友達を探しに行こう!
翌日の放課後、寮のリビングに一同は集まっていた。
『ソノエ、どこ行ってしまったんだろう。』
『昨日から様子がおかしかったアル。何か、絵と関係アル。』
『うーん、なんだか最近レプリカ周りが少し事件が多いよね、僕、怖いよ。』
アスカは目を見開いて両手を肩に添えて震えている。
『考えすぎだよ、アスカ。しかし、ソノエまで失いたくわないよな。』
リュウヤは目線を床にそらす。
キミコの死から4ヶ月。まだ犯人は捕まっておらず、パトロール強化期間も終わったが街の不安は広がっていくばかりだ。
そこで、ソノエの失踪である。ますますレプリカに対する偏見が広がるのは、一同としてものぞない事態である。
『さ、探しに行こうか!ソノエはいなくなっただけだし、昨日のことだからそんなに遠くには行けないと思うんだよね!』
『お、それはいいな。この街以外で、レプリカがたむろ出来そうなところを探せば、、』
『みんな。』
リビングの入り口にカンナが立っていた。
『ごめん、ちょっとお話は聞かせてもらったけど
他の街に探しにいくのはおすすめしないわ。ただでさえ、キミコさんのことがあって正直、レプリカに対する風当たりは強いの。』
『でも、あの事件はキミコは何も悪くないアル!』
『そう、キミコは悪くない。レプリカも悪くない。でも世論はそうじゃないの。レプリカをもっとしっかり保護しなきゃいけない。世間とレプリカは隔絶して、安全安心な環境で保護しなくてはいけない。そんな感じで、レプリカと吸血鬼は切り離そうみたいなかんじなの。』
『なんだよ、それ。吸血鬼の起こしたことなのに。それで俺らの自由が奪われるなんて。納得できねえよ。』
『そうね。私も食材の買い出しとかも行きにくくなったし、、これを持っていないと何かと物騒で、、』
カンナはスタンガンを出す。
アカネはシュンから受けた壮絶ないじめを思い出す。
『いやああああああああああああああああああ!』
頭を抑え、その場に膝から崩れ落ちた。
『アカネ!大丈夫アルか!?』
『あ、あ、あ、ああああああああああああー!』
カナエが駆け寄る。
『アカネさん、大丈夫よ!大丈夫。ここにあなたを虐げる人はいないわ!』
『う、う。うわああああん、、、』
カナエの腕の中で泣き崩れた。
カナエはそのまま続けた。
『皆さん、ソノエさんを思う気持ちはよくわかります。私も心配です。探しに行きたいというお気持ちもわかります。私もその意思を重んじたいです。ただ、こと安全ではない事態でもあるんです。これでまた誰かいなくなる方が私は辛い。』
皆はカナエに反論出来なかった。自分達はレプリカであり、何のきっかけでトラウマによるショック症状が出るか分からない。
今の街、学園だからこそ迅速なサポートを受けられる。そんな事実を目の当たりにすると無力であることを痛感する。
『で、でもじゃあ僕達は、ソノエを見捨てないといけないってことなの?』
一同は黙りこむ。
カナエは意を決したように口を開いた。
『一つだけ方法はある。だけど、これはあなた達の寿命を引き換えにすることになる。』
『そんな方法があるのか!?』
『はい。症状を抑える薬があります。一度飲んだらずっと飲む必要があります。トラウマを抑えつけるので、神経にダメージが与えられ続け、身体のどこかが使えなくなり、最終的には意識もなくなりその命を終えることになります。』
『寿命はどのくらい縮まるアル?』
『個人差はありますが、通常80年の平均寿命です。しかし、服用者は30代を迎えることなく寿命を終えるというデータが出ています。』
『20代で、人生が終わる。じゃあ自分の子どもの成長を見届けることなく死んじゃうんだね、、』
落ち着いたアカネは、そう呟く。
『その覚悟をここで求める気はありません。私も飲ませる気もないです。この薬は簡単に処方してもらえませんし。私達、サポート側の人間で探します。皆さんはこの街から離れないでください。』
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アカネは学校の屋上で物思いにふけっていた。
『友達を探しにもいけないなんて、、、。』
『アカネ。』
サエだった。
『ソノエさん、行方不明のなったんだってね。』
『だから、何?笑いに来たの?人の不幸を。』
『私がアカネも守るから、一緒に街の外に出よう。』
『え?』
『アカネがショック症状になっても私が守る。だから行こう。』
『でも、サエあなたも、レプリカだから、、』
『私は大丈夫。だって、ショック症状を抑える薬を常時服用してるから。』
『え、、、!?なんで!』
『その話はまた今度するわ。どう?私が守るからソノエさんを探しに行かない?』
その夜、アカネとサエは街を出た。
ソノエを見つけるために。