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誤字報告感謝です

見直しているつもりなのですが、中々治りませんねぇ……

もはや持病ですかねぇ……(  ̄- ̄)

 


「……えっと、オ・グ・ララ、さん……?」


「……ん。貴方には、ララと呼んで貰いたいのだけど、ダメ……?」


「……なんと、こんな事が有り得るのか……?」



 呼んで欲しいと言われた為に、試しに呼び掛けてみると何故か追加で注文が入り、その光景を目の当たりにしたオルランドゥ王は何故か絶句していた。


 俺の隣で見ている加田屋は加田屋で


『……流石、滝川君。別段、シビレも憧れもしないけど、異世界召喚されてもう一人堕としたんだね……!僕も頑張らないと!』


 とか呟いているし、同じく隣にいた桐谷さんは


『……さ、最初から何事かとは思ってたけど、これは一体どう言う事!?番とか言ってるけど、もしかしてあの『番』の事なの!?でも、だとしたらなんで!?!?』


 と、半ばパニックになった様に頭をかき回しながら唸っている。

 桐谷さんがそんな風に取り乱すのは珍しいなぁ、と現実逃避しながら観察していたが、取り敢えず場を纏める為にも、新しく出て来た単語の意味を把握するべく口を開く。



「……あの、オ・グ・ララさん?」


「…………」


「……あの……?」


「……ララ……」


「…………ララ、さん……?」


「……ん。まぁ、初めてだから、それで良い。その内、『さん』も取って呼び捨てしてくれれば、それで良い……!」



 ……うーん、この、嬉しそうな様よ。

 以前見た事のある『ケモ度の階段』とやらにおける『ケモ度』で言えば、大体『2』と『3』との中間位(体毛の分布は見えている限りでは『2』だけど顔の部分とか造りとかは『3』が近い)の狼系の獣人で、黒っぽい体毛と銀色のフワフワとした長めのウルフヘアーが特徴的で、俺よりもかなり高い身長(推定で180~190位在る)と少ない口数から怖そうな印象が与えられる。

 だが、そのキラキラとしながらもくりくりとした円らな金色の瞳だとか、割りと感情の出るらしい頭頂に生えている耳や腰から生えている尻尾だとか、鎧越しだから確定では無いけど結構スタイル良さそうな処だとか、意外と女性らしい部分や可愛らしい部分も多いので、そうやって背後に花が咲きそうな感じで『ニパーッ!』とされると、少々勘違いしそうになるから止めて欲しい。


 あと、何かにつけてそうやってグリグリフガフガするのは止めて下され。大変可愛らしくて撫で回したくなるし、密着度が凄いことになってくるから、変な気分になりかねないんだけど……?


 気を紛らわせる為に、幾つかオ・グ・ララさん……ララさんに質問するが、大概が要領を得ないモノか、もしくは説明の足りなさ過ぎるモノばかりであった為に、目の前で大体の事情を把握しているらしいオルランドゥ王へと視線で説明を促す。


 すると、既に良い年をしたおっさんが、俺達とあまり変わらなさそうな年齢だと思われるララさんに



「良いのですかな?」


「……ん。お願い」


「……まったく、また貴女は面倒だからと説明を放り投げて……。

 貴女の番かも知れない相手なのですから、自らの口で説明されるべきでは無いのですか?」


「……ん。それはそう。だけど、私の口からは、上手く伝わらないみたい。だから、お願い王様」


「……はぁ、分かりました。ですが、多少ニュアンスが違っても、後で抗議するのは止めて下さいよ?」


「……ん。大きくずれてなければ、それで良い」



 との、まるで比較的立場が近い者同士で交わす様な会話を挟んでから、俺達に向けての説明を始めた。



「まず、単刀直入に皆様が気になってらっしゃるであろう『番』について説明しますが、これは私達の感覚で分かりやすく言えば『夫婦』に該当する単語です」


「……まぁ、貰った翻訳機能がバグっていなければそうなるんでしょうけど、だからそこなんで俺がララさんの『番』になるんですかね?正確に言えば『番候補』ですか?」


「えぇ、『まだ』候補でしょうね。彼女の様な獣人は、一生を同じ番と共に過ごします。しかし、その番の相手は同じ獣人とは限らないらしく、探し出すのは困難な事が多いのです。

 その為か、彼らは一年の内の一定期間『求愛期』と言うモノに入ります」


「『求愛期』?」


「えぇ、『求愛期』です。私自身は違うので確たる事は言えませんが、何でもその期間の間に、まだ番を見付けていない獣人は独特な『匂い』を出す様になるらしく、同族であれば一目で分かるのだとか。そして、番が同族であればその『匂い』を頼りに探し出す事になります。もし相手が同族ではなかった場合は、相手の『匂い』を嗅げば『求愛期』の間であれば一発で判定出来るのだそうですよ?

 もっとも、その番としての特定の『匂い』を放つ相手は複数いる場合も在るらしく、そう言う時の為に『候補』と言うのだそうです。もっとも、彼ら獣人は多妻多夫を気にしない種族性なので、余程相性が悪く無ければ受け入れるのだとか。基本的には、ですがね」


「……はぁ。それで、俺がその『番候補』らしい、と?」


「えぇ、そうなるかと。詳しくは彼女本人にしか分からない感覚かと思いますが、獣人の習性として番になる相手には極端に甘える様になる、と言う有名なモノが在りましてね?今の今まで『我こそが『番』なり!』と言う者達を『無理』との一言でバッサリと切り捨てていた彼女が、ここまでベッタリと甘えている処を見ると、まぁ間違いは無いのでしょう。多分」


「……ちなみに、こちらがお断りした場合とかはどうなりますかね?」


「その場合、『求愛期』の最中であれば、普通は他の候補へと向かうだけの話ですが、彼女の場合は今まで全てを断っていましたので……」


「……吾は、嫌、なの……?」


「…………嫌、って訳じゃないですが、そもそも俺はこの世界の人間ですら無いんですけど、それでも番になりたいと思うんですか?

 あと、そうやって捨てられた子犬みたいな目で見詰めつつ、袖を掴んで尻尾で足を拘束して来るのは正直反則だと思います」


「……ん。異世界の人とも、子供は作れるから問題無い。この世界に残った人、割りと結婚して子供を設ける人もいるから、確かな情報。

 それと、反則だとダメ?可愛く無い……??」


「………………正直、可愛らしい過ぎて手が出そうになるから止めて欲しいのですけど……」


「……ん!なら、良し!手が出そうになるなら、むしろ大歓迎。障害も無いのだから、手を出して番になっちゃおう……?」


「……いや、その、個人的な事情により、今はちょっとそう言う事が出来ない状態に在りまして……」


「……ん?病気?でも、そんな匂いはしなかったけど……?」


「いえ、今はちょっと身体自体がガタガタでして、運動処か歩行にも支障が出る次第でしてね?そんな状態でそんな事が出来る訳も……、ね?」


「……そう……」



 シュンとして耳を畳み、それまでブンブンと振り回していた尻尾を項垂れさせるララさん。

 そんな彼女の姿に胸を締め付けられながらも、どうにか話題を変えるべく会話を続ける。



「そ、そう言えば、ララさんの『オ・グ・ララ』って名前、どう言う意味なんですか?ちなみに、俺の名前の『滝川 響』は前にある『滝川』が名字で後ろの『響』が名前になってますけど」


「……ん。吾の名前、『オ』は何処の部族の者か、『グ』はどの階級の者か、を指している。だから『オ・グ・ララ』は『オの部族、グの階級に在るララ』と言う意味。本当は、部族の部分の後に、誰の血族(家族)であるか、と、階級の部分の後に、その階級での地位、を指す言葉が入るけど、対外的にはこれの方が通りが良いから、こう名乗ってる」


「へぇ、じゃあ、ララさんって結構偉いんですか?あの部屋に居たってことは、あの時召喚された俺達を制圧出来るだけの力が在った、って事なんですよね?なら、かなり強くも在るんじゃないですか?」


「……ん?偉い……かはちょっと微妙?父親が偉いだけだから、吾が偉い訳じゃない。強いかは、多分強い。だけど、運が無かったから前線には出られなかった。でも、タキガワに会えたから満足……!」


「彼女の兄や姉は、前線にて大活躍をしている戦士で、既に次期英雄と見なされています。そんな兄弟を持つ彼女も実力は折り紙つきなのですが、如何せん装備品の抽選から外れてしまいまして。

 実力者を貧弱な装備にて前線に送って戦死させた、等と言われるのは堪りませんし、何より人的被害が大きいので、彼女にはこの城にて衛兵として働いて頂いていた、と言う訳なのです」


「……ん。だから、吾が今使ってる鎧とか、見掛け倒しのハリボテ。その気になったら、指で引き裂ける程度。武器は一応本物だけど、まともな鍛冶師がいないから、鎧とかは基本頼りにならない……」


「……それ、あんまり大丈夫じゃ無さそうですね。

 と言うか、この世界の生産職って何やってるんですか?そもそも生産系の【職業】や[スキル]を持ってなくても造るだけは作れますよね?」


「まぁ、形だけであれば、可能ですね。

『救世主』タキガワ様の居られた世界では違うのかも知れませんが、この世界では道具や装備品はそれその物に<能力>が付与されているのです。例えば、私の今纏っているこの衣装も、<劣化防止>と<環境適応>が付与されていますし、彼女の武器にも<威力強化>が付与されています。そして、道具や装備品に[能力]を付与出来るのは生産系の[スキル]を持った者のみで、その成功確率や付与出来る数を多くする事が出来るのも生産系の【職業】を持った者のみとなっております。

 ……そして、現状では、その両方を兼ね揃えた者が極端に少なく、その上技術まで途絶しているお陰で、新たに造る事が出来ず昔からのモノを騙し騙し使っている状態に在る訳です……」


「つまり、<能力>が付与されていなければそもそも使い物にならない、と?」


「……ん。出来が良くて、粗悪で二流品扱いされる<能力>付きの下、三流品扱い。それ以下は、ほぼガラクタだとか、ハリボテ扱いされる……」


「……えぇ……?じゃあ、こっちの世界の生産職って、なにやってるんですか?造っても売れないでしょ?」


「一応、新しく造れなくても、元在ったモノを新しい持ち主に合わせて調整したり、手入れする位は出来ますので、主な仕事はそちらになります。一部の者達は、今彼女が『粗悪な二流品』と表現したモノを造っていたりしますね。

 彼女は酷評していますが、粗悪品でもそうして造れるだけまだマシ、と思わないと行けませんから、ね」


「では、俺達に求められているのは、その<能力>を付与された装備品を量産する事と、他の生産職の人達に技術を伝える事、ですか……?」


「えぇ、要約すればそうなります。もちろん、技術的な面で言えば、『救世主』様方が職人で在ったとは思ってはいません。ですが、召喚された生産系の方々は不思議とある程度の技術も授与されているみたいですし、何より私達には無い発想や着眼点をお持ちの方が多いのです。ですので、それらを指導と言う形で教授して頂ければ幸いです。

 ついでに、今は数が少なくなって来ている有用な<能力>を付与された『一級品』や、ほぼ幻となってしまっている複数の有用な<能力>が付与された『特級品』も製作して頂ければ、大分楽になりますのでそちらもお願いします」


「なんと言うご都合主義。そして、意外と遠慮が無くなって来ましたね?王様」


「取り敢えず言ってみたって感じかな?僕の見立てでは、だけど」


「私、あんまり裁縫とか得意じゃなかったけど、そうなってるなら滝川君のオススメの通りに取っておいて良かったかも!

 今着てる服が解れたりしたら言ってね?私が直してあげるから![裁縫]のスキルで!」


「それなら、俺も持ってるけどね?」



 そんな感じで最後には雑談になってしまいはしたが、俺とオルランドゥ王との協力が約束され、俺達の身分は国が保証してくれる事となった。

 なお、俺に斬りかかったという事で深谷達は牢にぶちこまれる事が確定し、他の生産系スキルを習得していた皆も俺に準ずる扱いを受けられる事が決定するのであった。

取り敢えず、初期の説明はここまでなので連続投稿はここまで

次からは、もう少し異世界要素とコメディ要素が仕事を始めるハズなのでお楽しみに


次回から隔日更新の予定です

それと、ブックマークや評価にて応援して下さった方々に感謝をm(_ _)m

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