ナンパ野郎だよ!
『いってらっしゃいー。』
カンナの見送りで、寮のメンバーは登校していった。
アカネは初日という事で、カナエと待ち合わせをしている。
『アカネさーん!』
『カナエさん、おはようございます!!』
ピッと姿勢を整えるアカネ。
『今から緊張してどうするのよー。』
ふふっと笑いながら、アカネの手を引く。
校門をくぐり、教室に入る。
『今日は転校生がいる!』
教師が威勢よく宣言する。
『アカネと言います!よろしくお願いします!』
さらに背筋を伸ばし、自己紹介する。
少し声がうわずってしまった。
大半のクラスメイトは目を丸くしていたが、
寮のメンバーは苦笑している。
『じゃあ、アカネはリュウヤの隣だな。』
アカネはリュウヤの隣に座った。
『アカネは、緊張していてもかわいいな。』
リュウヤがボソッと耳打ちする。
『リュウヤ君が笑ってくれたからなんか、助かったわ。』と返す。
『そ、そうか。』
リュウヤは顔が赤くなる。
ライがその姿を見て、
『リュウヤ、お主はアカネだと調子が狂って大変アルね〜。』
クックッと笑う。
『う、うるせっ!』
『こら!ライとリュウヤうるさいぞ!』
教師に叱られた。
♦︎
『ねえ、かわい子ちゃん。俺とお昼一緒に食べようよ。』
『そこのおねいさん、放課後、2人で秘密のティーパーティーしない?』
リュウヤは学校中の女生徒にナンパしまくっていた。
『ソノエ、リュウヤ許せない。アカネがいるのに。』
『ソノエちゃん、私とリュウヤ君はそんなんじゃないよ〜。』
あははと笑いながら話す。
『リュウヤはいつもナンパとやらの下品な行為ばかりするのよ。アカネ気にしないことよ。おーほっほっ。』
キミコはよく分からないタイミングでお嬢様風に笑う。
『とはいえ、リュウヤが女生徒以外と話してるの見たことないのよね。』
『確かに。同性には嫌われてるアルかね。』
そんな時にリュウヤに近づくショートヘアの黒髪の可愛らしい女子が近づいてきた。
『あの!リュウヤさん!これ!』
その子はリュウヤに手紙を渡し、足早にその場を立ち去った。
『リュウヤ、見せなさいよ。』
キミコが手紙の中身を見る。
♦︎
リュウヤさん、私は一年のアスカと言います。
この半年リュウヤさんのことを思うと夜も眠れません。
今日の放課後、体育館の裏にきていただけないでしょうか。
♦︎
『わー、ラブレターアル!ラブレターアル!』
『ソノエ、怒った!アカネという子がいながら。』
『だからソノエちゃん、そんなんじゃ、、』
『おーほっほ、気立てのいい子じゃないの。いってらっしゃいな。』
リュウヤもすっかり顔が赤くなってしまい、
動かなくなってしまった。
♦︎
放課後
リュウヤは体育館の裏にいた。
寮のメンバーは草の茂みに隠れて様子を見ている。
『リュウヤ君、緊張してるねえ!!』
アカネは目を輝かせている。
『アカネ、リュウヤを寝取られてもいいの!?』
『ソノエはまず国語辞典を引いた方がいいアル。』
『興奮しますわ!興奮しますわ!』
なぜか、キミコは息があがっている。
アスカがやってきた。
『リュウヤさん、来てくれたんだ。嬉しい。』
アスカは頬に右手を添えて、恥じらいながら目を伏せている。
リュウヤはアスカに見惚れていた。なんてかわい子なんだろう。この子が一緒にいてくれるなら、もうナンパはしない。
そう誓ったのだ。
『リュウヤさん、好きです。僕と付き合ってください。』
『きゃあー僕っ子とか萌えますわああ!』
キミコは鼻をつまんでいる。鼻血が手がけているようだ。
リュウヤは違和感を感じた。
『今、僕って言わなかった?』
『はい、だって僕、男ですから。』
リュウヤは固まった。
『美少年同士の恋!ああ、想像しただけで、、』
キミコは鼻血を出しすぎてその場に倒れた。
『キミコはすぐ興奮するアルなー。』
ライはどこか遠くを見ながら、キミコを肩に抱えた。
『え、、、、?』
アカネは目を疑った。
『テル、テル、テル!』
リュウヤはアスカに襲い掛かっている。
『きゃあああああ!』
アスカに馬乗りになり、頬を何度も叩いたかと思うと、服を剥ごうとしている。
ライとソノエはすぐさまリュウヤにタックルをかまし、取り押さえた。
アスカは震えてしまっている。
リュウヤの目は血走り、
『テル、テル!愛してるんだ!どこにもいかないでくれ!』
と叫んでいる。
『御免アル!』
ライがリュウヤの首に手刀をかまし、リュウヤは気絶した。
震え上がるアスカをアカネが抱きかかえ慰めている。
『いったい、何が、、、。』
アカネは目の前の光景にただ呆然とするしかなかった。