子供が読むなら当然……
実の所、人生で何を最初に呼んだかは覚えていません。
いや、世の中には覚えている方もいらっしゃるのでしょうが、作者は違います。
実は作者の実家は、ある一点に於いて明らかに一般家庭とは違う点がありました。
それは何かと言うと、家の中にやたらと本があったのです。
まあ中身は専門書の類では無くて、文庫本や新書サイズ、子供用の絵本(作者は少なくともその八割は読んだ筈です)から漫画までと、やたらと多様でもありました。
両親がどちらも本が好きなのでこうなったのですが、考えてみると言い方は悪いですが異常でもありますね。
何しろ本棚(少なくとも十冊以上は入れてある物)が最も多いときには十個はあったのです。
しかも恐ろしい事にトイレにもありました。
通常はトイペなどのトイレ用消耗品を置いておく棚の所に、本棚があったのです。
今は本来の意味でまともな棚があるのですが、サイドの所にちょっとした棚があって、そこに何冊か置いてあります。
トイレは何か読む所であるというのは、実家では未だに変わっていないようです。
でまあ幼少期に読むのは絵本と相場が決まっていますが、特に印象に残っているのが「金色の狐」? でしょうか。
実はタイトルを正確に覚えていないんです。
話の内容は覚えているんですが(何しろ、う○おととらのラスボスである金毛白面九尾の者のモデルですし)、どうにも酷く曖昧なんです。ご勘弁の程を。
とにかくえらく印象に残っているんです。
中盤辺りに狐の姿を描写した箇所があって、そこの絵が途轍もなかったんです。
体勢は殆どが後ろを向いていて顔だけこちらを見ているという構図なんですが、その顔と使われている色彩の効果も相まって、今現在でも思い出すどうにもゾッとします。
実際に夢に出て来た事もあったような。うろ覚えですがね。
とにかく小学校に上がる前に読んでいた絵本では、インパクトという点では明らかにこいつが断トツです。
何しろそれなりに絵本ばっかり読んできた筈なのに、他の本を今一つ覚えてないんですから。
お陰でう○とらや鬼灯の○徹をそれなりに楽しめている訳で、悪い事ばかりではありませんが。
ある種のトラウマじゃないのか? とは突っ込まないで下さい。
作者も偶にですが、そう思ってるんですから。