部活また始まるよ!
『へい、らっしゃい!』
シュンは、ギターのイライラを解消すべくいつもより声を張って接客をしている。
『シュン君、今日は元気いいねえ!』
『そうですかい、いつも通りっすよ!』
バイト先のラーメン屋は心地が良い。接客になれない頃から声をかけてくれる常連さんばかりだ。
『俺にはここがあるから、、、。』
文化祭なんてどうでもいい。ギターなんて弾けるわけがなかったんだ。少しやさぐれてる感じだった。
♦︎
ひとしきり営業が終わって、店じまいをしようとした時だった。
『へい、らっしゃい!』
ヒョウカとキミノリだった。
『なんだよ、冷やかしかい?帰った帰った。』
『ずいぶんな接客ね。ラーメンと半チャーハンちょうだい。』
『俺は餃子定食。』
『んだよ、もう店じまいだよ。』
『バカやろー、シュン!お客さんだろうが!お客さん、今作りますで、少しお待ちくだあさい。』
店長に怒られシュンは肩をすくめる。
水を出して、シュンは店長が料理を作るのを見ていた。
『へい、おまちどうさま!』
『いただきます。』『いただきまーす!』
2人が飯を食べるのを見る。
30分程経ち食べ終わる。
『シュン、お勘定。』
『ラーメン、半チャーハンは1200円、餃子定食は850円になります。』
『はい、ちょうど。じゃあ、また明日部室でね。』
2人は何も言わずに帰った。
『シュン、良い友達でねえか。何があったかしんねえが、失敗しても、うまくいかねえ事があっても何も言わずに帰ってくる場所がある。お前にとってウチの常連さんがそうなのと一緒じゃねえか。』
シュンは顔を伏せて、店長に言った。
『店の前掃除してきますね。』
『おう、頼むわ。』
シュンの頬には涙が流れていた。
♦︎
翌日の部室にて。
アカネが体育すわりでイスに座って顔を伏せている。
『アカネも歌、練習したら?』
ヒョウカが声をかける。
『だめだよー、シュンもサエもいないんだよお、、。』
蚊の鳴くような声でそう話す。
ガラっ!
『よお、、』
シュンだった。
『アカネ、悪かったよ。俺もうちょい頑張るから見守っててくれよな。』
『う、ううわあああん!シュンー!!ごめんねえ!!!』
アカネはシュンに抱きつきながら号泣する。
『うわ、抱きつくな、みんな見てるだろうが!』
『あら、2人きりならいいのかしら?お姉さん、妬いちゃうわあ。』
サエが後ろに立っていた。
『サエ、悪かったよ。怒鳴って。一緒にバンドやってくれよな。』
サエは満面の笑みで、
『うん、えらいえらい。お姉さんは素直な男は好きよ。』
シュンに、ヨシヨシといいながら髪を撫でた。
『よぉぉぉし、じゃあみんなでバンド成功させよう!』
『おーーー!』
部活は再始動した。