それでも生きていく。
焼け野原になったレプリカの街。
アカネとカナエはさまよい歩く。
寮の燃え後にきた。がれきから、ぷすぷすと音が聞こえてくる。
燃えてそのまま建物もがれきごと崩れてしまっている。
玄関前にあったはずの、リュウヤの遺体も燃えかすとなってしまっていた。
がれきをどける。カンナさん、アスカさんであったはずの遺体も完全に燃え尽きており、
灰と化していた。
「遺体すらないなんて・・・・。」この世にリュウヤ、カンナさん、アスカがいたのかどうか
一瞬、幻だったのかもしれないと思うくらい3人の形はなくなってしまった。当然、
寮も燃えてしまったので、形見すらない。
「う、う、ひどい、こんなひどいことを・・・・・。」
アカネはすすり泣く。カナエは泣き崩れている、アカネを支えた。
「サエさんはどうしたのかしら・・・」カナエがつぶやく。
アカネの目が血走っている。どう考えても、サエは何か関係がありそうだった。
ソノエがいなくなったタイミングはなんとも言えないが、私を連れ出すタイミング、
もしかしたら薬を服用しているというのも嘘なのかもしれない。
ただ、サエがレプリカになったのは真実である。それと何か関係があるのか??
いや、考え過ぎだ。ソノエが行方不明で、捜索しにいくという大義名分がなければ
街の外に出るは不審がられる。ソノエが街を出るように仕向けた?
コンクール関係者に何か働きかけたのだろうか。ただ、それでソノエが街を出るまで誘導するのは
難しい。そもそも、サエと一緒にいたのだからサエが関係あったとしても実行犯は別にいるはず。
「カナエさん、ライのお見舞いにはもういけるのかしら。」
ライは唯一生き残った。が、全身おおやけどで聞いた話によると、全身包帯だらけとのことだ。
でも生き残っている友達がいる。
「会いに行きましょう。アカネさん。」
♦
ライの病室についた。
薄暗い病室であった。カーテンを静かに開く。
「・・・・・・・・・・!!!!!」
そこには全身包帯だらけの患者が横たわっていた。
「ライ・・・・?ライなの・・・?」
「あ・・・カネ。」
アカネはライを優しく抱きしめた。
「いったい、なにがあったの・・・?」
静かに尋ねる。
「お、、、とこ、、、たち、、、、火を・・・つけ・・・。」
ライは咳き込む。
「もう大丈夫。ゆっくり休んで。」
カナエとアカネは病室から出た。
「カナエさん。私はこれからどうすれば。居場所も燃やされてしまった。学校もない。どうすれば。。」
「別の学校に行くとかいろいろ方法はあるけど。。。」
「高校卒業資格は別に試験を受ければ取れるんでしょ。学校はもういい。他の学校いっても
つらくなるだけだし、それにたぶん、面白おかしく週刊誌に書かれるくらいなら、日の当たらない
暮らしをしてひっそり暮らしたい。ライちゃんは生きているからずっと看病する。支えていきたい。
唯一の仲間だから。」
「あなたがそれを望むならサポートさせていただくわ。」
その会話はライにも聞こえていたようだった。
ライの目には涙があふれていた。
「あ・・・カネ・・・・なか・・ま。」
突然、平和な日常は奪われる。
それまで当たり前だった日常は壊れてしまう。ただし、それでも
命は続いていく。もう戻れないが、私達の命は続いていく。だからこそ、
抗うことなく、運命を受け入れて生きていくしかない。
アカネはつぶやく。
「どんなにつらくても、生きていく。ただ単に生きていく。
希望や夢を持たずとも、絶望が横たわっていても生きていく。それが今できること。」
赤く染まっていた空は、青く雲ひとつない空がひろがっていた。
そこに希望はなくとも道は続いていく。
次回、第三章。
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「ここだと、昔のつらい事が忘れられる。」
「私は私はあいつらにやり返さないと気が済まない。」
「はじめまして、俺はタクトといいます。」
「なぜ、あいつは殺された・・・?次は俺なのか・・・?」
「ここに来るとあの、忌まわしい事件を思い出すよ。。。」
「おまえが!おまえさえいなければ!うわあああああああ!」
「ごめんね・・・・アカネ・・・・・わたし・・・・・。」
 




