ご挨拶するよ!
『アカネさん、今日からあなたの家はここよ。』
懐かしい感じの木製の民宿のような建物だ。
『なんだか、民宿みたいですね。』と呟く。
『もともと民宿だった建物を改装して作ったからね。だからね、食堂も広いし、お風呂も広々してるのよ。お部屋は全部畳だけど、ベッドはちゃんとついてるのよ。
アカネは扉をあける。
『すみませーん、寮母さーん。』
『はーい。』
瑠璃色のストレートヘアを結んだ、エプロン姿の女性が出てきた。長身スレンダーで、見るからにかなり若い。
寮母さんというより姉という感じだ。
そしてアカネは言う。
『かわいいですね。』
『あら、こんな若い子にかわいいって言われるなんて。私もまだまだいけるわね!私のことはカンナさんって呼んで。』
アカネは少し誰かに雰囲気が似てると感じた。
かつての仲間のサエに似ている。
サエを思い出すと、少し涙が出てきた。
『あらあら、私何か地雷踏んでしまったかしら。』
『まだ、傷は癒えてないんだと思うけど、
アカネさん、どうしたの?』
とカナエが尋ねる。
『すみません、すみません。なんだか昔の友達を思い出してしまって。』
しくしく泣きながらアカネは答えた。
『そう、、。』
カナエはそれだけ伝え、アカネの手を握っていた。
『この寮にアカネさんの他に4人住んでるのよー。みんな学校も同じなのよ。』
ガチャっ。
1人女性が出てきた。
赤髪にショートヘアでカチューシャをしている。
『新入りさんかな、、?』
『こ、こんにちは!』
アカネは明るくつとめる。
『こんにちはあ、、ソノエは、ソノエって名前。』
『ソノエさん、よろしくお願いします!』
なんだかほんわかかわいい系の女の子だ。
ぜひ妹にしたい、そう思ったアカネである。
『ソノエは絵描くの、忙しいからまた後でね、アカネ。』
そのままソノエは部屋に入っていった。
なんだか不思議ちゃんである。
『他の寮生はまだ帰ってないわね。夕飯が18時からだからお風呂入ったりしてくつろぐといいわ。』
カンナはアカネに声をかけた。
アカネは不安そうにカナエを見る。
『明日の登校日と一週間に一回、しばらくはモニタリングで会えるから心配しないで。明日も迎えにきます。』
アカネはホッとする。
『カンナさん、不束者ですが末永くよろしくお願いします!』
『あらあら、プロポーズされちゃった。』
アカネの顔は真っ赤だ。
『じゃあ今日は一緒にお風呂入りましょ♪こっちよ。』
カンナに連れてかれ、アカネは2人で浴室の方に消えていった。
カナエは呟く。
『アカネさん、頑張るのよ。大変なのはこれからだから。』
そう言って寮を後にした。




