平和だった日々
7つある大陸で一番大きい大陸、グランデ大陸。その中にあるグランデ王国に僕、キイロは生まれた。
僕は今10歳だ。親は父しかいないがそれでもいい。父さえいてくれれば楽しいからだ。
僕の父はホルンという町をを守る兵士だ。人口はだいたい5000人ほどで自然豊かな町だ。
この前も町に襲ってきた魔物を追い払っていた。
町にいる兵士の中でもかなり強い方だろうと思う。
そんな父に剣の稽古をつけてもらっている。毎日稽古をつけてもらっているが全然上達しない。まったく才能がないらしい。
「はぁはぁはぁ、うおおお!」
「さすが俺の息子だな、気合いだけはある!まだまだつきあってやるぜ!」
言い忘れたが父は戦闘狂だ。今日もぼこぼこにされた。寝ようとしたところで父が言った。
「明日父さん仕事ないからどっかいくか?」
「うん!父さんが一緒ならどこでもいいよ!」
「て、照れることいってんじゃねえ!今日はもう寝る!」
顔を赤くした父さんを見ながら眠りについた。こんな日が続けばいいな…
カーンカーンカーンカーンカーンカーン
「敵襲だぁ!12神将の軍だ」
「助けてくれええええええぇ」
「ぐああああ」
叫び声で僕は起きた。窓から見える町は地獄と化していた。
叫び声、悲鳴、血の匂いが町いっぱいに充満していた。
「と、父さんこれはなに?」
すでに起きていた父は父は苦虫を潰したような顔をしていた。
「12神将の軍だ。あの蛇の紋章…間違いねえ。母さんを殺したやつらだ!!」
「え、どうゆう…」
「キイロお前だけでも逃げてくれ、頼む父さんの最後の頼みだ」
「やだよ父さん一緒に逃げよう!」
「っは!兵士が逃げていいのは守るべきものがない時だけだ。俺は腐っても兵士の端くれだ。町のみんなを置いて逃げることはできねえ」
「な、なら僕も!戦う!」
怖いけど父と離れるのはもっと怖い。
「すまねぇな、キイロ。お前は父さんと母さんの自慢の息子だ」
首のあたりに強い衝撃を受けた。
薄れゆく意識の中で最後にみたのは泣きながら少し嬉しそうな顔をした父だった。