個人の嗜好の移り変わりは、ある意味で残酷で……
小学生の頃であれば、余程のマニアで無い限りは、何か読むとなれば漫画に決まっています。
作者も小学生向けの推理小説を読み続けていましたが、友達との話の種はやはり漫画でした。
実の所、ジャ○プやマ○ジンと言った週間少年誌を定期的にチェックするようになったのは、高学年になってからでした。
それまでは基本的に単行本派でしたね。
要するに纏まったヤツが発売されない限りは続きが分からないと言う今になって考えてみるとヘヴィな状況だったんですが、当時はそれが自分にとって普通であった為に疑問にさえ思っていませんでした。
では何をメインに買っていたかと言うと、「聖○士星矢」です。
ちなみに作者はアニメから入ったくちです。
最初にアニメを観て、それから原作が漫画だと知って単行本を買ったんですね。
何しろ当時のジャ○プの人気を支える柱の一つであったので、友達との話のネタとしては定番でもありました。
基本的に孤立しがちな子供だったので、話題がこれ位しか無かったんです。
まあ兎に角盛大にはまっておりました。
今で言う厨二の極みみたいな真似を誰憚る事無くやりまくっており、今の作者がその場面を目にしたら、過去の自分を殴りたくなったでしょう。
痛い、と言うよりは痛過ぎる過去ですね。
黒歴史と言う表現がここまで似合う物も作者にはありません。
ですがこの話もある意味で残酷なオチが付きます。
今から数年前TS○TAYAが星矢のDVDをレンタルの一覧に加えました。
かくて作者は喜び勇んで借りて行き、早速観始めたのです。
が、何と言うことでしょうか。
幼い頃にあれほど楽しめた作品世界に、どうにも面白味を感じなかったのです。
中高生の頃にある意味で現実的リアルさを追及した小説群にはまっていた為か、どうにもリアルさからは程遠い世界に違和感を覚えるようになっていたんですね。
つまりは作者のこの点での嗜好が、完全に変わってしまった訳です。
その事に気付いた時は、流石に衝撃を受けました。
あの頃の情熱と言うか作品の齎してくれた楽しさは全く否定しようの無いモノだったのです。
決して幻や嘘では有り得ませんでした。
しかし大人……と言うよりはオッサンになった作者には、それがどうにも色褪せて見えてしまったのです。
歳を取ると舌の嗜好が変化すると言うのは良く聞きますが、趣味も同じだったようです。
(俺も歳を喰っちまったなあ)
そのときの作者の心情はそれのみで言い表せます。
人生とは、時の流れとは実に無情です。