明かされる真実
『これはエグいっすね、サトウさん。』
廃ビルでのボヤ騒ぎ。消防が駆けつけると、
丸焦げのオカベが遺体として発見された。
警察の出番である。
『なんだか、アカネの周りばかりこうやって死んでいくのか、、。』
サトウは呟く。
共通しているのは、なんだ?サトウは考えを張り巡らす。全ての殺人において、オカベの店が関係している。
オカベの死亡推定時刻には、アカネとサトウは一緒にいた。なので、単独犯犯行であればアカネは容疑者から外れる。そもそも第一の殺人でもアカネにはアリバイがある。
『後考えうるはなんだ?』
サトウはキミシマと署に戻り、関係者を洗っていった。
タクトのセミナー周りの犯行の線も疑っていた。タクトは結構悪どい商売をしていたようだ。女性受講者をたぶらかし、金を巻き上げる。ガチ恋勢もいたようで、ストーカー被害でなんども被害届を出している。ただし、第二の被害者のオカベはこのグループとは全く関わりがない。
『暗礁に乗り上げたか。。』
どうも、共通点が見えない。
タバコに火をつけ、一息つく。
『なあ、キミシマお前ならここからどうする?』
『うーん、そうっすね。ただ、妙な点がありまして。。』
『というと?』
『オカベもキミシマも砂場町に来る前の事が結構洗い出せなくてですね。5年くらい前にこの辺りに来たってのはなんとなくわかったんですが、、』
『なるほどな。そこにもしかしたら鍵があるのかもしれんな。よし、キミシマ、、』
『そう思ってもう動いていますよ。』
キミシマは妙に気がきく。いいパートナーだ。サトウは心からそう思う。
『それでですね、妙な事がわかったんです。』
『なんだ?』
『あのオカベの店なんですが、借りての名前がオカベではないんですよ。オーナーが別にいるのかわからんですが、、』
『何という名前なんだ?』
『キリシマ シュンという男が借りてるんです。でも不動産屋に聞くと、借りた際にはオカベが代理で来たようで、、、。』
『なるほどな。もしかしたらタクトもか?』
『はい、タクトの方は、カザミ キミノリという男が借主だそうです。』
『キナくさいなあ。2人とも偽名だったのか?』
『みたいですね。ビジネスネームというか。後、カブラギトオル、こいつはアカネちゃんの言ってた画家なんですが、こいつは本名です。ただですね、、』
『ただ?』
『子どもがいるようなんですよ。でも、5年以上あっていない。というか接触禁止らしいんです。』
『よくそこまで調べだな?筋は確かなのか?』
『ええ、カナエさんというアカネちゃんのワーカーさんが教えてくれまして、、』
『アカネのワーカー?ずっと連絡が取れてないってアカネが言ってたが、、』
『ええ。タレコミですかね。私と会いたいって事で会ってきました。』
『なるほど。で、なんでアカネのワーカーがそんな事を知ってる??』
『サトウさん、アカネさんの苗字はご存知ですよね?』
『カブラギ アカネだ。』
♦︎
アカネは仕事を終えて、自分の部屋に戻っていた。
風呂に入り、簡単に夕飯を済ませて、テレビを見ている。
『ピンポーン。』
『誰かしら?宅急便?』
のぞき穴を見る。
『やあ、お嬢さん。』
『オカベさんとこであった、おじさま!どうしてここに?』
『いやね、何かと物騒だろ?オカベさんに頼まれてね、何かあったらよろしくと。』
アカネはドアを開ける。
『オカベさんも、死んじゃったんたんです。』
アカネは涙ぐむ。
『お嬢さん、もう安心するといいさ。』
アカネの視界が揺らぐ。
目の前は何故か床だ。倒れているのか?
『キミも、もうすぐそちらの世界にいけるからさ。』