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第0-1話 プロローグ

プロローグ





現代201X年11月某日

報告

高山 了 (たかやま りょう)警務士


28歳 遠野99センター警備隊所属隊長


巡回中不審火災により殉職


これはある施設の警備に勤めていた警備員が火災によって殉職したという報告書の一部を抜粋したものだ、詳しい経緯などはいまだに明かされていない

明かされていないと言うのは正しくない。


 正しくは、警備員が巡回に死んだという事実以外解っていないと言うのが正しいだろう


現代◯☓新聞・朝刊


「高山さんが・・・死んだ・・・嘘でしょ」新聞の一面を大きく飾っているこの記事を読んだ青年の、

赤岩あかいわ じゅんが青い顔で右手で持っていたコーヒーカップを床に落とすと、コーヒーカップが無機質な音を立て割れてしまう。


「順、あんたどないしたん?顔青いで、今日仕事行くんやめたほうがええんちゃう?」

 新聞を読んで動揺した俺に母が心配し声を掛ける

「いや、いくわ…一応行くなって指示の電話も来てないし…」

 身支度を整えていた俺は新聞を机の上に置き母にそう伝える

「そうか…でもあんたも「やばい」思ったら仕事ほうり出して逃げや?」

「うん…わかってる…んじゃ行ってくるコップごめん片付けといて…」

 心配する母を後に、俺は玄関でブーツを履き、皮手袋をつけ置いてあった愛車の「ホンダ・XR250」の鍵をとる


 ガレージのシャッターを開け普段は朝日を浴び「さぁ、今日も仕事だ」と気を引き締め愛車に跨り出発するのが毎朝の光景で日常だったのに、今日は「高岩隊長が死んだ」という事が頭から離れなくもやもやした気分で愛車に跨った「ブロロロロロ・・・」と愛車は今日も元気に軽快なエンジン音と共に出発をいまかいまかとまちに待った様に思える「あぁ・・・行くぜ相棒・・・」俺は愛車にそう声を掛ける。

そうして俺は愛車と共に家を出る、これは毎朝恒例の行事みたいなもんだ。


~遠野99センター~


「ちょっと君ここは入れないよ!」警官が keep out(進入不可)と書かれたテープで仕切られたエリアの手前から声を掛け俺を引き止める。

「すいませんここの警備の者なんですが」と、俺は一礼と共にここの警備員を示す入館証を掲示する

「わるいなぁ、関係者でも一通り鑑識が終わるまで通せないんだ。会社から連絡来てないかな?」

「ちょっと見てみます」俺はそう言いケータイをポケットから出し確認する

すると俺の上司のみきさんから不在着信が入っていた

(そういえば、朝は確認するのわすれてたなぁ)

「すいません俺の確認ミスです それでは失礼します」とまた警官に一礼し愛車を180度回転しその場を去るバックミラー越しに警官が敬礼するのが見えた。


 5分くらい走った所でコーヒーを自販機で買い幹さんに電話を、こちらから折り返すと3コールもしない内に幹さんはすぐに出た。

「順ちゃん今どこや?もう現場か?」

幹さんがすこし早口の関西弁で喋る。電話越しだと少し声が大きいのが難点だ。

「あっはいでも警察官に引き返してくれって言われていま近くの自販機でコーヒー飲んでます」

「ほうか・・・今日はもう休みでええわ。せっかく出てもらったのに悪いな・・・でも了ちゃんのこと残念やったな」柄にも無く幹さんは声のトーンを下げ電話越しでも痛いくらい落ち込んでいるのが、此方にもひしひしと伝わってくる。


「そう・・・ですね・・・俺まだ高山さんにお礼も何もしていないのに・・・」そういうと自然に涙がコーヒーを持つ手に落ちる

「せやな・・・わしもまだ了ちゃんになんも礼できてへん・・・」

二人に沈黙と嗚咽が電話越しに響く


 そして「わるかったな順ちゃん今日は休んでくれ次日程決まったら連絡よこすわ」と幹さんは電話を「ほんじゃ」と言い切る。

俺は落ち着くと愛車に跨りまた走り出した、涙を風で拭う様に


しばらく当ても無く愛車とランデブーを楽しんでいた。

 そこに、急に赤い英語か何かも解らない文字で描かれた奇妙な赤い魔法陣が浮かび上がり迫ってくる。


俺は本能的にまずいと思い緊急回避運動を取るが、バイクごと横の原っぱに身を投げ出してしまう。


ズサァァァァ



「なっ・・・なんだ今のは」

そう呟き冷や汗を拭うと、後ろの方から何やら気配が。

「あら・・・思わぬ所で適正者を発見しましたわ・・・フフッ」

どこからも無く一人の紫のローブを着た女性が表れる


ローブの女はこちらを振り向く

(何だってんだよ・・・今日は厄日かよ)

「はぁぁ・・・魔王様今からお送りしますわ」女は恍惚とした表情でこちらに歩み寄ってくる

 俺は、異常を確認し腰に掛けたポーチの中から警棒を取り出し身構える

ポーチから出した警棒はシャコン、シャコンと鉄の擦れる音を出し全長15cm程になり左手を添え上下左右どこから攻撃が来てもいいよう防御体制をとる。警備で覚えた技の一つだ。

 だが、気づいたときには遅く心臓を女の握っていたダガーが刺さっている俺は数歩後ろに下がり愛車のXR250に躓き転倒する


「安心してください痛みは一瞬、次に目が覚めたらあなたは私の親愛なる魔王様として蘇り、直ぐにそんな傷癒えますわ」

女は<魔王様>への狂気的なまでの崇拝心を見せるかのように俺の目の前へ立つ。


(痛い痛い痛い痛い痛い)

俺は、胸の激痛を感じ目の前が暗く暗転した…、あぁ俺死んだんだな。短い人生だった。


 そして胸の痛みが消え目を開けると・・・見知らぬ草原で目を覚ました

「ここ…どこ…」

どうやら俺は天国ではなく、どこかの見知らぬ土地で蘇ったらしい。

ノクターンノベルズ様で、書かせて頂いた物の修正&加筆によりお送りさせていただきます。

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