が開かれていた。

用意されたケーキのろうそくを吹き消す。

『さあ、みんな!ごちそうを食べましょう!』

唐揚げやパスタ、ハンバーグ、サンドイッチ、子どもが好きそうな食べ物がずらりと並んでいる。

私達はお腹いっぱいたべて、ゲームなどして遊んだ。ケーキを取り分けて食べる。

『美味しかったー!』

家族だけの誕生日も楽しいが、こうやって大勢の友達に祝ってもらうのもとても楽しい。


夕方になった。

『クレハ、帰るわよー!』

『いや!まだあそむの!』

ぎゃーぎゃー泣きながら、帰るのを私はしぶっていたそうだ。よくある親と子の日常風景だ。






泣き疲れて帰るお父さんの運転する車のラジオから聞こえてきたのわ、また事件の速報だった。


レプリカの集団が吸血鬼を人質にして、立て篭もり事件が起き、結果人質と犯人全員、射殺されたようだった。



3歳の誕生日。

最近、事件が頻発しており、お父さんは忙しいみたいだ。お母さんと2人で自宅で過ごした。

お母さんがおうちの手作りの石窯でピザを作ってくれた。

『パパは今日もお仕事なのー?』

『こうやって、私達が安全に暮らせるようにお仕事してくれてるよのー。』

そう、安全を守る仕事。日に日に暴動が頻発し、首都の治安維持はかなり困難になっていった。レプリカ解放軍も吸血鬼も警察に賄賂を送り、武器の横流しや武力衝突に目をつぶるなど、警察組織の腐敗が進んでいたようだ。その中で父は、そういった汚職に屈することなく、治安維持にあたっていた。がしかし、非力だ。


そんな日に警察により取り調べ中のレプリカが、

殺されるという事件が起きた。




4歳の誕生日。

久々に家族3人で過ごす。

3人で海が見える我が家の庭でバーベキューをする。首都の治安悪化により、外出禁止令がたびたび出るようになった。郊外の私達にはあまり影響がないが、家の敷地からはなるべく出ないようにと母から言われた。我が家は庭も広く、自然が豊かなので外出せずともそこまで苦痛ではなかった。


私達は俗世を避けるように暮らしてる。楽しく、穏やかに。

『お肉、美味しいね!』

『ああ、クレハが焼いたお肉だぞ!』

『クレハちゃん、おにぎりもできたわよ!』


たくさん食べた。空には雲1つなく、青空が広がっていた。バーベキューで焼いた肉の煙だけがその空を曇らせる。少なくとも私達の住んでいる郊外では。


その日、パパの勤務先の警察署が吸血鬼とレプリカ解放軍により焼き討ちにあったと聞いた。

多数の死傷者を出した。

パパは非番、キミシマさんも外回りにより助かっていた。




そして5年目の今日。

首都の庁舎が爆破された。庁舎の爆破。現政権の否定。そしてその日、私達家族は、





















壊れた。

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