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解析しよう

 豪華で美味しいお食事は人を幸せにすると思う。

 つまり何が言いたいかというと、私は今、幸せです!


 快適なお風呂、美味しいご飯、これぞ旅の醍醐味ですよね~。

「お風呂はお部屋のですか? 快適だったのならよかったですね」

 はい~素晴らしかったです~。あ、ついでにあっちに流れていた魔力のエネルギーをちょっと拝借しましてね? お風呂にちょびっと引いてみたんですよ。それが、それはそれはよろしくてですねえ、あ、師匠のところにも引きましょうか? あの魔力のエネルギーがキラキラしてそれはそれは素敵なんですよ~~。


 上機嫌でしゃべる私。

 それをジト目で見つめる師匠……あれ? 温かい目どこ?


「私は探れとは言いましたが、何か操作しろとは言っていませんよ? 一体あなたは何をやったんですか? 今聞き捨てならないことを言いましたね?」


 んんー?


 あれ? 地下のエネルギーには触っちゃダメな法律とかあったの? え? 盗電的な盗エネルギーになる? え? 犯罪?

「犯罪も何もそんなこと出来る人は他にはいないでしょう何言ってるんですか」

 あ、犯罪じゃない? 逮捕はなし? 良かった~。


「じゃ、ないでしょう。なんですかそれ。どうやるんですか。カイロスにやらかすなと釘をさされたんではなかったんですか。まあやってしまったのなら、もうしょうがないですね。ついでに私の部屋のお風呂にもお願いします」

 はい了解ー。師匠、話のわかる人でよかったです!

「では、今やってくださいね。ぜひその様子を見てみたいので。さ、どうぞ」


 え? 今? でもお風呂に入ってないと難しそうじゃない? まあ、やってみてもいいけど、出来るかどうかはわかりませんよ?

 しょーがないなー。


 意識を隣の私の部屋のお風呂に飛ばす。そこに引いてきているエネルギーの支流を確認。手を伸ばして掴む。お、よしよし。その支流を半分にさいて、一本を残してもう一本をこちらに……水に通す方が楽だから、ちょっと戻って源泉の所から師匠の部屋のお風呂まで……ゆっくり引いて接続、っと。はいここにいてね~。

 はい出来ました~! あとでお風呂に入ってみてくださいね!


「……ありがとうございます。まあいとも簡単にやってくれますね、相変わらず。今回は瞳の色も変わらなかったところをみると、あなたにとってそんなに難しいことではないんですね、なるほど」

 えー師匠、ジト目はありがとうという時の目付きとは違うと思います。もー親切でやっているのにー。エネルギーを半分もお裾分けなのに。ブーブー。



「お風呂は後で入りますね。楽しみです。では、食事も終わったので早速調査にはいりましょうか」

 あ、はい。師匠、なんだかんだいって仕事熱心というか、研究熱心だよね。


 では、チャンネル開けて、手はず通りに。


 私が師匠の意識を掴んで、一緒に例のトゲのあるところに飛ぶ。さっき別荘の位置は記憶済みなので、まっすぐ行くよ。そして黒々としたトゲを確認。あれだ。


 そのままの位置で、師匠がトゲにたいして魔術の解読を始めた。私じゃまだ出来ないからね。ついでにこの機会に学ばせてもらう。ほんと良い師匠を持ったわ私。師匠は大規模な魔術は苦手なので、師匠の技を私が増幅する。具体的には私たち二人の意識を大きく膨らませて、相対的にトゲを小さい魔術にして解読しやすくする。ついでに魔術も学んで。ほうほうほう。こういう方法。なるほど。それの繰り返し。ほうほう。

 師匠の予想だと、魔術の内容はそれほど難しいものではなくて、どちらかというとその魔術を大きく、強力にする方に力を入れているだろうということだったけど。……ちょっと時間がかかりそうかな? なにしろトゲがばかでっかいからなあ。


 師匠の魔術を増幅しているだけなので、慣れるとちょっと暇なのよね。ついでに辺りを見渡してみた。


 ふうーん、ん!?

 んんーー?


 人がいるよ? んん? しかも魔力を感じるよ? なんだ?

 ちょっと後で相談だな。

 なんとなく、魔術の増幅をしながら私はその人たちを観察していたのでした。

 ふむ。1ヶ所にいて動かない。寝てるのか?


「シエル、申し訳ありませんが、何かが邪魔しています。あなたの魔力ではなさそうなので、ちょっと探ってみてください。私もこちらから探します」

 んん? 邪魔してる?


 一番怪しいのはさっきの人たち。見てみましょうか?

「人? ……一回帰りましょうか」

 とのことなので、お部屋に帰って作戦会議になりました。


「人がいる? 複数? 今あの館にあの叔父はいないので、使用人も置かずに閉めているはずです。と、いうことは、非公式な人間がいるということですね?」

 うーむと考えこんでしまった。

 魔力を感じたので、その人たちが邪魔している可能性があります。

 ちょっと中を覗けたら覗いてみましょうか。


「そんな簡単には行きませんよ。あの叔父のしかも秘密のある館に、何の防御魔術も結界も無いなんて考えられません。私もちょっと視てみましたが、覗けなくなっていました」


 そうかー。じゃあ行ってみてダメだったら、帰ってきますよ!

 まさか遠見防止の魔術がかかっているとは思わない……よね?


 行ってみよう!


「……じゃあ、チャンネルは開けておいてくださいね」

 了解~。


 意識をひゅーん!


 館の屋根からソロリソロリと入ってみる。何かあったら残してある意識と体のところに糸を伝ってすぐ帰れるように。糸を握りしめながら……。

 おっすんなり侵入~。よし。

 師匠が何か不満げにごちょごちょ言っているけど、まあいいや。いいじゃん入れたんだからー。特に何もひっかからなかったよ?


 では、人の気配を探る……あっち?

 行ってみよう……ここらへん。


 そこで最初に見えたのは祭壇だった。え? なんだなんだ?

 白い女の人の像。その前にいる、若い男女。若い。まだ十代じゃないの?

 その二人が話していた。


「いなくなったみたいだな」

「そうね、どこから来たんだろうね。私たちのセシル様に魔術を仕掛けるなんて許せない」


 はい?


「どんな奴が来ても追い払うだけだ!」

「さすがアダム! あなたより強い魔術師なんていないってお館様も言っていたから、きっとできるわ」

「一緒に俺たちのセシル様を早く復活させような! それまではどんな邪魔が入っても排除するだけだ!」


 えっと……何を盛り上がっているんでしょう? 聞き捨てならない名前が入っていますけど。復活? なにそれ。


「邪魔が入ったということは、セシル様が見つかってしまったのかもしれない。もっと早く復活していただかないといけないのかも」

「わかった。私も空いている時間はこれから全て、セシル様に魔力を注ぐことにする」


 ちょ? 何を言っているの? 君たち!?


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