3/4
【3】黒猫ハテナは思いを馳せる その1
私を助けてくれた人は。
今ある記憶の中で一番最初に会った人で、本当にカッコいい人。
「何も……思い出せない」
電気毛布の中にいた私は、そうポツリと呟いてみた。
そうしたことで何かを思い出せた訳ではないけども。
明日からどうしよう。
いや、とにかく今は休まなきゃ。
これは本能だ。
過去の経験からのものじゃない。
まあるくなって眠る。
なんだか心地いい。
これはもしかしたら、昔から好きだったかも。
そうしてその日はそのまま眠りについた。
夢も見ずに。