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罪過の魔術師  作者: 汐崎 昂稀
第一章 記憶の狭間
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第四話 契約者

この人は何を考えているんだろうか?


僕がアレイと名乗る男に最初に思ったことだ。



「それでは、こんな場所で立ち話も何ですし歩きながら話していい場所を見つけて座りましょうか。」

「いや……学校があるので話をするのは難しいと思うんですが……」

なんだかんだで厄介事に関わったけどこの後学校があるから話なんて出来るわけない……


「ああ、その事なら心配しなくていいですよ?私の方で連絡をしておきましたので、遅刻にはならないよう配慮してもらいましたので。」


いつの間に学校に連絡したんだ。というかなんで僕の学校が分かったんだろう?そりゃあ制服は着てるけど、今はシャツなんだよな。


「連絡ならカイ君がさっきの久遠さんを庇っている間にさせてもらいました。それと学校の方ですが私の友人の子がその学校なのでわかったまでですよ。」


この人は人の心が読めるのかな?


「ああ、別に心を読めるわけではないですよ?ただ、さっき学校に連絡したと言った時に驚いていたのみたので。これでも人の顔をよく見ているんですよ。癖みたいなものです。」


人の顔をよく見るか……僕には出来ないな。

それが癖だなんてアレイさんは人と接する仕事をしてるのかな?


「さて、話してたら私の目的の場所に着きましたのでここに入りましょうか。」

「え?イヤでもここの店高いですよね?僕そんなにお金もってないですよ?」

明らかにまわりの店と雰囲気が違う店に入ろうとしてることにカイは慌てた。


「お金のことなら気にしなくていいよ。すべて私が持つからね。元々私が誘ったんだ、そのぐらいの事当然だよ。」

そう言いながらアレイは店の中へと入っていった。

慌ててカイもアレイの後へ続いて中へ入っていく。



「さてと、やっと落ち着けたね。じゃあ改めて自己紹介させてもらうね。

私はアレイ・ロウ、ちょっと魔法が使えるサラリーマンです。」


この人明らかにサラリーマンじゃないよなぁ……


「僕は柊カイです。第五中学に通ってます。魔法は苦手です。」


とりあえず当たり障りのない答えでいいかな?


「それじゃあ、早速本題に入ってもいいかな?」


キタ!


「はい。大丈夫です。」

「じゃあ、カイ君は私の放った殺気に反応したけどそれは誰かに教わったとかなのかな?だったら誰に教わったかを教えて欲しいんだけどいいかな?」

「あ、いえ誰にも教わってないですけど……」

「そうか……ん?誰にも教わってないだと?だとしたら君は自分でその技術を身につけたというのか!」


近い!近い!ですよアレイさん!そんなに近づかなくてもいいでしょ。


でもさっきのってそんなに難しいことなのかな?


「はい。と言ってもその……技術?ですか?それはちょっと分かんないです。さっきの感覚は初めてだったので……」

「そうか初めてか……それで私の殺気に気付いたのか……将来有望かもな。」


最後の方がちょっと聞き取れなかったけど多分独り言だし気にしなくていいか。


「ところで、話がズレるけどカイ君は魔法が苦手と言ったね?どこが出来ないとかあるかな?あるんだったら私が教えてあげよう。」


やっぱこの人何処かの教授なのかな?サラリーマンが魔法を教えるなんてしかも、割と専門的な知識が必要だと思うんだけど。


「それじゃあ、お言葉に甘えて僕は魔力の制御と放出が全然出来ないんです。」

「ふむ……少し魔法を使ってもらってもいいかな?ああ、店のことなら気にしなくていいよ。私はここの常連だから多少の融通は効くよ。」


それじゃあちょっとやってみるかな。


「火の精よ力を貸せ。」


ポッ


ふぅ、こんな初歩的な魔法で疲れるなんてなぁ


「カイ君。その詠唱は君のオリジナルかい?魔法は詠唱しなくても使えることは知っているよね?それと、君は今まで自分の身体に違和感を感じたことはあるかい?例えば、魔力を出そうとしたら何かに遮られるような事とかはないかい?」

「え?はい。詠唱に関しては何となく口から出ちゃうんです。それと、違和感ですか?それはいつも感じてます。けど、それがふつうじゃないんですか?」

「なるほど……違和感を常に感じているか……カイ君それは異常なんだよ。普通はそんなことは無いんだ。けど原因が分かったなら私が直せるかもしれない。」


ウソ……この状態が普通だと思ってたのに異常だったんだ。


「それと、カイ君。君の潜在的な魔力量はとても多いんだけど、それも分かってないのかな?」

「え?僕の魔力量は凄く少ないですよ?学校でも一番下ですし。」

「そうか……となるとその魔力を別のことに使っているという事か?イヤしかし、本人に気付かせずにそんなことが出来るのか?そんなこと出来るはずが無い。ん?気付かせない。もしかして、記憶か?記憶を改変してそれを成しているというのか?だとしたら可能だが、しかしそんなことが出来る術者私でも知らないぞ。一体誰が……」


ああ、なんか自分の世界に入っちゃたなぁ……


どうしようか?ちょっと待ってみるかな?


――十分後――


「いやぁーごめんね。ちょっと考え込んじゃって自分の世界に入っちゃてたね。それで、カイ君のその状態だけど考えてみたけど、やっぱり正確にはわからなかったよ。でも、ある程度確信は持てたからやってみるよ。ああ、安心して。危険なんて無いから。」

「はい。ではお願いします。」



さてと、じゃあいっちょやってみるかな!


魔力量異常なし……魔質異常なし……誓約無し……

ん?なんだ?この異常な魔質、魔力は……イヤでもここで辞めるわけにはいかない!押しきるまでだ!


カイ君は使い魔の契約を結んでいる?ならば……

そっちを当たっていけば原因に辿り着ける!


あった!これか!


これは…….契約魔法か?それにしてもこんな高度なものは初めて見たな。じゃあ、これを解けば……


――――これ以上僕のカイに手を出さないでくれるかな?不愉快なんだ……今すぐ手を引けば見逃してあげるよ。けどこのまま続けるなら……殺すよ?――――


!?なんだ今のは。


ただ理解させられたこれ以上手を出したら私は死ぬと……


この少年は一体どんな化物を身体に宿しているんだ……


「カイ君。一応私に出来ることは終わったよ。それと少し聴きたいんだけど、君は使い魔の契約をしているかい?」

「使い魔……ですか?いえ、して無いですけど。どうしたんですかいきなり。」


そうか……カイ君は気付いてないのか。いや……私の仮説が正しいとしたら憶えてないと言った方がいいのか。


「カイ君。少し私の話しを聞いてくれないかい?」

「え?はい。別にいいですけど……」

「ありがとう。それじゃあカイ君。君は目指すべきもの、やらなければいけないと思えることがあるかい?」


質問の意味が分からなかった。目指すべきもの?やらなければいけないと思えること?そんなのある訳が無い。ただの中学一年生に何を求めているのかこの人何を言っているんだ?


「あの、ごめんなさい。質問の意味がわからないんですが。」

「君は私と同類だと思ったんだけどね……違ったみたいだね。」

「?いま何か言いましたか?声が小さくて聴き取れなかったんですけど。」

「ああ、気にしなくていいよ。それにしても、こんなに長い時間引き留めてしまって悪かったね。もし、何か私に力を借りたいと思ったらここに来てくれれば私は居るから何時でも来てくれて構わないよ。」


これは名刺か?でも、名刺にしては名前と会社名?しか書いてない変な名刺だな。


「あ、はい。ありがとうございます。もし何かあったら尋ねさせてもらいますね。」

「ああ、長い間引き留めてしまってわるかったね。さあ、私の話はこれで終わりだよ。それじゃあまた会える日を楽しみにしているよ。」

「はい。では、失礼します。」


結構長い間話してたなぁ。早く学校に行かなきゃ。



――――――――――――――――――――――――



「はあ、あの少年は何者だ?」

「さぁ?でも何者であっても貴方にとっては利用するだけの道具としか考えていないのでしょう?」


まったくいつからそこに居たのやら。


「バルバトスいつからそこに居た?それに、私はあの少年の事はそんなふうには思って無いよ」

「あの少年の事は、ですか。それ以外道具と思っているってことですね。それと、ここには今来たところですよ。アーク(・・・)。それに、外でその名前で呼ばないでください。」

「オイ、ならお前もそう呼ぶなよ。まだアレイなんだからな。それで、何しに来たんだ?ただの暇つぶしって訳じゃあ無いだろ?」

「そりゃあそうですよ。貴方は一応社長でしょう?貴方のことを皆さん必死に探していますよ?それと、口調元に戻ってきてますよ。」


まったくイチイチ細かい奴だな。まったく


「ああ、もう会社に戻るさ。」

「それならよかった。それで、アークさっきの少年には貴方の目指すべきものを伝えたんですか?」


コイツ……さっき今来たばかりとか言っておきながら話を聴いてたんじゃないか 。


「いや、話してないさ。いや……話せなかったと言った方がいいな。」

「どういう事ですか?貴方程の実力が有れば例え非常事態になったとしても乗り切れるでしょうに。」


まぁ確かにそうなんだが今回はヤバかった……


「いつもならな……だが、今回はダメだ。あの少年……カイの中には化け物がいるよ。バルバトスお前と同格いや……それ以上の使い魔を身体に宿してるよ。まったく、ソロモン七十二柱を超える使い魔なんて……神と契約してるってのか……」


「神と契約ですか……まったく面白そうな少年ですね。一度手合わせ願いたいですね。」

「まぁ、名刺は渡したし機会があればまた会えるだろ。さて、仕事しに戻るかね。」



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