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第1-20 報告

「以上が、アカイワ ジュンという男の戦闘における報告です」

 銀装飾の目立つ、鎧に身を纏い一国の王の前に傅き、頭を垂れる一人の茶髪の騎士。

 先日のジュンの戦闘をその眼で確認し、王に彼がいかな危険性を秘めている人物かと、彼は信用に値しない直ぐ様この国から追い出さなければ、という進言をしている内容を報告していたのだ。

「その件確かに、だが儂はまだあの『アカイワ ジュン』という男の全ては見ておらん、だがその一言だけですぐに動く訳にはいかん。…憶測だがお主、ジュンへ私怨混じりでこのような報告をしているのではなかろうな」

 あまりにも図星を付いた、王の一言は騎士の胸の内をえぐった。

「…お言葉ですが王よ、私が何故彼に私怨を抱くとお思いで?」

「白々しい奴よ、お主がミアに好意を抱いているのは百も承知知だが、ミアが好意を向けているのはジュン、それ故お主がジュンに私怨を向け排除しようとするのは考えやすい」

 長い沈黙が二人を包み、何者も口を挟めない。

「王よ、確かに私は戦乙女ヴァルキリー様に好意を抱いております、ですが今回の件は私が見て感じた事の報告。それは関係ございません」

 彼は顔を王には見せず、一礼をしそのまま謁見の間から退出する騎士。




ーーー謁見の間・前廊下ーーー


「っ!!!」

 廊下の途中で立ち止まり、思惑が外れた事に対する憤慨をあらわにする彼は、壁を強く打ち叩き苦虫を潰したように、憎悪を表情に歪める。

「どーしたんですか!リック隊長!ま~た戦乙女ヴァルキリー様に振られたんですか?」

 彼の部下と思しき男が彼の背中を叩き、人懐っこくリックをからかう。

「…違うさ、だが…そうとも言えるな」

 部下の男は心底呆れた顔で、「何言ってんのこの人」と言わんばかりに、目を細め彼を見つめている。


「今日は飲むぞ!明日の仕事なぞ知ったことか!お前も付き合え!」

「えっえぇ!今からですか!?まだ昼ですよ隊長!」

「コロネ何を言っている!大昔の言葉に『思い立ったが吉日』という言葉を放った武芸者もいるのだ!そうまさに今がその時!」

 部下は首根っこを捕まえられ、そのまま引きずる形でリックに連行されてしまう。


「もう!あとでデレク隊長に怒られても知りませんからね!」

「知ったことか!それにあいつは生真面目すぎて腹が立つ!馬が合わんというやつだ!」

 ぶつくさ言う二人の問答は遠くに居た、ミアとジュンの耳にも入っており、二人の口からクスクスと笑いが溢れる。


「そう言えばジュンさんはちきゅうでどんなお仕事をされていたんですか?」

「ん?言ってませんでしたっけ?警備員っていう人と施設なんかを守る仕事ですよ」

 関心を表情に現すミアを視ると、つい照れくさくなり頬を染め、かゆくもない頭を掻いてしまう。

「そのお仕事に就いてから長かったんですか?」

「いや高校卒業してすぐだったから、社会人1年目過ぎた頃くらいだからそんなにだよ」


 頭にハテナを浮かべ、彼女には想像が難しい様で質問をまた返してくる、それがジュンにとって何よりも幸せで、大切な時間だった。

 だが突然胸のあたりがキツく痛み、鈍い汗を掻き膝を付いてしまう、呼吸は乱れ動くことさえままならない、やがてそのまま意識は薄れていった。

「ジュンさん!誰か直ぐに医者を呼びなさい!早く!」

 ミアはジュンの横に寄り添い、辺に居る他のメイドに指示を出し、ジュンを横たわらせ楽な体制をとらせる。

 その時大柄で真っ赤なドレスを着た、金髪の男が姿を表しソッとジュンの胸に手を当てる。

「師匠来られてたんですか!」

「えぇ、それとミア安心なさい、あんたが狼狽えてどうすんのよ。」

 彼か彼女か解らない人物は、ジュンの胸に手を置き魔力を流し込んでいく、するとジュンの胸には淡いライトグリーンの光が発光し、苦しみで悶ていた表情も徐々に和らいでいく。


魔力導線マジックラインが慣れない魔力の通し方で、敏感になりすぎて傷んでいただけよ、応急処置はしたからあとは医者に見てもらいなさい」

 ミアは横たわったジュンの頭に手を置き、そっと撫で安心を現す。

「にしてもあんたに男が出来るなんてねぇ~」

 からかい混じりに笑みを浮かべ、ミアに言葉をかける彼はどことなく幸せそうでも会った。

「しっ師匠!もう!私だって好きな人くらい!」

 ミアが大きな声で反論するも、ニヤついた彼は指で右を指差すと、そこにはミアの言葉を耳にし、またしてもニヤついて彼女をからかわんとするメイドと医者が。

「あの厳しいミア様が~」

「男には目もくれず仕事をしていた彼女がね~」


 二人のからかいもあり、耳まで真っ赤に染め目に涙を浮かべる彼女は、意識を失っているジュンを激しく揺さぶり、壁に当たっているのに気付いていないのか、ジュンの頭から血が噴水の様に吹き出ている。

 悲鳴かなにかも解らない声を上げ、どこかに逃走していくも曲がり角で何かと激しく衝突する音で、3人は呆れ返っている。


 TO BE CONTINUED

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