初冒険 part1
投稿が遅めですが是非読んでください。
出来る限り作品に力を入れてこだわっていくつもりです。
特に主人公やヒロインには力を入れていきたいと思うので応援よろしくお願いします。
「ミカ! もっと肩の力を抜け! だが手の力は抜かずに剣を振るんだぞ」
俺はミカ・クリニス、今は父さんにこの世界で最大の都市にある自分の家の庭で長剣の振り方などの基本的なことを教わっているところだ。18歳になったらダンジョンに入らないと行けなくなる。
だって、俺は選ばれし者として生まれたんだから。
「お父さん、ミカ、そろそろお昼ご飯だよ」
俺は声が聞こえたほうに顔を向けた。少し茶髪で長い髪の人がいた。背は自分より少しちっちゃ目だ。長い髪から、ひょこっと出ている少し長い耳が特徴的だ。
彼女は俺の相棒のアリス。一目見ただけでエルフだと分かる。アリスは俺が生まれた時と一緒に生まれた。
なぜダンジョンに潜らないといけないかとういうと、俺は素質がある人間として生まれたからみたいだ。
素質を持った人が生まれた時、その赤子の横が光り出す場合がある。その光った場所に生き物が生成されるらしい。生き物を生成させた素質を持った人のことをリベレーターと呼ぶ。リベレーターは生まれた時から命をかけてまでやらないと行けない仕事がある。それがダンジョン攻略だ。
アリスと俺は一緒に生まれたのに血はつながってない。
普通は生成される生き物はエルフではない。普通はドラゴンやガーゴイルやミノタウロスなどのダンジョンにいるようなモンスターが生成される。たまに、ゴブリンとかもいるらしい。
アリスは特別みたいだ。ドラゴンとかは火を吹いて攻撃したり、ガーゴイルは魔法で攻撃したりする。だが、アリスは攻撃が出来ない。魔法は使えるが主に回復魔法と身体能力上げ魔法を使う。完全なサポート役だ。
俺はリベレーターだっていうのに、剣の使い方も慣れてないし、モンスターもまだ倒したことがない。
父さんは元リベレーターだ。相棒のオオトカゲが死んでしまったから引退することになった。
ダンジョンは階段式で上に上がっていくたびにモンスターが強くなっていく。最高到達記録が7階までみたいだ。
明後日に俺の誕生日が来て明後日からダンジョンに潜ることになる。
「ミカ、アリス、話がある」
「急に話があるってなんだよ」
「お父さん、話って何?」
「俺は今から一人でダンジョンに潜ってくる。明日までには帰るから心配しないでくれ」
「父さん一人でダンジョンに潜って大丈夫なのか?」
「無理しないようにしてね」
「大丈夫だから心配するな。明後日はミカとアリスの誕生日だから、プレゼントを取りに行きたいからな。ミカとアリスの母さんが死んでから十八年もたつしな」
俺の母さんは俺を産んだ後に死んでしまったのだ。
そう言ってから父さんは腰に長剣を付けて家を出ていってしまった。
アリスがずっと俺のそばにいて心配していてくれたから落ち着いていられたが、父さんは次の日の夜になっても帰ってこなかった。
寝ないで父さんが帰ってくるのをずっと待っていたら朝になっていた。
「ミカ? 寝なかったの? お父さんは・・・」
アリスはそこで喋るのを止めた。父さんが帰ってきてないと分かったんだろう。
アリスが俺の肩に手を置いてきた。
「大丈夫。お父さんは少し帰るのが遅くなってるだけよ。ダンジョンに潜ってみて探してみよう?」
「ああ。そうだな。アリス、朝飯を用意してくれ」
「うん。分かった」
元気そうに朝飯の用意をしに行った。俺がこれ以上落ち込まないようにアリスなりに気を使ってくれてるのだろう。
朝飯を食べ終わったらアリスと俺でダンジョンに行くための装備を整えた。二人とも防具は無しで、俺は二年前に父さんがくれた長剣を腰に付けて、アリスは魔力回復ポーションを四個ぐらい袋に入れて腰につけた。
家を出てからダンジョンがある塔までは歩いて五分ぐらいのところにある。少し歩いていると、父さんの親友の店の前まで来た。その店は防具とかを売っているが値段が高い。一級品装備だ。
「そこにいるのは、ミカの坊主とアリスちゃんじゃねーか」
店の方から久しぶりに聞いた声が聞こえた。店の方を見てみると、人間より少し体が大きくて体がいかつい男の人がいた。その人はドワーフで、声も低くて大きい。
「久しぶりですね。ハンスのじーちゃん」
「お久しぶりです。ハンスさん」
「ミカの坊主は大きくなったなー。アリスちゃんは美人になったな」
「ハンスのじーちゃんも相変わらずでかいな」
「そんな、美人になったなんて・・・」
アリスがすごい照れていることが分かる。
「今からどこ行くんだ?」
「今日で十八歳になったのでダンジョンに行くところです」
アリスがずっと照れていて喋れないから俺が返事をした。
「そーかそーか。頑張って死ぬなよ。まだ一階層までにしとけよ」
「いえ。二階層まで行くつもりです」
「それは止めとけ! 一階層と二階層はレベルが全然違う。二階層からでかいモンスターが出てくるぞ」
「それでも行きます」
「なんでそんなに行きたがるんだ?」
「父さんが一昨日ダンジョンに潜ってから帰ってきてないんです」
「あいつ・・・。分かった。せいぜい死ぬなよ」
「はい! いってきます」
「では、ハンスさんいってきます」
「おう! がんばれよ」
たまたま会ったハンスというドワーフの人に挨拶をしてから俺とアリスはダンジョンがある塔の入口の前まで来た。
「アリス。準備はいいか?」
「大丈夫よ。ミカこそ大丈夫? 私はサポートしか出来ないからね」
「大丈夫だ。俺が全部蹴散らしてやるよ」
「頼りにしてる」
そんないつも話してるみたいに笑いながらダンジョンに入っていった。
ダンジョンの一階層の中は洞窟みたいなところで、周りに鉱石がたくさんある。ダンジョンはたくさん道があって迷子になりそうなところだ。
俺とアリスはまっすぐダンジョンの中を歩いていった。
少し歩いていたら地面から音が鳴り始めた。モンスターが生成されたのだ。
「アリス! 来るぞ! 俺の後ろでサポートを頼む!」
「分かった! 相手は一体だから落ち着いて倒すわよ」
地面からモンスターが出てきた。鋭い牙を持っていて、狼に似ているモンスター、ダークウルフだ。
ダークウルフは俺に向かって飛びかかってきた。だが慌てなかった。父さんに教えてもらったみたいに剣先をダークウルフに向けて突き出す。
ダークウルフは攻撃力は高いが頭が悪い。だから、ダークウルフは剣に向かって大きく口を開けて飛びかかってきた。剣がダークウルフに刺さった。その瞬間にダークウルフは消滅した。
モンスター、それぞれに決まった体力ゲージがある。その体力ゲージが尽きたらモンスターは消滅する。たまにドロップアイテムを落とすこともある。今回のダークウルフはドロップアイテムを落とさなかった。
「やったね、ミカ! 初めて倒したよ!」
「ああ。この調子でどんどん倒していくぞ」
モンスターに体力ゲージがあるみたいに俺達にもステータスというものがある。
ステータスといっても体力や筋力がどれくらいあるのかとかは分からない。レベルだけしか分からないのだ。
普通の人のレベルは二から五。今の俺のレベルは八だ。この世界での最高レベルは三十六までみたいだ。
どうやったらレベルが分かるのかというと、ギルドに行って受付嬢に紙をもらって、その紙に魔力を入れたらレベルが表示される。
前の方から急に大きな音が聞こえた。
「ミカ? 聞こえた? 今の音・・・」
「ああ、聞こえた。やばいのが来るな」
「一旦逃げよう? 上の階層から降りてきたのかもしれない・・・」
「そうだな。逃げるぞ」
二人で逃げようと思って後ろを振り向いたらそこには大きなモンスターがいた。
全身が真っ黒で、大きくて、目が鋭く、翼がある。
このモンスターは昔、父さんに聞いたことがある。フレアドラゴンだ。火を吹くのが主な攻撃で一発当たったら普通の人なら即死レベルのモンスターだ。ドラゴンにもいろいろ種類があるけど、これでも弱いレベルに入るドラゴンだ。
普通は六階層にいるはずのモンスターがなんでここにいる。
自分の足がガクガクなっていて歩けない。ここで死ぬのか?
「ミカ! 速く! 逃げるわよ」
「・・・」
俺はボーッとしてるだけだった。何も出来ない。怖くて動けない。
「ミカ! ミカ! ミカ! ミカ!」
ドラゴンが俺に向かって火を吹いてきた。
「こんなとこで死んでたまるかよ!」
よけれる程度だったから俺は横に転がって避けた。
「ミカ! もう一回来るわよ」
ドラゴンが大きく空気を吸っている。次の攻撃は本気で来るはずだ。
なら俺も本気でドラゴンを倒しにいく。