お父さんお母さん今までありがとう。
1ヶ月、ろくに食べ物を食べてないアカネは
すっかり痩せてしまった。もともと線は細いのだが骨と皮のみの体になってしまった。
明らかにやつれて、痩せたアカネを不気味がるのかいじめの頻度も以前よりかは少なくなったが、
シュンの拷問はほぼ毎日続いている。
『ほらあ!アカネ、寝てんじゃねえぞ!!!サエもヒョウカも部活だぞ?レプリカを拷問するのはよぉ!』
アカネは既に悲鳴も何もあげられないほど弱りきっていた。ヒョウカもサエもその様子を見てはいるが、いじめがこちらに向くのを恐れているのか何もせず、震えながら凝視している。
アカネが起きなくなった。
『ちっ、おい誰か!校庭に捨てておけ!』
いそいそと男子生徒数人がアカネを校庭に運んで行った。
『ったくよ、教師も見てみぬふりだもんなあ!狂ってやがるよ、この吸血鬼の世界はよぉぉ!』
そう吐き捨てて、シュンは学校を後にした。
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サエとヒョウカは、シュンのバイト先に立ち寄った。少し落ち着いたシュンと話をしたかったのだと思う。
『はい、いらっしゃっい!あらま、そっちの子は一回来た子だねえ。』
ヒョウカにニカッと笑う店長。
『どうも、お久しぶりです。あの、、、。』
『ああ、シュンか。あいつ辞めちゃったんだよなあ。なんかやりたいことあるとか言って。まあ残念だけど若いものの希望は応援してやりたくてな。』
苦笑する店長。
『シュンはさ、今でさえ明るいんだけど、まああいつも大変だからよ。支えてやってくれよな。』
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アカネは家に着いた。
さすがにそろそろ死んでしまう。ああ、せめて屋根のあるところで寝たい。
玄関に入ろうとすると、見知らぬ大人に呼び止められた。
『アカネさんですね。』
『あ、はい。』
『私は児童相談所のものです。アカネさんが虐待の被害を受けていると通報を受けました。』
『あ、はい。虐待ですか。1ヶ月くらい、夜は庭に締め出されて庭で野宿しています。縛られるのも慣れました。』
『そうですか。あなたが助けをもとめれば、親御さんと隔離できます。いかがですか。』
隔離か。隔離隔離隔離隔離隔離隔離隔離隔離隔離。
『おねがい、、です。助けてください。』
アカネは無い元気を振り絞り、そう福祉ワーカーに伝えた。
福祉ワーカーは家に立ち入る。リビングにはへべれけの父親とキッチンでうずくまる母親がいた。
『んだ、てめえらは?!』
『児童相談所です。アカネさんとご両親を引き離します。アカネさんが助けを求めています。』
『んだと、この野郎!死にてえのか!』
アカネの父親は酒瓶を振りかざす。その刹那、
警察が入ってきた。
アカネの父親は現行犯逮捕。母親も事情聴取のため、連行された。
ワーカーがアカネに話しかける。
『もう大丈夫。あなたは何も悪く無いわ。』
アカネの痩せこけた頬には涙が流れていた。
そのままアカネは極度の栄養失調とケガにより、
病気に入院することになった。




