練習はじめるよ!
『曲はかっこよくて、簡単なやつね!』
『ならこれがいいわ。ハードロックだけど難しいフレーズはあんまりないわ。キーボードも打ち込みでいけるし、ドラムは超難しいけど余裕よ。』
ヒョウカは譜面とCDを人数分持ってきた。
『いいねえ、これならキーボード簡単だし打ち込みいれながら、ちょっとアドリブ出来そう。基本僕は打ち込みで行くから、曲に浸っている感じでいけばいいね。』
キミノリは多少心得があるようだ。
問題はギターとベースだ。
『いいかしら。シュンはこのコードを覚えて、こんな感じで弾けばいいわ。サエはこう。』
『む、難しいな、、』
『お姉さん、めげそうよぉー。』
『大丈夫だよ!まだ1ヶ月あるから!頑張ろ!』
各々試行錯誤して練習を進めていった。
♦︎
1週間経った。
『はい、ワンツーワンツーワンツー!』
アカネの声が部室から聞こえる。
ヒョウカは部室に入る。
『あああ、もう!難しい!後3週間かよ!』
シュンは苛立ちを隠せない。
ヒョウカが声をかける。
『アカネ、ワンツーはないと思うよ。』
冷静に突っ込む。
『うう。。』
両人差し指をツンツン合わせながらいじけてみる。
『いじける、アカネもくぅわあいいわあー。』
サエがアカネに抱きつき、ヨシヨシといいながら
髪を撫でる。
『アカネもいじけてないで歌の練習しろ!
サエも、練習しろよ!間に合わないぜ!』
シュンは少し語気強めでサエに言う。
『まあまあ、間に合うよ。シュンも初日に比べると上手くなって、、、。』
『うるせえ!いいよな、ヒョウカは得意分野だから俺なんて、、、、くそっ!』
シュンは教室を飛び出した。
『シュン!待ってよ!』
アカネは泣きっ面になりながらシュンを追っかけた。
ヒョウカとサエは部室で2人きりになった。
『よお、打ち込みパターン終わったぜ、そろそろあわせるか、、、。』
キミノリが空気を読まず入ってきた。
『お姉さんもちょっと飽きてしまったわ。今日は帰るわ。』
サエも部室を後にした。
『うん?どうした?どうした?』
『はあ、、キミノリちょっといい?』
ヒョウカはキミノリに座るよう促した。
♦︎
『シュン、待ってよぉぉ!』
アカネはシュンに追いついた。
そこは学校から少し離れた海岸だった。
『アカネ、お前はいつもいつも巻き込みやがって。無理なんだよ、1ヶ月でバンドなんて!』
『なんで、まだ時間あるよ!無理なんて言わないでよ!みんなで力合わせればさ!』
『アカネ、俺とお前を一緒にするなよ。お前ほど行動力俺にはないし、なんとなくバンド楽しそうだからやってみたけど、全然うまくならないし。』
『なんで、なんで、なんでぇぇ!』
うわああと、アカネは泣き出した。
『泣きたいのはこっちだよ。とにかく俺はおりるからな。4人でやれ。俺、バイトだから。』
シュンはそう言って立ち去った。
『シュンのぶぁぁぁかーーー!』
アカネは日が暮れるまで泣き続けていた。