潜入!ライの世界
ライが意識を失い、1週間が経った。
寮メンバーは毎日お見舞いにきている。
『ライちゃん、、、。』
アカネは困惑している。ライは手についた、自分の血を見て意識を失った。自分がもっとしっかりしていれば、、、
『アカネさん。』
後ろから声をかけてきたのは、カナエである。
『カナエさん、、、。』
『聞いたわよ。アカネさん、自分を責めてもダメよ。あなたが転んで擦りむいたのと、ライさんがそれを見て意識を失ったのわ、別の問題。あなたの課題ではないの。あなたは、ライさんが意識を失ったのわ、私のせいという、他人を傷つけてしまったかもしれないという、ある種の強迫観念こそが、向き合うべきところよ。』
強迫観念か、、アカネはあまり意識をしたことがないし、そのようなものにとらわれている意識はなかったが、ここ1週間ずっと自分を責め続けている。それは、ライの身を案ずるのではなく、案ずる姿勢を見せて、自分に『これだけ心配しているんだから周りもアカネは悪くない』と思ってもらうことを保証されたいからなのかもしれない。
そうだとしても、、
『ライちゃんとまたお話ししたい、一緒に勉強して一緒に遊びたい。それが依存かもしれないけど、私には依存先がないと人生に絶望してしまうから。』
アカネはカナエにそう伝える。
『そう、、じゃあライちゃんの経験を追体験してもらうのがいいかもしれないわ。』
『追体験??』
カナエが1枚の書類を出す。
『夢病発生時の処置についての許諾書』と書かれている。
『ゆ、めやまい?』
『ライさんは、夢の世界に落ちると自分で目を覚ませない病気なの。治療法はないけど、対症療法はあってね。』
アカネは書類を読む。
ライはどうやら過去のトラウマに想起される、血の付着などで夢病を発症するらしく、それもただの付着でなくトラウマに起因するシチュエーションだと発症するらしい。そうなった際は、同じレプリカでライを助けたいと思った人物が、ライの夢病の世界に潜り込み引き上げることを許諾するというものだった。
ただし、ライの夢病の世界はかなりのトラウマの再現を繰り返しているため、夢病の世界に入ったものも出てこれなくなる可能性があるということが書かれていた。
『これでも行くの?ちなみに仮に出てこれても後遺症が残る可能性もあるの。同じように夢病になる可能性がある。あなたはそれでも、あなたの強迫観念のためだけに自分を捧げる覚悟はあるの?』
カナエはつとめて冷静に伝える。
『それでも、私は私の為にライちゃんを助けるよ。いないと寂しいから!』
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アカネは夢病の世界に入る為の装置を着用した。
『アカネさん、ここから先はあなたの力を頼るしかないの。ライさんは、私にとっても大事な人よ。頼んだわ。』
アカネはスイッチを押して、ライの夢病の世界に入った。
『ん、、ここは、、?』
うっそうとした、ジャングル。遠くでは銃声が聞こえる。
『危ないアル!』
アカネは突き飛ばされた。
地面に銃痕がある。
突き飛ばしたのは、ミリタリー姿の幼きライの姿だった。