田舎に住むのはあこがれるけど、どがつく田舎はなかなかハードみたい。
うーん。
何から始めればいいのやら。
目の前のじいちゃん家を前にちょっと途方にくれてる私。
母方の祖父がなくなって半年。
何を血迷ったのか7人いる孫のなかから私に田舎も田舎。
ど田舎の山の中のじいちゃんが若いときに建てた築ウン十年の一軒家を遺産相続でくれました。田舎過ぎて資産価値がなくて誰も反対しなかったのは、じいちゃんが悲しむから言えないな。
幼い頃、長い休みのたびに遊びに来ては、よくこの山をじいちゃんと兄、弟、私で探検した。どぶやら川やら穴にはまったり。砂利道でこけて足を摩り下ろしたり。登ってた木が折れて落ちたりと、親を驚かせる事件?事故?を起こしてたなー。
一度も骨を折ったことがないのが奇跡かもしれん。
ドンくさいんだよもんくあるか?やるのかこらっ。自分でもなかなか激しいお子様だったと思う。
じいちゃんは車の免許を持ってない。
もちろん運転できないのに、83歳まで足腰しっかりしてて自転車に乗っていた。ばあちゃんが亡くなってから数年一人暮らしだった。山奥だから自給自足もいいとこだわ。もはや仙人じゃない?
隣の家までは山を降りてから一時間走る。
もちろん車でな!!じいちゃんやべぇ。
これから私が住む家がどんな状況か確認しないで、来た私も立派にじいちゃんのDNAが流れとるのかもしれんな。
電気と上下水道完備でよかった。数年前までぼっとん便所で薪割って風呂沸かしてたもん。五右衛門風呂だ。もちろん土間もある。
インターネットの工事は親戚のおばさんに頼んでもう終わってるし、何とか仕事はできそうだから生きてはいけそう。
35歳の独身引きこもり女子にこんな山奥で何をさせようとしてるんだ?来るほうも来るほうじゃって聞こえる気がするけど。
男には騙されまくりでもう結婚あきらめてるし、私も自給自足の仙人に為ろうかしら。
きっとじいちゃんもそのほうが良いっていってる気がする。
幸いネット環境が整っていたら、仕事はできるから問題はないはずだし。
私には愛犬のタロと華さんが居るから養っていかねば!!
守るもんがある女は強いんだ。
とりあえず家の空気を入れ替えて、車から荷物運んで犬の寝る場所もつくってやらんとね。
ちょっとがたがきている扉に手をかけた。
うん。記憶にある間取りと変わらん。
仏間とじいちゃんの部屋、居間と客間とばあちゃんの部屋。
トイレと風呂と作業場と倉庫。一人暮らしにはちょっと広いけど犬が走り回るにはちょうど良いかも知れん。
実家からは自分の車に荷物を積んで引越して来た。
引越し屋は頼まんかったから、とりあえずの生活に必要なものは揃っている。見積もりだした時は田舎過ぎて引越し代が、めちゃくちゃ高くなってびびったから頼まなかった。いらないものは捨てまっくった。また買えるものは必要なときにまた買えばいいし。なんかミニマリストになった気分だわ。
ちょっと休憩したら、食材と必要なものを買出しに行かなきゃ。
今夜食べるものが犬のえさしかないの耐えられない。