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見慣れた拷問

サトウとキミシマは立ち食い蕎麦屋で昼飯を取っていた。

『サトウさん、なんか最近機嫌いいっすね。』

『んなことねえよ。』

『女っすか?』

『、、、、、。』

『図星っすね。どこで、出会ったんすかー?』

『いや、まあ仕事でな。』

『まさか、あのアカネって言うかわいい人っすか?』

サトウは咳き込む。

『ひょー!マジっすか。事件の関係者じゃないっすか。大丈夫なんすか??』

『うむーまあ、大丈夫だろうよ。容疑者ってわけでもないし。タクトの死亡推定時刻のアリバイもあるしな。』

『そんな時間にアリバイ?あれって、明け方ですよね。そんな時間に、何してたんすか?』

『アカネはオカベって男がやってるバーの常連でな。その日はクローズになる朝5時まで飲んでたらしい。ウラは取れてる。』

『サトウさんの彼女、結構酒好きなんすね。サトウさんとは正反対。』

そう、サトウは下戸なのである。

『まあ、単独犯であればの話だがな。』

『自分の女なのに容赦ないっすね。複数犯を疑ってるんすか?』

『いや、全ての可能性を考えてだよ。』

『仮にっすよ?アカネさんが関係してたら、どうするんすか??』

サトウはそばのつゆを一気に飲み干した。

『そん時はアカネでも、捕まえて罪をつぐなってもらうさ。そんで出てくるまで待つ。』

『先輩すごいっすね。なんで、そこまで、、』


サトウは爪楊枝を取り出し、歯に挟まったものを取り出した。


『アカネがそれほどに、いい女だからだ。』


♦︎

土曜日。サトウは非番のため、アカネとデートすることになった。

『サトーさーん!』

アカネがやってくる。緑の半袖ニットに膝あたりまでのスカートでやってくる。

サトウは思わず見惚れる。アカネは出るとこは出ていて、ひっこむところはしっかりひっこんでいる。それと、明るくはつらつなキャラクター。


『アカネ、今日の服も似合うな。』

『へへ、ありがとう。サトウさんは新品のポロシャツかしら?群青色で爽やかでいいね。』

『お、おお。どこいくか。』

『サトウさんとならどこへでも。』


アカネとはすでに何回かデートをしている。初デートで、本当にデートコースを考えずに出かけた時に言われた、『サトウさんとならどこへでも。』にだいぶ萌えたらしい。デートコースを決めていても、『どこへいくか。』は定番の返事なのだ。セリフを聞きたいがために。


『本当は決めてるんでしょ??』

アカネは悪戯っぽく微笑む。

『うむ。今日は水族館だ。』


2人は水族館を楽しんだ。ペンギンを見て、マグロの回遊を見て、イルカショーをみた。


『イルカ、可愛かったねー!!』

アカネは満面の笑みでサトウに微笑む。

サトウもぎこちなく笑顔で返す。

『もーサトウさん、表情固いねー!楽しくないの?』

『す、すまん。刑事生活が長いとなかなか表情がな。』

『刑事さんってそんなに笑わない仕事なの?』

『まあ、あんまり笑う事はないのかもな。俺の専門はその殺人だからかな。憎しみや怒り、悲しみに触れることは多いからかもしれないな。』

サトウは寂しそうに自分を嘲笑する。


アカネはサトウの両ほっぺたを両手で触れる。

『じゃあこれからは、笑う時間も2人で増やせるといいね!』


サトウは不思議だった。アカネの過去についてはほぼ知っている。凄惨な過去だ。それこそ、笑う時間は少なかったと思う。憎しみ怒り、悲しみ、絶望に触れている時間が多かったはずだ。

『アカネは強いんだな。。』

『ううん、私はとてもネガティブだよ。人生に絶望ばかりしてきたよ。でもね、そろそろ幸せな時間も増えてもいいと思うんだ。それくらい長い時間耐えてきたから。だから。。』


一息いれる。

『大好きな人ができた今は、笑う時間を増やしていきたいんだよね。いつ失うかもわからないこの貴重な時を、今を大事にする。それで人生における幸せだと感じて過ごせたなって実感をもてて人生を終えられれば、いいな。だからね。』


アカネはサトウの腕に抱きつく。

『サトウさんは、私と幸せになるの!』

はつらつなアカネだ。



サトウはアカネを大切に大切に、この先にどんな結末を迎えようとアカネと一緒にいようと思った。



♦︎

水族館を出て、砂場町に着いた。夕飯は砂場町でとるのが定番だ。

『オカベさんところは今日も閉まってるね。』

アカネの今の居場所でもあるから、オカベには彼氏を紹介したいと思うのは当然だ。

しかしながらこの1ヶ月オカベの店はずっと閉まってる。

『サトウさん、1ヶ月、ずっと閉まってるんだよ、ここ。』


サトウにとってその情報は初耳だった。

『そうなのか。。』

出勤の日にオカベの周りについても調べよう。真実にたどり着くかもしれない。



♦︎

『う、、、。』

オカベは1ヶ月ほど、とある場所で拘束されていた。

『オカベ、お前は本当は何者だ?』

オカベを拘束している者が質問する。


『な、何を俺はただの砂場町の酒場のマスターだ。お前に話す事は何もない。。』


『強情だね。今日はこいつを試すか。』

スタンガンを取り出し当てた。


『あがががががががががががががが!!!』

オカベは失神する。

薬剤を注射される。

『ぐはっ!』

起き上がる。


『やっぱり効くんだなあ!この薬!改めて感じるよ!この拷問の素晴らしさを!』


『あああ!もう、もうやめてくれ!!!』

オカベは赦しを求めた。




『ダメだ。お前は絶対許さない。わかるだろう?お前を許さない理由を。。』


何か耳打ちされる。




オカベは目を見開いた。






『あの時は、あの時は仕方なかったんだ!!くそお、お前さえお前さえいなければ!うわああああああああああああああああああああ!』


スタンガンが当てられた。


『これで終わると思うなよ、オカベ。お前の地獄はまだ終わらない。』




オカベはそのあともスタンガンを当てられては、目を覚まさせられるという生き地獄を味わうのだった。


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