表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/88

友達を探しに行こう!

翌日の放課後、寮のリビングに一同は集まっていた。



『ソノエ、どこ行ってしまったんだろう。』

『昨日から様子がおかしかったアル。何か、絵と関係アル。』

『うーん、なんだか最近レプリカ周りが少し事件が多いよね、僕、怖いよ。』

アスカは目を見開いて両手を肩に添えて震えている。


『考えすぎだよ、アスカ。しかし、ソノエまで失いたくわないよな。』

リュウヤは目線を床にそらす。


キミコの死から4ヶ月。まだ犯人は捕まっておらず、パトロール強化期間も終わったが街の不安は広がっていくばかりだ。

そこで、ソノエの失踪である。ますますレプリカに対する偏見が広がるのは、一同としてものぞない事態である。


『さ、探しに行こうか!ソノエはいなくなっただけだし、昨日のことだからそんなに遠くには行けないと思うんだよね!』

『お、それはいいな。この街以外で、レプリカがたむろ出来そうなところを探せば、、』


『みんな。』


リビングの入り口にカンナが立っていた。

『ごめん、ちょっとお話は聞かせてもらったけど

他の街に探しにいくのはおすすめしないわ。ただでさえ、キミコさんのことがあって正直、レプリカに対する風当たりは強いの。』

『でも、あの事件はキミコは何も悪くないアル!』

『そう、キミコは悪くない。レプリカも悪くない。でも世論はそうじゃないの。レプリカをもっとしっかり保護しなきゃいけない。世間とレプリカは隔絶して、安全安心な環境で保護しなくてはいけない。そんな感じで、レプリカと吸血鬼は切り離そうみたいなかんじなの。』

『なんだよ、それ。吸血鬼の起こしたことなのに。それで俺らの自由が奪われるなんて。納得できねえよ。』


『そうね。私も食材の買い出しとかも行きにくくなったし、、これを持っていないと何かと物騒で、、』

カンナはスタンガンを出す。


アカネはシュンから受けた壮絶ないじめを思い出す。

『いやああああああああああああああああああ!』


頭を抑え、その場に膝から崩れ落ちた。


『アカネ!大丈夫アルか!?』

『あ、あ、あ、ああああああああああああー!』



カナエが駆け寄る。

『アカネさん、大丈夫よ!大丈夫。ここにあなたを虐げる人はいないわ!』

『う、う。うわああああん、、、』

カナエの腕の中で泣き崩れた。


カナエはそのまま続けた。


『皆さん、ソノエさんを思う気持ちはよくわかります。私も心配です。探しに行きたいというお気持ちもわかります。私もその意思を重んじたいです。ただ、こと安全ではない事態でもあるんです。これでまた誰かいなくなる方が私は辛い。』


皆はカナエに反論出来なかった。自分達はレプリカであり、何のきっかけでトラウマによるショック症状が出るか分からない。

今の街、学園だからこそ迅速なサポートを受けられる。そんな事実を目の当たりにすると無力であることを痛感する。


『で、でもじゃあ僕達は、ソノエを見捨てないといけないってことなの?』


一同は黙りこむ。



カナエは意を決したように口を開いた。

『一つだけ方法はある。だけど、これはあなた達の寿命を引き換えにすることになる。』


『そんな方法があるのか!?』


『はい。症状を抑える薬があります。一度飲んだらずっと飲む必要があります。トラウマを抑えつけるので、神経にダメージが与えられ続け、身体のどこかが使えなくなり、最終的には意識もなくなりその命を終えることになります。』

『寿命はどのくらい縮まるアル?』


『個人差はありますが、通常80年の平均寿命です。しかし、服用者は30代を迎えることなく寿命を終えるというデータが出ています。』


『20代で、人生が終わる。じゃあ自分の子どもの成長を見届けることなく死んじゃうんだね、、』

落ち着いたアカネは、そう呟く。


『その覚悟をここで求める気はありません。私も飲ませる気もないです。この薬は簡単に処方してもらえませんし。私達、サポート側の人間で探します。皆さんはこの街から離れないでください。』


♦︎


アカネは学校の屋上で物思いにふけっていた。

『友達を探しにもいけないなんて、、、。』


『アカネ。』


サエだった。


『ソノエさん、行方不明のなったんだってね。』

『だから、何?笑いに来たの?人の不幸を。』


『私がアカネも守るから、一緒に街の外に出よう。』

『え?』

『アカネがショック症状になっても私が守る。だから行こう。』

『でも、サエあなたも、レプリカだから、、』


『私は大丈夫。だって、ショック症状を抑える薬を常時服用してるから。』



『え、、、!?なんで!』


『その話はまた今度するわ。どう?私が守るからソノエさんを探しに行かない?』




その夜、アカネとサエは街を出た。

ソノエを見つけるために。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ