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幸せな時間

『なんで、私が解放軍からオファーが来たのかしら?』

『あなたはレプリカ街の火災の生き残りだ。それに、病院立て篭もりにも深く関係している。』

『それで?』

『レプリカの象徴なんです。差別に負けずに生き抜いてきた人として。あなたが1人我が軍に入っていただければ、』

『レプリカ解放軍の士気があがる、でしょ?はじめてじゃないのよね、誘われるのは。』

『では、なぜ、、お受けいただけないのですか?吸血鬼が恋人だから!?』

『違うわよ。憎しみは連鎖するし。ライの動機はよくわからないけど、結果そうなった。それにね。』

『それに?』

『私、子どもが出来たの。子どもを育てて、守ることが第一になったから。』


解放軍一同は目を丸くする。

『だから、あなた達のお仲間に伝えて。レプリカのカリスマはただの子煩悩だって。残念だけど。』


口から出まかせでない。サトウとの子どもだ。

『だからね、あなた達はあなた達で戦ってちょうだいな。』


アカネはその場を去っていった。


♦︎

『なあ、アカネ。』

『なあに、サトウさん。』

『同じ名字になるんだから、いいかげん、名前でよんでくれよ。』

『確かにそうね、ショウイチさん。』

アカネとショウイチは、ささやかな挙式を済ませ、夫婦になった。もうすぐ子どもも産まれる。


挙式にはキミシマとソノエとソノエの施設の子ども達、施設長に参列してもらった。ご時世を考えて、最小限の挙式にした。挙式中に、レプリカ反対派はレプリカ解放軍に攻め込まれても厄介だからだ。


『アカネお姉ちゃん、おめでとう!!』

『わああ!お姉ちゃん、キレイ!』


アカネはささやかながら、祝福を受けた。人生で祝福を受けたことはあっただろうか。恨まれたり憎まれたりしたことはよくあったが、こんな最良の日を自分が迎えることが出来るとは思わなかった。

『ショウイチさん、私と夫婦になってくれてありがとう。こんな紛い物と一緒になってくれて。』

『アカネがレプリカだろうが関係ないさ。俺が一緒になりたい人と一緒になっただけだよ。』


挙式を終えて、アカネ達は街のハズレにひっそりと一軒家を建てた。やはり、何かと街だと目立ってしまうからだ。レプリカと吸血鬼の夫婦もそうだし、その子もしかりだ。これは、アカネからの提案だった。ショウイチはそんなに気にすることはないと伝えたが、自然が多い方が子育てにはいいということもあり、ひっそりと暮らすことにした。


♦︎

時は流れる。家を建てて5年が経った。

『ママー!早く海でお魚捕まえに行こうよー!』

『こらまちなさい!クレハ!海に入る前に、お片付けしなさい!』


アカネとショウイチ、そして長女のクレハ。

すでに5年が経っていたが、世間ではレプリカと吸血鬼の争いは日に日に激化している。そんな中3人は人目をさけて暮らしてた。


5年経つも、砂場町跡は復興せず、ガレキ、廃墟だらけになっていて治安がますます悪くなっている。砂場町はなくなったものの、首都にあるほんの1つの町だったので、不安定ながらも世の中は動いていた。





ささやかな幸せも束の間である。













首都の庁舎の1つで大爆発が起きたのは、クレハの5歳の誕生日の日だった。

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